あるじは秀吉




「唐入り」は下らない理由で進められたことが示唆される。『あるじは家康』は家康に一杯食わされたとなっても家康の巧みさに舌を巻く読後感であったが、秀吉を主君にすることは空しい。
岩井三四二『あるじは秀吉』は家臣の目から豊臣秀吉を描く歴史小説。著者は『あるじは信長』『あるじは家康…

本が好き! 1級
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歴史小説、SF、漫画が好き。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』はマンションだまし売り被害を消費者契約法(不利益事実の不告知)で解決したノンフィクション。




「唐入り」は下らない理由で進められたことが示唆される。『あるじは家康』は家康に一杯食わされたとなっても家康の巧みさに舌を巻く読後感であったが、秀吉を主君にすることは空しい。
岩井三四二『あるじは秀吉』は家臣の目から豊臣秀吉を描く歴史小説。著者は『あるじは信長』『あるじは家康…

足利義満は朝廷も自分の支配下に置こうとした人物である。室町殿は鎌倉殿と異なり、朝廷と幕府双方の頂点に立つ地位である。義満は天皇をしのぐ権勢を手に入れて法皇の様に振舞った。
足利義満は朝廷も自分の支配下に置こうとした人物である。室町殿は鎌倉殿と異なり、朝廷と幕府双方の頂点に…




『あるじは秀吉』『あるじは家康』は家臣の目から見た秀吉や家康という人間を描き出そうとしている。それに比べると『あるじは信長』は信長の家臣の物語というだけで、信長の存在感は薄い。
岩井三四二『あるじは信長』は織田信長の家臣を描く歴史小説のオムニバス短篇集。同じ著者は豊臣秀吉や徳川…




安土桃山時代の武将を描く歴史小説のオムニバス短篇集。表題作「城を噛ませた男」は名胡桃城事件から小田原征伐を描く。NHK大河ドラマ『どうする家康』第37回「さらば三河家臣団」の予習になる。
伊東潤『城を噛ませた男』は安土桃山時代の武将を描く歴史小説のオムニバス短篇集。表題作「城を噛ませた男…




南北朝時代の足利尊氏と直義を描いた歴史小説。尊氏と直義の兄弟が主人公と思いきや、尊氏の正室の赤橋登子も重要な視点人物である。尊氏は矛盾した人物であるが、無邪気に他人をだますことに腹立たしさを覚えた。
岡田秀文『足利兄弟』(双葉社、2016年)は南北朝時代の足利尊氏と直義を描いた歴史小説である。尊氏と…

道真は冤罪で左遷された悲劇の人物として知られている。道真が就任した内覧は摂政や太政大臣のような地位ではなく、職務である。職務であるために実権がある。地位よりも役割を求めるジョブ型の発想がある。
三田誠広『菅原道真 見果てぬ夢』は菅原道真を主人公とした小説である。道真は冤罪で左遷された悲劇の人物…




黄葉菜花は大怪我した摩緒に大丈夫と尋ねて「なわけない」と自分で訂正する。大丈夫は聞くだけ無駄な質問である。「大丈夫ですか」という質問には「大丈夫ではない」という回答以外ありえない。
高橋留美子『MAO 4』(小学館、2020年)の黄葉菜花は大怪我した摩緒に大丈夫と尋ねて「なわけない…




徳川家康を主人公として長篠の合戦を描く歴史小説。四人は家康、織田信長、羽柴秀吉、明智光秀である。多くの作品では光秀は知的で冷静なキャラクターとして描かれるが、この光秀はちゃらんぽらんな性格に描かれる。
鈴木輝一郎『長篠の四人 信長の難題』(毎日新聞出版、2015年)は徳川家康を主人公として長篠の合戦を…





「診察室からお話しする免疫の仕組み」とあるが、ノーベル賞を受賞した研究の紹介など診察よりも学究寄りの印象を受ける。もっとも医学は臨床と研究が全く分かれるものではないという意識があるだろう。
楢崎雅司『免疫をあやつる』(ミネルヴァ書房、2023年)は免疫の仕組みを解説した書籍。サブタイトルに…




