おいしい京都学





林田豊吉は明治時代に東京の新橋で鰻屋「梅の井」を営業していた。そこで修行した人物が京都に帰って鰻屋「ぎをん梅の井」を開業した。京都と言えば東京と張り合う先入観を持っていたが、東京から学んでいる。
加藤政洋、河角直美『おいしい京都学 料理や文化の歴史地理』(ミネルヴァ書房、2022年)は近代京都の…

本が好き! 1級
書評数:3170 件
得票数:15365 票
歴史小説、SF、漫画が好き。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』はマンションだまし売り被害を消費者契約法(不利益事実の不告知)で解決したノンフィクション。





林田豊吉は明治時代に東京の新橋で鰻屋「梅の井」を営業していた。そこで修行した人物が京都に帰って鰻屋「ぎをん梅の井」を開業した。京都と言えば東京と張り合う先入観を持っていたが、東京から学んでいる。
加藤政洋、河角直美『おいしい京都学 料理や文化の歴史地理』(ミネルヴァ書房、2022年)は近代京都の…




銀平は「食い物に下賎も高貴もないでしょ。あるのは旨いか不味いかだけ」という。食材の値段と味は比例しない。武士は権威に雁字搦めになり、安くて美味しい食べ物を楽しめない。
河合単『銀平飯科帳』(小学館)は創作居酒屋店主が江戸時代にタイムスリップする歴史グルメ漫画。料理人が…




明治時代は生き辛かった。国家が強調され、立身出世の競争を煽る社会であった。頑張ることに価値があるという通俗道徳の罠に陥っている。それは昭和の精神論根性論やガンバリズムにつながっている。
明治時代は生き辛かった。国家が強調され、立身出世の競争を煽る社会であった。頑張ることに価値があるとい…




「ポテトサラダとナマコ」で「真の美食とは安くて美味い」と指摘する。美食グルメの令嬢が立ち飲み屋を渡り歩くグルメ漫画である。値段と味は比例しないことの王道を歩む作品である。
松本明澄『立ち飲みご令嬢』(講談社、2022年)は1軒目「ポテトサラダとナマコ」で「真の美食とは安く…




ラグビーは荒々しい印象のあるスポーツであるが、昭和の精神論根性論から遠い世界である。「大声を張り上げて「絶対に勝て!」と命令したところで、それはどだい無理な話です」
ラグビーは荒々しい印象のあるスポーツであるが、昭和の精神論根性論から遠い世界である。「大声を張り上げ…





ダークツーリズムもある。リトアニアのシャウレイの十字架の丘はロシアやソ連に弾圧されて処刑された人々を悼んだものである。リトアニアなどロシア連邦の周辺国にとってウクライナ侵略は他人事ではない。
田中裕司『たなぴろ弁護士の恋する世界遺産』(セルバ出版、2022年)は世界遺産を中心とした海外旅行記…




6月26日は「違法薬物には絶対に手を出しちゃダメ!」である。これは毎年6月26日が国際薬物乱用・不法取引防止デーになっていることに由来する。このようにトピックを意味のある日に配置している。
齋藤孝『1日5分で未来が変わる! こどもSDGs大図鑑365』(実務教育出版、2022年)は持続可能…





AI時代は個性尊重の方針が求められる。「考える力」が教師に忖度して都合の良い回答を導き出すことならば、知識の暗記以上に有害になる。自主的に上位下達するヒラメ公務員を生産することになるためである。
スカーレット『AIを超えるグローバル子育て術』(セルバ出版、2022年)はAI; Artificia…




「お金をかけなくてもおいしい物はいくらでも捜し出せるんです」との台詞がある。これはフランス料理の天才シェフに言わせていることに味がある。値段と味は比例しない。一見客を低く見る考え方を否定する。
剣名舞作、加藤唯史画『ザ・シェフ 5』「約束」には「お金をかけなくてもおいしい物はいくらでも捜し出せ…




