キングダム 66



  

侵略から国を守ろうとする李牧に感情移入している上、桓騎は捕虜を大量虐殺した悪逆の人物である。桓騎の敗北を期待する思いがある。史書では桓騎は李牧に敗北しており、期待が高まる。
王翦(おうせん)率いる秦軍は趙北部を押さえようとするが、それ自体が李牧に誘い込まれたものであった。李…

					本が好き! 1級
					書評数:3170 件
					得票数:15365 票
					
歴史小説、SF、漫画が好き。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』はマンションだまし売り被害を消費者契約法(不利益事実の不告知)で解決したノンフィクション。



  

侵略から国を守ろうとする李牧に感情移入している上、桓騎は捕虜を大量虐殺した悪逆の人物である。桓騎の敗北を期待する思いがある。史書では桓騎は李牧に敗北しており、期待が高まる。
王翦(おうせん)率いる秦軍は趙北部を押さえようとするが、それ自体が李牧に誘い込まれたものであった。李…



  

敵勢力は正にエスパーを管理し、支配する警察的な権力であり、それを敵として戦うことは読者にとって十分共感できることである。
本編では『THE UNLIMITED 兵部京介』のキャラクターのヒノミヤやユウギリは財団の人物として…



  

本編で兵部が変わっていったが、それは未来志向になった訳ではなく、過去の因縁に決着をつけたことがあるだろう。その意味では『THE UNLIMITED 兵部京介』は本編にとって重要な物語になる。
椎名高志原作、大柿ロクロウ漫画『THE UNLIMITED 兵部京介』(小学館)は『絶対可憐チルドレ…



  

現実世界ではロシア連邦がウクライナを侵略している。秦王は中華統一という理想を掲げているが、独善的な理想である。この独善性はウクライナを自国の支配下に置こうとするロシアの連邦意識と重なる。
『キングダム 65』で新しい趙王は李牧の邪魔はしないと言う。この王は腐敗しており、どうしようもないが…



  

頼朝が鎌倉に入って鎌倉殿となった時点が鎌倉幕府の体制が始まったとする説が有力になる。故に2022年NHK大河ドラマのタイトルは『征夷大将軍の13人』ではなく、『鎌倉殿の13人』となる。
鎌倉幕府の成立をいつとするかは諸説ある。 治承四年(一一八〇年)十二月十二日に頼朝が鎌倉の大倉御所…



  

威張った役人が上手いステーキを作ることを要求される。肉の質が味を決めるというナイーブな発想から、高級な肉を出せない店では上手いステーキが作れないと考えている。しかし、肉の質と味は比例しない。
天那光汰『剣聖の称号を持つ料理人』は料理人が異世界に転生するファンタジー作品。威張った役人が上手いス…



  

AIの方が人間以上に人間味のある反応がある。逆に人間の方が保身第一の無能公務員のように人間味が欠けている。実際、帝国連邦は腐敗した官僚制である。SF作品で連邦と名前のある政体は大抵腐敗している。
ショーンウィリアムズ、シェインディックス著、小野田和子訳『太陽の闘士』(ハヤカワ文庫)は人類の宇宙進…



  

政治的見識はなく、出世欲だけあるという無能公務員的体質であり、主人公に感情移入はできなかった。下級官吏と言っても賄賂という副収入があり、生活の苦労が見えないこともある。
黒岩重吾『石上朝臣麻呂 闇の左大臣』(集英社、2003年)は飛鳥時代に活躍した物部(石上)麻呂を主人…



  

明治維新は民衆に新しい政治体制への期待を持たせたが、すぐに裏切られることになる。高松藩では明治三年(一八七〇年)一月に林田村の浜崎周吉を中心とした綾北山林騒動が起こる。
明治維新は民衆に新しい政治体制への期待を持たせたが、すぐに裏切られることになる。高松藩では明治三年(…
  



  

