反・経済学入門:経済学は生き残れるか━━経済思想史からの警告━━




「労働は苦痛の対価として賃金を得ることだ」という極めて常識的な喝破で幕を開け、労働、契約、正義…といった基本概念をたとえばNHK、たとえば仮想通貨と絡めて論じ、実にわかりやすく仕上がった社会思想入門書

本が好き! 1級
書評数:635 件
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昭和50年代、世田谷生。
某古書店(廃業済)店員、大学講師を経て会社員。
JAZZ・映画・小動物・プロレス、アンティーク万年筆愛好家。
チャーチル政権時代のonoto magna、ナチス時代のモンブランPIX、ベトナム戦争時代のglycine airman等を愛用。
チンチラ(げっ歯類)飼育中。
古めかしい書籍についつい手が伸びてしまうが、新刊本も積極的に読まねばなるまいと反省しきりの今日この頃であります。
よろしくお願いします。
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「労働は苦痛の対価として賃金を得ることだ」という極めて常識的な喝破で幕を開け、労働、契約、正義…といった基本概念をたとえばNHK、たとえば仮想通貨と絡めて論じ、実にわかりやすく仕上がった社会思想入門書



昭和20年代~40年代にかけて発表された警察ものを雑多に収録した短編集。非シリーズものを収めたということらしいが、元々キャラの書き分けができない人なので、誰が出ていても大して違いはない
島田一男といえばやはり初期のトリッキーな作品に魅力があり、とんでもない機械的トリックをそこらの変哲も…


大金持ちの死の直後、彼女の遺産相続人たちが山荘にて次々と怪死。遺産の分け前を狙った口減らしか、それとも異常者の殺人遊戯か。「古典ミステリーの原点に挑んだ」(「作者のことば」)という「本格推理の傑作」
大金持ちの死の直後、彼女の遺産相続人たちが山荘にて次々と怪死。遺産の分け前を狙った口減らしか、それと…




グレイシー一族に柔術を伝え、バーリトゥードの祖ともいえるコンデ・コマ=前田光世の生涯を追った力作。格闘家のみならず、生活の糧を求めて南米入植を果たした日本人達への助力等、知られざる姿を描き出し貴重。
日本におけるバーリトゥード、総合格闘技が、力道山からはじまりアントニオ猪木を経由しUWFへと行き着い…




詩人・思想家・オーガナイザーとして圧倒的魔力を奮った筑豊炭鉱時代から、炭鉱闘争後の児童教育に没頭する雁、その会社の労組と対立する雁など、知られざるその姿を概観する。新書での上梓が驚きの一篇。勧読。
雁は、「 私の中の『瞬間の王』は死んだ 」といって詩作をやめてしまうわけだが、彼の本質は基本的にこと…



ハンチントン病に侵され、21歳でこの世を去った作者が残した詩に、父親、教師等のコメントを付したもの。恋愛感情であったり死の予感、ここまで赤裸々な内面をさらけ出すのかという当惑を感じつつ読み耽る。
私がはいると家の中が くらくなるような気がしてなりません 要するに私はじゃまものなのです …



蚕糸に生涯を賭ける旧幕臣の娘の成長を描くことで、富岡製糸場にはじまる製糸産業の発展をもうかがえる歴史小説。ただし富岡製糸場自体にはさほど触れられない焦点がぼけた一編。1969年下半期直木賞候補作。
先週読んだ『 日本浪人史 』を上梓した西田書店が、刀江書院の業務を引き継いだ骨のある出版社であること…




イスラエル諜報機関員かつ世界有数の美術修復師という無茶な設定が、案外とはまる現代スパイ小説。
PLOによる外交官の暗殺事件を受け首謀者の抹殺を命じられた主人公の活躍譚であるが、作者はパレスチナと…




武士の起源は浮浪者だった? 日本における浪人の歴史をたどり、武士と賤民の源が同じであると喝破する隠れた名著。1931年=昭和6年初版。
昭和6年に春秋社から上梓されたまま埋もれていた一編を、西田書店が作者の再刊序と横井清の解説をつけて復…