「大丈夫」の失礼な使い方が描かれる。日本人は大丈夫をコミュニケーションの潤滑油であるかのように無責任に利用する傾向がある。それは自己満足に過ぎない。相手にとって有害である。
剣名舞作、加藤唯史画『ザ・シェフ』は流れの天才シェフ味沢匠を主人公としたグルメ漫画。味沢は高額な報酬…




新型コロナウイルスのワクチン接種は強制ではない。接種しても接種しなくてもよく、接種しない自己決定は無条件で尊重される。接種しないことによる一切の不利益や差別は許されない。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの第七波が起きている。新型コロナウイルスのワクチン接種は強制で…




地球の食材を生成するスキルを持った現代日本の会社員が中世ヨーロッパ風ファンタジー世界に転移する「小説家になろう」掲載のライトノベル。ハンバーガーは現代消費社会ならではの魅力的な食べ物である。
slkn『食料生成スキルを手に入れたので、異世界で商会を立ち上げようと思います』は地球の食材を生成す…




調味料よりも素材の味を楽しみたい。「素材を食べるんであって調味料を食べるもんじゃない」との台詞がある。特に辛い調味料の刺激を与えることが料理と思っている向きへの皮肉になる。
調味料よりも素材の味を楽しみたい。大石賢一作、はしもとみつお画『築地魚河岸三代目 1』「お馴染みさん…




高級料理と思われている寿司も本来は値段と味は比例しない料理である。フードロスをなくすというSDGs; Sustainable Development Goalsにも通じる取り組みであった。
現代日本では寿司は高級化しているが、江戸時代は屋台で食べるファーストフードであった。寿司は庶民的な食…




京都の江戸前寿司屋を舞台とした漫画である。食材の値段と味が比例しないという哲学で貫かれている。捨ててしまう部位も美味しく調理できることを示した。トロを最高とする評価を「笑止」とする。
鹿賀ミツル原作、加藤広史作画『おすもじっ!◆司の一貫◆』(小学館)は京都の江戸前寿司屋を舞台とした漫…




「老舗の味」で織部悠はチェーン店を「いつ行っても同じ味が食えるってのはお客さんとしちゃ安心する」と評価する。オーダーメイドの職人がチェーン店を評価することに味がある。
大河原遁『王様の仕立て屋 下町テーラー 12』「老舗の味」で織部悠はチェーン店を「いつ行っても同じ味…

値段と味が比例しないというグルメの神髄を示す指摘がある。「人のために同じ命を投げ出しているのに、その値打ちに差がつくのはかわいそうですわ」との台詞がある。高い値段の肉を有り難がることは虚しい。
藤栄道彦『最後のレストラン 3』は値段と味が比例しないというグルメの神髄を示す指摘がある。 「エリ…




古代ローマの飽食が退廃と説明する。「満腹になると奴隷に口の中に孔雀の羽を突っ込ませて吐くのです。そしてまた食べる。退廃を象徴する光景です」。無表情な前田あたりの説明で飽食の虚しさが実感できる。
藤栄道彦『最後のレストラン』(新潮社)はグルメコメディ漫画。フランス料理店「ヘブンズドア」に織田信長…




フランス料理店を舞台とした漫画である。この店のオーナーは客との距離感が大事と主張する。客の誕生日に歌を歌うサービスを嫌う。歌のサービスは他の客も聞こえてしまう。しかし、静かに食べたい客もいる。
佐々木倫子『Heaven?〔新装版〕 1』(小学館、2004年)はフランス料理店を舞台とした漫画であ…





迷惑隣人がいるという事実を説明せずに不動産を仲介して説明義務違反で損害賠償が命じられた裁判である。訴えられた不動産会社の説明が秀逸である。「Tリバブルという電鉄系列の不動産」
山瀬和彦『こんなにおもしろい宅地建物取引士の仕事 第2版』(中央経済社、2019年)は宅地建物取引士…