世界は村上春樹をどう読むか

今や 40 近い国々で翻訳され刊行されるようになった村上春樹氏の小説。その魅力の源泉はどこにあるのだろうか。本書はそんな春樹氏の魅力を読み解くために行われた、興奮が直接伝わって来るシンポジウムの全記録だ。
以前にも書いた が、村上春樹氏の小説が国境を超えて幅広く読まれていることは既にこの『本が好き!』に…

本が好き! 1級
書評数:251 件
得票数:2017 票
本と音楽と魚が好きです。兵庫県在住。2007年末にIQテストを受けてアスペルガー症候群であると診断されました。WAIS-IIIより/言語性IQ:129/動作性IQ:106/全検査IQ:121

今や 40 近い国々で翻訳され刊行されるようになった村上春樹氏の小説。その魅力の源泉はどこにあるのだろうか。本書はそんな春樹氏の魅力を読み解くために行われた、興奮が直接伝わって来るシンポジウムの全記録だ。
以前にも書いた が、村上春樹氏の小説が国境を超えて幅広く読まれていることは既にこの『本が好き!』に…

村上文学を英語圏の読者に広く知らしめることに貢献してきた翻訳者のジェイ・ルービン氏による村上春樹氏をめぐる「クロニクル」。知らなかった小ネタや斬新な視点からの分析などが次々と吐露される。ファンは必読!
村上春樹作品が国境を超えて海外でも広く親しまれていることは『本が好き!』に集う方にとっては常識なので…

爛熟を遂げた「男の娘」ブーム/ムーヴメント。一体現場では何が起こっているのか。非常に繊細で難しい問題に、新進気鋭の著者は切り込んでいく。これは満を持して世に問われた、「男の娘」に纏わるドキュメントだ。
「男の娘」という言葉が人口に膾炙してから随分時間が経った。単なる「女装趣味」を超えて、男性が女装/女…

あなたに野心がある。表現したいコンテンツもある。それでは何をすべきか。本書はそのためのメソッドを実に明快に解説してくれる。ネットの有意義にして安全な使い方を教えてくれる本書はその導きとなるだろう。
A「今日紹介するのは、梅津有希子さんの『ミセス・シンデレラ』という本です」 B「一口で言えば、…

女子高生が大暴れ! 吾妻ひでおワールドは斯くも進化を遂げた。これまでの吾妻ひでおファンにも、そして新規の吾妻ひでおファンにも自信を持ってお薦め出来る、この上なくぶっ壊れた作品の数々。頭を休めたい方に。
もしも耳垢を取っていて、中から美少女が出て来たら!? 吾妻ひでお氏はこんな奇想天外な現象をいとも簡単…

アイス・バケツ・チャレンジとは一体何だったのか。 ALS (筋萎縮性側索硬化症)に直面した場合、人はどう生きるべきなのか。当事者の言葉が満ちている本書は、そうした難問を解くためのヒントとなり得る一冊だ。
アイス・バケツ・チャレンジとは何だったのか。まずそこから話を始めてみたい。もしも遅過ぎるようであれば…

「在日特権」。果たしてそんなものが存在するのか。野間氏はひとつひとつその特権について洗い出し、その「虚構」性を暴いてみせる。その論述はキビキビしていて無駄がない。思わず膝を打ってしまう指摘の数々。
本書はヘイトスピーチ(世間の慣例に従い、中黒抜きで表記することにする)に関する書物であり、なおかつネ…

御年 90 歳を迎える、軽妙洒脱なエッセイストとして知られる外山滋比古氏の語る人生論。「勝ち負け」と「ストレス」という言葉を軸に様々な教訓が開陳される。平易極まりない文章に散りばめられた「考えるヒント」。
外山滋比古氏の本を読むのは実はこれが初めてになる。だから外山氏の過去の文章と照らし合わせて論じること…

ヘイトスピーチが確実に進行している。それは在日コリアンや被差別部落民等のマイノリティに多大な精神的ダメージを与えることに繋がっている。その熱狂に飲み込まれないためにも、本書の議論は大いに参考になる。
ある日、貴方が通う学校や会社に見知らぬ集団が押しかけてきて「ゴキブリ」「日本から出て行け」等という侮…

