鷗外青春診療録控 本郷の空 (単行本)




二十歳の鷗外を連作短編小説で清々しく活写。まるで端正な大河ドラマのよう。味わい深い作品。
明治の文豪、森鷗外(本名林太郎)は東大医学部を卒業後、父が千住に開いた「橘井堂医院」を手伝っていた。…

本が好き! 1級
書評数:41 件
得票数:554 票
アラ還の会社員です。東京都杉並区高円寺在住。休日は書店巡りや図書館でのんびり過ごしてます。
若い頃は大江健三郎さん、高橋和巳さんなど硬派の純文学が好きでした。高円寺のコクテイル書房がはじめた共同書店「本の長屋」に箱店主として店を出しています。




二十歳の鷗外を連作短編小説で清々しく活写。まるで端正な大河ドラマのよう。味わい深い作品。
明治の文豪、森鷗外(本名林太郎)は東大医学部を卒業後、父が千住に開いた「橘井堂医院」を手伝っていた。…




戦争の現実に正しく向き合うためには避けられない課題がある。本書のテーマもその重く困難な課題の一つである。
著者によるとー 1990年代に起きたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の戦死者数は、20万人という広く報…



畏友、西部邁氏をめぐる回想記。原点は札幌の中学生時代、越境通学の汽車で二人が交わした会話や時代特有の空気、そしてお互いが抱える孤独にあった。
地道な昭和史の研究家であり穏やかな語り口で温厚な印象の著者、保阪正康氏。一方、Nこと西部邁氏は東大教…




小豆島を舞台にした山羊のカヨとの純愛物語。じっと見つめ合う姿に癒やされる。
著者(=私)である内澤旬子さんは都会を離れ小豆島へ移住する。そしてカヨと名付けた雌ヤギとの暮らしを始…





「うまい肉」を求めて日本各地を巡る。動物の肉を五感で味わい、命を慈しむ。実に官能的なノンフィクション。
著者である平松洋子さんは、食をめぐるエッセイやノンフィクションの猛烈な書き手である。緻密な取材をもと…




コロナパンデミックを振り返り、日本はあくまで国民の自粛でパンデミックが終わるのを待ったのだと。軍事との関連性を絡め感染症対策の歴史をやさしくひもとき、欧米と比較で政府の使命を果敢に論じる。
著者は社会学を大学院まで学んだのち医学部へと進んだ。国際的な機関や企業で研究者としての経歴があり医療…





宮崎での6年半、ゆたかで穏やかな生活と短歌への熱い思いが伝わる著者の近況報告。
著者は息子の全寮制の公立中高一貫校への進学を機に石垣島から宮崎市に移住する。本書は2016年7月から…





少子化が進む中、不登校やいじめの増加など公教育の現場は試練にさらされている。戦後教育史を振り返りつつ、「こどもの権利」を手がかりに教育再生への希望の書である。
ここ30年間で不登校といじめの件数は、小学生で5.2倍と4.6倍、中学生で2.5倍と6倍に増加してい…




東大生って、やっぱり素晴らしい。そう思わされる数々のエピソード。
国家公務員合格者数で東京大学出身者が減り続けている。先日の新聞で報じられていた。官僚を目指す東大生が…




南雲、デーニーッツ、パットン、ド・ゴールら各国の指揮官十二名のコンパクトな評伝。著者ならではのあらたな十二の墓標である。
新書大賞を受賞した『独ソ戦』は、ドイツ、ソ連それぞれの殲滅戦を描き出して戦慄的であった。 軍事史の…




忘却された現代史の舞台を訪れ、地形と思想との関連性や時代に伴う変遷に思い巡らす。政治史を学べる旅行ガイド。
鉄道ファンとして独自の視点で日本の現代史や政治史にアプローチする原武史氏。本書で著者は国内の7つの現…




国際作家として活躍する黒木亮氏の若き時代、ロンドンでの駆け出しバンカーとしての格闘の日々を詳細に再現。主人公とともにバブル絶頂期の邦銀の野心と勢いが眩しい。
黒木亮氏が国際金融の世界を描いた小説「トップ・レフト」で作家デビューしたのが2000年、黒木氏が43…





意志を持ち人間支配に抵抗する動物たちの存在を通じて問う真の動物解放。動物愛護を超えて私たちを告発する書である。
人間支配に抵抗する動物たちの存在は過去から知られていた。本書で紹介されるのは、その動物たちが、人間支…




コロナ禍から日常を取り戻していく東京・大井町が舞台。したたかさとともに性と運命に向き合って生きる女性が主人公。リアリティの限界に踏みとどまりつつ円熟味を増す白石氏の孤独の美学をじわり味わいたい。
「人は大事なものを一つ貰うと、同じくらい大事なものを一つ失ったりする。」 自分の誕生とともに病…

東大生の学びを通して考える、現代における教育格差とは。教育社会学の絶好の入門書である。
私は東京大学出身ではないし教育関係者でもない。高校3年生の息子がどうやら東大を志望していて、しかし本…




権威失墜や就活人気凋落が指摘されて久しい国家官僚。そのトップである事務次官の実像に真面目に迫る。
私は官僚ではなく民間企業に務める、いわゆる中間管理職である。民間企業でも出世や人事を巡る話題は一番の…



ノーベル文学賞受賞し国民的作家となった川端康成の活動の軌跡を丹念に辿る。マスメディアの進化とともにあった川端文芸を再評価する。
日本情緒あふれる「雪国」「伊豆の踊子」、端正な和服姿で昭和時代の国民的作家であった川端康成は今も読み…





文学作品を通してJR中央線沿線の各駅ごとの特色や魅力を再発見。中央線ゆかりの作家たちが身近になる。
JR中央線の東中野から八王子まで各駅ごとに代表的な小説や作家をコンパクトに紹介していく。松本清張や村…




敗者への眼差しを通じて語る逆説的な東京論。ファミリーヒストリーを重ねつつ、勝者である東京の隠れた古層を敗者からの視点で蘇らせる。
著者によれば東京はこれまで少なくとも三度、占領された。家康、薩長連合、米軍。著者はかつて多島海であっ…




図書館めぐりがもっとずっと楽しくなる。肩肘張らないゆるい図書館ガイド。
全国各地の図書館を巡る旅のエッセイ集。有名な図書館ではなく、著者がたまたま訪れた街や村での図書館との…