妻を帽子とまちがえた男
ニンゲンって、ニンゲンの心って、本当に不思議。その不思議を、都合のいい理屈や一方的な価値観で矯正するのではなくて、著者はありのまま受け入れようとしているから、読んでるこちらまで思わず魅了されてしまう。
本が好き! 1級
書評数:253 件
得票数:704 票
約2年間、ありがとうございました。
ズレが大きくなってしまったので、ひとまず退会いたします。
献本に55冊応募して、いただいたのは9冊。ご参考まで。
またどこかでお会いしましたら、よろしくお願いします。
ニンゲンって、ニンゲンの心って、本当に不思議。その不思議を、都合のいい理屈や一方的な価値観で矯正するのではなくて、著者はありのまま受け入れようとしているから、読んでるこちらまで思わず魅了されてしまう。
人を貶めるのでも差別するのでもなく、文章だけで笑わせる芸(もはや芸)を楽しめます。つまらないことで行き詰まってる時に。ただし、何か有効なヒントや示唆をもらえるわけでは全然ありませんので、あしからず。
4度の脱獄。もちろん犯罪も脱獄もいけないのは重々わかってはいるのだけれど、つい主人公に肩入れしたくなる。 なぜノンフィクションでなく、「小説」として書いたか。
期待値をやすやすとクリア。特にラスト「長持の恋」は、ジャック・フィニイ「ゲイルズバーグの春を愛す 」の設定(=過去との文通)という縛りにありながら、オチも後味もさわやか、お見事!の座布団2枚です。
「孤独」とか「不器用」とか言っても、悲しかったり湿っていたりはしない。どこか突き抜けていて、むしろ滑稽と力強さを感じるところが、この短編集のキモではなかろうか。
4つの作品の連作。他の作品の端役が他で主役になる、という構成と、作中でかつてのある時代をかなり精緻に思い起こさせるという得意な手腕を発揮して、さりげないのに、凝ったつくりだなあ、と感じさせる。
この人は、物語内に、別の時代を流すのがうまい。今やそれが特徴と言えるかもしれない。 「この方と…
いなくなってしまったノラ恋しさに、「いいオトナ」が身も世もない有様で。何日たっても旅に出ても、涙涙ひたすら涙。 気の毒でおかしくて気の毒で、でもやっぱりおかしくて。百けん先生を好きにならずにいられない。
「夕刊フジ」連載のコラムということもあろうか、幾分軽めなタッチで、世界文学にとっつき易い。実に盛り沢山な149回!本から本へと話題は巡り、芋づるのように読みたい本が増えていく。罪つくりなコラム集です。
そうなんです。本は物体であって、物体じゃない。記憶で、きっかけで、存在で。並べているだけでニヤニヤ出来る! そこにあるだけで広がっていく。ますます本が、本棚が恋しくなる本。
待ち焦がれた本を手にする歓びといったら! 催促したり謝ったり。喜んだり、喜んでもらえて喜んだり。古書店の男性と遠く離れた女性客の書簡だけのやりとりなのに、本が心をつないでいく。 これってすでに恋では?
コドモには、とても薦められない。 猥雑でエロくて真剣であけすけで激しくて、そして切なくて悲しい、こんな本は。
苦い、と思います。救いらしい救いも、多くの人が求めるような癒しもなくて、苦い。 でも、甘いだけが小説じゃないと思うので。
この人の小説には救いらしい救いはないし、オチらしいオチもない。めくるめくようなストーリー展開もあまり…
静かで、けれども重く確かな希望を感じます。 緻密なタッチ、シンプルな色調、過去とも未来とも感じられる時間の流れ。人が持つ、普遍的で根源的な前を向く力、のようなものに、励まされます。