ダークツーリズムもある。リトアニアのシャウレイの十字架の丘はロシアやソ連に弾圧されて処刑された人々を悼んだものである。リトアニアなどロシア連邦の周辺国にとってウクライナ侵略は他人事ではない。
田中裕司『たなぴろ弁護士の恋する世界遺産』(セルバ出版、2022年)は世界遺産を中心とした海外旅行記…



  

中世の区切り方自体が新しい。本書はサブタイトルにあるように院政期から戦国時代までとする。平安時代までを古代、鎌倉時代から中世とする見方がある。安土桃山時代までを中世、江戸時代から近世とする見方がある。
高橋典幸、五味文彦編『中世史講義 院政期から戦国時代まで』(筑摩書房、2019年)は日本の中世の歴史…



  

日本の刑事司法は問題点がある。日本は冤罪大国である。日本の警察は、ストーリーを作ってから逮捕してストーリーに合う証拠を出す。自白を強要するための手段が人質司法である。
日本の刑事司法は問題点がある。日本は冤罪大国である。日本の警察は、ストーリーを作ってから逮捕してスト…



  

アーニャがキャラクターとして面白い。超能力で人の心が読めるというスパイアクション作品では掟破りになりそうな狡い能力を持っている。しかし、子どもであるため、上手くいかないことが多い。
遠藤達哉『SPY×FAMILY』は潜入スパイの男性と殺し屋の女性と超能力者の少女が仮初の家族となる漫…
  



  

ロシア連邦のウクライナ侵攻に伴い地名表記も変更された。モルドバの地名もキシニョフからキシナウなどとロシア語表記からルーマニア語表記に変更された(78頁)。脱ロシア連邦の動きはウクライナだけではない。
矢野恒太記念会『世界国勢図会2022/23』(矢野恒太記念会、2022年)は世界のデータを収集した統…



  

飽食が虐殺や暴行と並ぶ行為として位置付けられている。兵士による殺戮と暴行とは、その残虐性において比類ないものである。飽食の実態は、それらと並ぶほどグロテスクなものであった。
ヴァレリオ・マッシモ・マンフレディ著、草皆伸子訳『アレクサンドロス大戦記 3 永遠の帝国』(徳間書店…



  

イギリスのリベラル派は、人身保護法を根拠としてナポレオンの市民的権利を認めようとした。あと一歩のところで成功しなかったが、そのように動いた人々が存在するイギリス社会は評価できる。
佐藤賢一『ナポレオン 3 転落篇』(集英社、2019年)はナポレオンの絶頂と没落を描く。ナポレオンは…
    

社会には不正が横行している。他人を陥れるために警察を使って家宅捜索や不当逮捕させることが起きている。それを見て見ぬふりする人々も偽善である。同調圧力の強い日本社会にも耳の痛い話になる。
マルセルエメ著、平山修訳『ウラヌス』(ブックコム、2022年)は第二次世界大戦でドイツから解放された…



  

ペルシア遠征の大義名分はアナトリアにあるギリシア人都市のペルシアからの解放である。しかし、当のギリシア人都市自身はペルシアの圧政と思っておらず、それほどマケドニアを歓迎していない。
ヴァレリオ・マッシモ・マンフレディ著、草皆伸子訳『アレクサンドロス大戦記 2 若き征服者』(徳間書店…



  

ペルシア遠征は一ヶ月分の兵糧しか用意せずに始めた。行き当たりばったり感がある。人類史上最大の大遠征と評価されるが、成功した結果から評価される面がある。他人が倣う成功例としては難しい。
ヴァレリオ・マッシモ・マンフレディ著、草皆伸子訳『アレクサンドロス大戦記』(徳間書店)はマケドニアの…



  

三体文明は地球よりも技術が発達していたが、地球文明の個人主義や自由主義を取り入れることで飛躍的に発展した。このような指摘を中国の作家がしていることは興味深い。
劉慈欣『三体Ⅲ 死神永生』は中国のSFシリーズの第3巻。大森望、光吉さくら、ワン・チャイ、泊功訳『三…