絵のない絵本
月は光が届く限り優しく包むようにときに冷たく射すように地上の夜の出来事を見つめている。月が物語る素敵なメルヘン。そうか月はずっと昔から地球の夜を見つめていたんだなあ。
本が好き! 2級
書評数:127 件
得票数:29 票
趣味は古本屋巡りです。
月は光が届く限り優しく包むようにときに冷たく射すように地上の夜の出来事を見つめている。月が物語る素敵なメルヘン。そうか月はずっと昔から地球の夜を見つめていたんだなあ。
時間が伸縮する。空間が伸縮する。存在が伸縮する。川上弘美の小説を読んでいると、普段から心もとない自分の存在が、一層頼りなくなって、まるで足が地面から離れて宙を漂っている気分になる。それが気持ちよい。
ひとつの身体にふたつの人格を宿す双生児、バルタザールとメルヒオールの転落人生が描かれる。抜群におもしろい。とても豊かな知的遊戯となる小説。
ギリシア悲劇という言葉はよく耳にすれど、ちゃんと作品を読んだのはこれが初めて。とても面白かった、というかもの凄く面白かった。
題名のとおり、猫と庄造と二人のおんなを描いた作品。複雑な人間の心理とは裏腹に、猫は純粋でかわいらしい。谷崎はきっと猫のことが好きだったんだろうな。
平安期の古典を紐解いた谷崎さん、男女の情を心得た彼一流の想像を加味して、奥ゆかしい平安貴族の色恋模様を描き出す。恋情に溺れる男たちの様がひどく滑稽。
さまざまなイメージの断片のなかで、主人公は「なんとなく」築かれる人との関係について考える。正統的な文学という印象。
谷崎初期短編集。全七編。読後「異端者の悲しみ」を除いてどれも鮮烈なイメージが残る。絵画的な印象がある。「異端児の悲しみ」は谷崎唯一の自伝的小説。彼の人間の一端が窺い知れる。
なぜ人を殺したか?暑さのせいだ。夏の鋭く刺す太陽の熱に侵されたがゆえに、主人公ムルソーがアラビア人を射殺する描写は、不条理というよりもむしろ説得力ある行動として感じられた。人間の行動は理屈ではない。
整体以前の心構え、活元運動、愉気法、整体体操について説かれています。『整体入門』『風邪の効用』を読んで、自ら整体の道を進みたいと考えた人にとって、とても有用な本となります
著者の絵本の蔵書を紹介する本となっている。アメリカの絵本が多い。紹介している絵本はどれも素晴らしい。絵本の可能性を感じることが出来る。
空飛び猫シリーズ2作目。農村に移り住んだ空飛び猫は、母を訪ねて生まれ故郷に帰る。そこでもう一匹の空飛び猫と出会い、再び自分の住む場所へと帰っていく。このファンタジーに何を読み取るかは読者次第。
空飛び猫シリーズ3作目。アレキサンダーは羽の生えていない普通の猫。彼は空飛び猫との交流のなかで、自分の内にも(別の意味での)羽があることに気づく。素晴らしいアレキサンダー。
4匹の子猫たちには羽が生えていた。子猫たちは母を残して、空を羽ばたき、生まれ育った都会を後にする。村上春樹翻訳のファンタジー。なぜ子猫たちには羽が生えているのか?
漱石を「小説の先生」として捉え、漱石のテクストに用いられている小説技法を解説する。作家になりたい人でなくとも、より深く小説を味わうための読み方を得るためにもこの本は使える。
漱石23歳の明治22(1889)年から漱石が亡くなる50歳の年の大正5(1916)年までの書簡が年順に158通まとめられている。漱石の思想の流れを読むことができ、また漱石の人柄もうかがえる。警句も多い
日本の文明開化は、西洋の外圧によって強いられたものであった。本書では、その悲劇に思い悩む漱石の肉声を、講演録、日記、書簡、そのほか断片によって聞くことが出来る。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」というあまりに有名な書き出しを知っているだけで満足し、本編を読もうとしないのは日本人としてもったいないことである。腹を抱えて笑うこと請け合いである。
五七五から成る俳句の定型の意義、季語の意味、短歌や川柳との相違、俳句の歴史、俳句の技術などの解説がなされ、そのあとに俳句をつくるための吟行のしかたが紹介されている。入門書としてお勧め。
絵本とは何か、絵本を子供に読み聞かせるためにはどうしたらよいかなどが述べられている。読み聞かせに適した本の紹介もある。絵本を用いた幼児教育を考える人には読んで損はない。