又蔵の火
冷たい闇に包まれた負の主人公たちの胸に灯る一点の光が暖かい5編。悲しい結末や、暗い宿命の主人公だけに目を向けるのではなく、彼らが思い思われる暖かい人の気持ちにも目を向けるべき作品。
第一作品集であり直木賞受賞作品「暗殺の年輪」に続く第二作品集で、昭和46年から48年に発表された作品…
本が好き! 1級
書評数:344 件
得票数:1538 票
小説を中心に書評を書いている、藤沢周平と星新一中毒者。
最近は時代小説を読む割合が多いです。
冷たい闇に包まれた負の主人公たちの胸に灯る一点の光が暖かい5編。悲しい結末や、暗い宿命の主人公だけに目を向けるのではなく、彼らが思い思われる暖かい人の気持ちにも目を向けるべき作品。
第一作品集であり直木賞受賞作品「暗殺の年輪」に続く第二作品集で、昭和46年から48年に発表された作品…
さまざまな立場の人々が多彩な物語を紡ぎ出して琴線を刺激する11編。昭和49年から56年までに書かれた作品を収録。
本書には昭和49年から56年までに書かれた作品が収録されている。 年号別に分けてみると、 昭和4…
ひょんな事から解明される八つの問題が魅力の作品の「縮尻鏡三郎」シリーズ第三弾。まったく関係ない二つの出来事が問題の解決につながっていく。
「もう、やだ」 読み出すといきなり娘・知穂の怒りが目に飛び込んでくる。脇が甘い婿・三九郎がまたやら…
読者に結末を託した全11編の短編小説集。結末に物足りなさを感じた場合、何度か読み返してみると、読者自身の好ましい結末を味わうことが出来る。
本書を読むと、ほとんどの作品に明確な結末を描かれていないことに気づく。 しかし決して中途半端なまま…
時代を超えて文章の美しさや味わいを伝え、文章愛読家を育てる一冊。谷崎潤一郎の文章を愛する心と、それを読者にも感じて欲しいと込められた気持ちが感じられる。
とても丁寧に解説された本。 谷崎潤一郎の文章を愛する心と、それを読者にも感じて欲しいと込められた気…
多くのエヌ氏が登場する31編収録のショートショート集。【よごれている本】は、描写の仕方によってはホラーになる作品。それをホラーにせず、驚きの方に力を入れているほど、星新一の作風は徹底している。
いくつか気に入ったものをピックアップ。 【けちな願い】 平凡な男が突然強盗をしたくてたまらな…
五人の親友たちが走った風の果てが切なく胸に迫ってくる。最終章に向かい凝縮されながらうねりに富んだ物語は、一度読み始めると目を放すことができなかった。
【あらすじ】 首席家老・桑山又左衛門のもとに果たし状が届いた。差出人は青春を分かち合った親友の野瀬…
老境にして達することができた清左衛門の命の輝き。社会の一線から身を引き、妻に先立たれた老いの寂しさは感じられるものの、老いて達することができる境地がより光り輝いて感じられた。
物語は15話に分けられ、時系列につながっている連作短編。 その15話を貫く大きなストーリーは、藩内…
とんでもない方向に大きく触れていた振り子が、ニュートラルの位置に戻ってきた作品。今度は、反対に触れる振り子に期待したい。トンデモ精神科医・伊良部一郎が活躍するシリーズ第三弾。
はじめの二話『オーナー』、『アンポンマン』を読んで、まずネタ切れしている印象を受けた。 『オーナー…
水木しげるの、幼少から戦争体験、極貧時代、鬼太郎誕生などについて綴った半生記。 水木しげる氏の波瀾万丈というか壮絶な人生が、重くもなく軽くもなく淡々と語られている自伝。
水木しげる氏の波瀾万丈というか壮絶な人生が、重くもなく軽くもなく淡々と語られている自伝。 これだけ…
日本での留学後、日本の会社で働きながら『歎異抄』の中国語訳本を出版する、知的探求が止まない著者のエッセイ集。
本書を読み終えたとき、これは中国人でなく、一人の人間が綴ったエッセイなのだという感想を得た。 著者…
実在の人物、徳山五兵衛秀栄(とくのやまごへいひでいえ)の生涯を描いた人物伝。 池波風に描かれた骨太で人間味に溢れた徳山五兵衛が魅力的。
大悪党とも義賊とも言われる日本佐衛門を捕縛し、火付盗賊改方として活躍した旗本・徳山五兵衛秀栄(とくの…
現代日本人の不満を代弁した痛快小説。元過激派で豪快な父・一郎のハチャメチャとも思える言動が、なぜか痛快。
【あらすじ】 『第一部(上巻)』 小学六年の上原二郎は、学校帰りに友達と寄り道をする普通の小学生…
緊迫を増していく物語とコミカルな小牧家の様子が魅力の、獄医立花登手控シリーズ第二弾。柔術を駆使して、非行に走った友を助ける立花登がカッコイイ。
本書の一話目で鴨井道場の三羽烏の一人・新谷弥助の非行問題を描いている。 鴨井道場に姿を現さなくなっ…
牢医師が柔術を駆使して活躍するシリアスだがユーモア溢れる爽快の連作短編。 獄医立花登手控えシリーズ第一弾。
本書は連作短編もので、小伝馬町の牢医者として働く立花登を主人公とした小説。 立花登が、牢に入れられ…
気持ちの良さが印象に残る八つの情景。 ラスト数ページに描かれた登場人物たちの姿が気持ちよく、全体に爽やかな余韻を残す。
縄田一男氏の解説によると、本書に収録されている八編の物語と題名は長唄『巽(辰巳)八景』に依っていると…
風水都市江戸の誕生の秘密、そして天台密教僧の仏力と陰陽師の使役が激突する歴史ファンタジー。 天台密教僧の仏力と陰陽師の使役の激突が見物。
徳川家康の江戸転封に伴い、天海が江戸繁栄のために神社仏閣の配置や風水などを利用した都市造りを行った、…
トンデモ精神科医・伊良部一郎が活躍するシリーズ第二弾。 奇妙な症状に悩む患者の滑稽な姿と患者を弄ぶ伊良部が読者を腹痛にさせる。
精神科医・伊良部一郎が強烈なインパクトを持って登場した、第一弾「イン・ザ・プール」 この第二弾「空…
脇の甘い婿・三九郎が妻を苛立たせ、鏡三郎の頭を悩ませる。「縮尻鏡三郎」シリーズ第二弾。 娘・知穂と婿・三九郎の凸凹夫婦が面白い。
各話は独立しているが、時間の流れがつながっている連作短編小説。 前作「縮尻鏡三郎」では、鏡三郎の『…
「縮尻鏡三郎」シリーズ第一弾。 ユニークなキャラクターたちが生き生きと動き回るホームドラマ的雰囲気の時代小説。
佐藤雅美氏が描く特徴的なキャラクター「物書同心居眠り紋蔵」に続く、縮尻鏡三郎が活躍するホームドラマ的…