本能寺の変の影響を受けた人々を主人公とした歴史短編小説のオムニバス。NHK大河ドラマ『どうする家康』の復習になる。落ちがある短編が多く、面白い。
岩井三四二『とまどい本能寺の変』は本能寺の変の影響を受けた人々を主人公とした歴史短編小説のオムニバス…




足利義満を描く歴史小説。終盤は三宝院満済が主人公のようになる。義満の死に迫る歴史ミステリの要素もある。足利義満は天皇家も自分の支配下に置こうとした人物である。しかし、これは義満一人の野望であった。
平岩弓枝『獅子の座 足利義満伝』は足利義満を描く歴史小説。終盤は三宝院満済が主人公のようになる。義満…




鎌倉陥落に京は大騒ぎになる。足利尊氏は「この尊氏を征夷大将軍にお任じ下されば絶対大丈夫」と言う。大丈夫との言葉は、大抵大丈夫ではない。後醍醐天皇が拒否することは正しい。
松井優征『逃げ上手の若君 12』(集英社、2023年)は佐々木道誉の娘の魅摩が表紙。北条時行らは鎌倉…




木曽義仲は木曽の山猿、粗暴な山猿と評価が低いが、むしろ都の権謀術数に汚れていない清い人物との見方もある。同族で殺し合う源氏の伝統から脱却しようとした。大局観のある人物であった。
木曽義仲は木曽の山猿、粗暴な山猿と評価が低いが、むしろ都の権謀術数に汚れていない清い人物との見方もあ…




時行がきっちり頼重に指摘することが素晴らしい。居候という肩身の狭い立場であり、泣き寝入りしそうなものである。暗君とされる北条高時の子とは思えないほど公正な感覚を持っている。
松井優征『逃げ上手の若君 6』は諏訪頼重の孫が登場する。諏訪家の跡取りとして一族の中心であった彼は、…




ブルーカラーとホワイトカラーの対立が増幅される。北朝鮮を連想する国のエージェントが大それたことを成し遂げる。小国と侮れない。
太田垣康男『MOONLIGHT MILE 9』ではブルーカラーとホワイトカラーの対立が増幅される。北…




ホワイトの中でもエンジニアなど専門知識を持つ立場と管理スタッフでは全く異なる。前者はしばしばブルーカラーと共に作業し、同様の状況に直面することがあり、そのためブルーカラーとの共感も生まれることだろう。
太田垣康男『MOONLIGHT MILE 8』では月面基地の建設が進行中であり、その過程で原因不明の…




アメリカの社会問題や人種差別、理不尽な出来事に焦点を当てたストーリーが描かれる。チンピラやヤンキーが自警団を結成し、警察の支援を受けながら権力を行使し、マイノリティに圧力をかける状況が描かれる。
太田垣康男『MOONLIGHT MILE 7』は国際宇宙ステーションにデブリが衝突する。閉じ込められ…




人類の月面開発を描く近未来SF漫画。IT技術の進歩は著しいが、宇宙開発は多くのSF作品が描いたほど進んでいない。『MOONLIGHT MILE』が示唆するように宇宙開発は軍事との関係が深い。
太田垣康男『MOONLIGHT MILE』は人類の月面開発を描く近未来SF漫画。IT技術の進歩は著し…




月面基地を舞台に国際交渉が行われる。米軍の陰謀が進行する。トップは取引条件を守り、ソフトランディングを望むが、腰巾着は踏みにじる。官僚組織の害悪である。
太田垣康男『MOONLIGHT MILE 10』では月面基地を舞台に国際交渉が行われる。米軍の陰謀が…




護良親王が謀反の冤罪で征夷大将軍を解任される。護良親王は逮捕され、鎌倉に流罪になる。護良親王は山法師や悪党を束ねた荒くれ者のイメージがあるが、『逃げ上手の若君』では細面の理知的な人物に描かれる。
松井優征『逃げ上手の若君』は南北朝時代の北条時行を主人公とした歴史漫画。『逃げ上手の若君 5』は小笠…