高齢出産が難しいといわれるのは、卵子が老化するためである。では、卵子の老化を防ぐにはどうすればよいか? という問いに明快に答え、今日からすぐにできる主に食生活の見直しを提言する実践の書。
不妊治療の確率を少しでもあげたいひと、卵子が驚くべき速度で老化してしまう30代後半、特に40以上のひ…





「国家を兵舎に、国民を軍人に」…数多の資料を駆使し結論先にありきといった態度を禁ずることで、世にはびこるくだらない政治的パンフレットの域を軽く凌駕し、後世に必ずや残る傑作評伝。
作者は東條について以下のように整理している。 この軍事指導者は、政治と軍事の関係について無知だし…



真珠湾の半年後、空母四隻を失ったミッドウェイ海戦での惨敗を契機として、交渉による早期終戦もありえたかもという作者の願望がいかほど現実味を帯びるかを実験した、史実と想像が混在の架空戦記。
さすがにミッドウェイ海戦の整理等は手慣れたもので読みやすいのだが、戦間期の状況に不慣れな人間が読んだ…



都心をM8の大地震が襲うというアイディアは、もはや我々にとって絵空事ではないが、80年においてこの先駆性は称揚されてよい。ただし内容が冗漫で、震災の悲惨さを伝えきれていないのは惜しい。凡作。
特に半分ほどを費やして描かれる首相の政治闘争や、都内の防災担当の公務員だったり、地震マニアの寿司屋だ…


富士の樹海で知り合った女性が、翌日、個室寝台の中で毒殺されるというお話で、B級感丸出しなのはいいとして、どう読んでも不可解かつ致命的な欠点を抱え、ミステリとして成り立っていない作品。これはいけない。
探偵役のルポライターが、取材先の富士の樹海にてこれでもかと化粧を厚塗した女性と知り合うも、翌日、個室…




新聞記者によるガダルカナル従軍記。一木支隊全滅後の川口支隊と行動を共にし、銃火と飢えに苦しむ兵士たちの姿を描く。戦後、最初期のガダルカナル戦記であり、希少な従軍記者によるものとして、今でも貴重。
ただし元版のみで復刻はなく、読もうと思うと意外に難しい。惜しいことだ。 それにしても、カバーが…

あの春日彦二が書いた「本格推理」なんて、読みたくなるに決まってる。しかし、大阪下町の漫才師が親戚の殺人容疑をはらさんと被害者の身辺を洗ううち、第2第3の殺人が…といういかにもつまらなそうな話に脱力。
ところが問題はそこではない。 被害者が売春組織に関係していたことがわかると、途端に関係者が次…




前科持ちの女たらしが、東北と四国で同時に恋人を死に至らしめた事件をめぐるアリバイ崩し。フォーマットは量産型トラベルミステリの様相を呈しつつ、作者の意を離れてメタミステリと化した意外な良作
津村秀介というと、もともと中町信と同じ出版社に勤務していたとか、アリバイ崩しの名手だということが有名…



私怨から義憤へ、正義のための断頭、そして破滅。得体の知れぬ情念に導かれ、金と欲にまみれた政官財の醜悪な輩を殺戮し続ける男女を描いて爽快感の欠片もない連作集。相変わらず悪の描き方が上手い。残酷度は低め
なお最終話の展開は、ただのバイオレンスだと油断していた当方の予想を裏切る嫌な展開。 これがラス…





伏線の張り方がただごとではない。蜘蛛の巣のごとく張りに張り、読者をしっかりと欺く。それでいてミステリ以外の部分でもしっかりと読まるという弩級の名短編集。なお解説だけは絶対に読んではいけない。
やはり泡坂はうまい。この亜愛一郎シリーズは、都筑道夫の『退職刑事』に匹敵するか、超えているかもしれな…



1960年代に書かれた「異常心理」や幻想系の短編を収録。全体的に山村の標準作といったところで、過大な期待は禁物ながらもまあまあ読める。
僕自身も一番好きな作品 と作者自身が自賛する「断頭台」を表題作に配した、1960年代の短編を収めた…