海球小説




帯文にあるように、たしかにこれは〈新しいスタイルの発達障害本〉である。――などと、短絡に思いつつ読み進めていたわけだが、第II章からの展開に、びっくりしてしまった。
昨年、わが子が「発達障害」の可能性があると診断された。本人はもちろんのこと、親である私にとっても「…
本が好き! 1級
書評数:382 件
得票数:2900 票
村上主義者。




帯文にあるように、たしかにこれは〈新しいスタイルの発達障害本〉である。――などと、短絡に思いつつ読み進めていたわけだが、第II章からの展開に、びっくりしてしまった。
昨年、わが子が「発達障害」の可能性があると診断された。本人はもちろんのこと、親である私にとっても「…




安西水丸さんが東京のあちこちを歩き、印象に残った風景をイラストとともにつづったもの。加えて、自作の俳句が添えられているのも嬉しい。
2014年に急逝した安西水丸さんは、晩年まで精力的に仕事をこなしていた。それらは死後、『東京美女散…





本来の読み方とは違うのかもしれませんが、僕はこのアーレントの本を「行き過ぎた資本主義の末路」という観点で読みました。
アイヒマンはナチの上級将校で、ホロコーストへのユダヤ人の移送を指揮した人物です。戦後、彼の裁判…





灯台のように聳える異形の書舗「弔堂」――一度訪れてみたい。
京極夏彦の小説を初めて読んだのはデビュー作『姑獲鳥の夏』だった。たしか刊行されて間もない頃…




第168回芥川賞受賞作。久しぶりに真っ当な、ストレートな、小説らしい小説を読んだ。
第168回芥川賞受賞作。舞台は仙台市の沿岸にある荒浜地区。東日本大震災発生時、いち早く速報…





プーチンは声高にソ連回帰を叫んでいる。どうやら四十数年前のアフガンの悲劇も再現する気のようだ。ほんとうに愚かだ。
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチは、ウクライナの生まれ。2015年にノーベル文学賞を受…




第67回 江戸川乱歩賞受賞作。帯に「館」×「特殊設定」×「孤島」×「百合」とあってなんじゃらほいと思って読んだらほんとに「館」×「特殊設定」×「孤島」×「百合」だった(笑)
第67回 江戸川乱歩賞受賞作。帯に「館」×「特殊設定」×「孤島」×「百合」とあってなんじゃ…





御年八十九歳の辻真先が戦後すぐの名古屋を舞台に描く青春ミステリ。名古屋人にとっては馴染みの深い場所が劇中に次々と登場するわけだからこれはたまらない。
副題には「昭和24年の推理小説」とあって、舞台は戦後すぐの新制高校。ミステリ作家志望の高校生・…




第165回芥川賞受賞作。架空の〈島〉に漂着した少女の成長譚。カズオ・イシグロの作品のような「柄の大きな物語」だと思う。
南海の〈島〉らしき浜辺に、少女が打ち寄せられる。最初に少女を見つけたのはその〈島〉に暮らす…




第165回芥川賞候補作。今年の「群像新人文学賞」当選作でもある。つまりこれがデビュー作なわけだが、新人とは思えないほどの傑作だった。
第165回芥川賞候補作。今年の「群像新人文学賞」当選作でもある。つまりこれがデビュー作なわけだ…




『サンデー毎日』の長寿連載をまとめた中野翠の最新コラム集。無理して若ぶっているわけではないし、かといって、説教臭くもない。このあたりのバランス感覚が、おそらく中野の真骨頂なのだろう。
中野翠の最新コラム集。『サンデー毎日』掲載のものだが、同連載のスタートはなんと一九八五年。じつ…




「ハゲタカ」シリーズの真山仁渾身のルポルタージュ。圧巻のボリュームですがすらすらと読み進めていけるのは、さすが人気エンタメ作家の面目躍如といったところ。
僕が真山仁のデビュー作『ハゲタカ』の続編『ハゲタカ2』の文庫解説を依頼されたのは二〇〇七年のことだ…





池波正太郎の「銀座日記」同様、こちらも銀座のタウン誌『銀座百点』掲載のアンソロジー。たったの五百円ほどで文化人総勢六十名の文章を味わえるお得な一冊。
池波正太郎の「銀座日記」同様、こちらも銀座のタウン誌「銀座百点」掲載のもの。古くは遠藤周作や有吉佐…





老舗タウン誌『銀座百点』に連載された池波正太郎の日記。最晩年であるにも関わらず、日記のなかの池波は、じつ健啖だ。
池波正太郎のこの日記は『銀座百点』という老舗タウン誌に八年にわたって連載された。昭和五十八年か…




前代未聞の「大泉洋主演小説」。出版業界を舞台に大泉さんが大暴れします(笑) 映画版と併せて読むのがベストかも。
僕が初めて「大泉洋」という役者を知ったのは雑誌『ダ・ヴィンチ』誌上だった。バックナンバーを調べ…





早くも今年のマイベスト。自伝と呼ぶにはもったいない。自伝であると同時に戦後東京史であり江戸につながる民俗誌であり博物誌でもある。
早くも今年のマイベストといえそうな一冊に出会った。荒俣宏『妖怪少年の日々 アラマタ自伝』(角川書店…




オードリーのオールナイトニッポンを聴いてると春日よりも若林のほうが面白いというのがよくわかる。
オードリーのオールナイトニッポンを聴いてると春日よりも若林のほうが面白いというのがよくわかる。テレ…





架空の一九八二年のイギリスでアンドロイドと恋人たちの三角関係が始まる。哲学的な命題をさらりと読ませる手腕はさすがのマキューアンです。
イアン・マキューアン『恋するアダム』は「科学」と「道徳」の物語だ。その拮抗に立ち向かった哲学者と言…




1965年の入学から68年までの足かけ4年間の学生運動の時代をつづったもの。文庫版には中野さんと同級生だった呉智英さんとの対談が収録されています。
中野翠さんのエッセイ『あのころ、早稲田で』(文春文庫)を読みました。中野さんは早稲田大学の卒業生で…




『靴ひも』というタイトルは「絆」という意味もあるけど、「しがらみ」という厄介なものの象徴でもあります。家族の絆をぐちゃぐちゃにして出来上がったしがらみは、一生ほぐすことはできない。
ドメニコ・スタルノーネ『靴ひも』(新潮クレスト・ブックス)を読みました。「新潮クレスト・ブックス」…