ヘイトスピーチ。この耳慣れない言葉は 2013 年になって広まった。ヘイトスピーチと表現の自由はどこで折り合いをつけるべきなのか。それを考える上でも本書の議論は外せない。本書の議論を踏まえて向き合いたい。
昨今話題を呼んでいる「ヘイトスピーチ」。具体的にはマイノリティに対する中傷・差別ををあからさまにする…

政治における「保守」とは何だろうか。そもそも「保守」思想とは一体何を守ろうというのだろうか。私にとって実は割と謎だったことが、この本を読んで氷解したようなそんな気持ちにさせられた。挑発的な論考集。
「保守」という政治的立場が存在することは多く知られているだろう。しかし、例えば活字の原義に倣って「保…

あくまで「観光」を楽しむということ、そして多々な偶然の中を「観光」する気持ちで生きるということ。東氏はそのような身軽なライフスタイルを称揚する。若い読者にこそ読んで貰いたい、一癖ある「挑発的人生論」。
本書のキーワードは「観光」である。旅人であること。それは必ずしもどこかに所属するのではなく、またどこ…

天皇に戦争責任はあったのか。平和憲法とはそもそも何なのだろうか。普通なら逃げてしまうだろうこうした問題に、著者は独自の皮膚感覚を駆使して真っ向から挑んでみせる。そこで浮かび上がる「戦後」の正体とは。
知られるように、人は独自の論理によって動いている。ネットを覗いてみよう。そこでは様々な人間が様々な論…

「天皇の戦争責任」は果たして存在するのか否か。日本においてタブーとされてきたこの問題に、十代の少女であるアカサカマリは真向から挑んでみせる。その結果もたらされたものは何か? 戦後を考える上で有益な一冊。
既に知られるように、日本は敗戦記念日/終戦記念日を迎えた。戦後 69 年という月日が経った。あの戦争…

もうひとつの世界を幻視する能力に長けた作家・津原泰水氏がこよなく愛する音楽を中心に自伝的な文章や日記を集成して作り上げられた一冊。なかなかヴァラエティに富んでおり、まさにファンなら必読の一冊だろう。
津原泰水氏がこよなく愛する音楽について様々な切り口から語った一冊。それが『音楽は何も与えてくれない』…

生きることに悩んで「死にたい」と考えたなら、まずは同じ苦境を生きている海猫沢氏による本書を読め。そう言いたくなって来る。自殺に抗して生きていく上で、本書のヒントは多々参考になるはずである、と思うのだ。
本書を読みながらこれは鶴見済『完全自殺マニュアル』への、もしくはそれに付随する「自殺すればラクだ」と…

最晩年の作品「玄鶴山房」「歯車」「或阿呆の一生」を収めた一冊。薄っぺらい文庫本なのだけれど、中身は非常に濃い。自死をギリギリのところまで考え抜いた知的な作家の苦闘が伝わって来て、言葉を失ってしまう。
誰もが知るように、芥川龍之介は服毒自殺でこの世を去った。三十代半ばだった。 河童忌を迎えたとい…

「青春」とは何なのか? どうして作家は「青春」を描くことに惹き付けられるのか? それを明確にしていると思しきアンソロジー。太宰・三島から田中康夫氏に至るまで、その選択の幅は広い。良質な短篇集だと思う。
「青春」とは何だろうか。そんな素朴な次元から書評を始めてみたい。一体何なのか。 辞書的に定義す…

ユダヤ系作家バーナード・マラマッドが残した 13 編の短篇集。どの短篇集も総じて後味は苦い。これは大人向けに書かれた一冊ではないか。地味ながらキラリと光る短編職人の技が冴える一作となっているように思う。
本書は、バーナード・マラマッドに拠る 13 の短編群を集成したものである。 バーナード・マラマ…

東日本大震災「以後」、表現の世界はその趣を一変させられてしまった。一体あの震災によって何が変わり、何が生み出されて来たのか。それを知るためにも本書は格好のガイドブックであり、紛れもない「批評」である。
佐々木敦氏は相変わらず(と言っては失礼だけれど)フットワークが軽い。氏は、これまでの著作に見られるよ…