魏志倭人伝・卑弥呼・日本書紀をつなぐ糸



自然地理学者が日本書紀や魏志倭人伝に基いて邪馬台国問題、そして日本古代、「倭国」の姿へと迫る随筆。日本古代史の新しい物語がひらかれる。
魏志倭人伝、卑弥呼、日本書紀。日本古代史好きにはたまらない単語が書名に並ぶ本書は学術書ではなく「随筆…

本が好き! 3級
書評数:17 件
得票数:61 票
"ポイントを指摘して、作品をより分かりやすく"
"補助線を入れて、作品をより魅力的に"
元人文系大学院生。
ナラティヴ・スタディーズ(Narrative Studies)専攻。その他関心領域は、ナラティヴ・アイデンティティ論、自己物語論、自己物語の生成過程研究、自己・自我論、病いの語りと治癒etc...。
関連領域の学術書(文学・哲学・社会学・心理学etc...)&小説では日本文学(近世~現代)とファンタジー文学をよく読みますが、基本的に雑食なのでジャンル問わずレビューしていきます。
修論やら、社会人になったやらでしばらくお休みしてましたが、書かないと色々錆びつくのでぼちぼち再開しようと思います。
2015/09/06更新



自然地理学者が日本書紀や魏志倭人伝に基いて邪馬台国問題、そして日本古代、「倭国」の姿へと迫る随筆。日本古代史の新しい物語がひらかれる。
魏志倭人伝、卑弥呼、日本書紀。日本古代史好きにはたまらない単語が書名に並ぶ本書は学術書ではなく「随筆…





医療化する社会の中で「病名を付ける」という行為が、「病名」が持つ意味とは何か。
僕たちはいま、医療化する社会を生きている。 科学の進歩によって、過去には分からなかった病気がどんど…





ミヒャエル・エンデに見出された現代ドイツ文学の旗手・ラルフ・イーザウ。『ネシャン・サーガ』で有名になりファンタジー作家として知られる作者が贈る、ヨーロッパ全土を舞台に駆ける壮大な音楽ミステリ。
ラルフ・イーザウと言えば『ネシャン・サーガ』に代表されるファンタジー作家として有名であるが、今作は現…


1970年代を舞台に、主人公・奈々子の高校時代を描いた青春ストーリー。松任谷由実の『卒業写真』の詞を枕に、奈々子自らが回想する青春時代。「青春」は「思い出す」からこそ、キラキラと輝くのかもしれない。
「恋」「部活」「勉強」。 一昔前でも、青春の要素は今とあまり変わらないらしい。 主人公の奈々子は、…





採用担当者や就活塾講師など「オトナ」たちでは絶対に書けない内容が盛りだくさん。就活本は数多くあれど、ここまで就活生目線のものはあまりないだろう。本当に就活生のために書かれたと感じることができる数少ない良書。
決して上から目線ではなく、就活生と同じ目線で語りかけてくる。良い意味で友達のような本。 就活…
![二十歳の原点序章 [新装版]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51kOwTy3qQL._SL160_.jpg)
『二十歳の原点』三部作の二作目。著者のの17歳(高校3年)から19歳(大学2回生)までの日記。大学に入学するということは、私(たち)にとって大きな断絶なのかもしれない。彼女の日記からはその断絶を必死に乗り越えようとする姿が感じられる。
『二十歳の原点』三部作の二作目である本書は、大学受験を控える高3の冬から19歳、大学2回生の冬までが…




「この話は1970年の8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終る。」 「僕」が想起して語るひと夏の物語。群像新人賞受賞の村上春樹デビュー作。
主人公の「僕」は、回想を今から語る、と宣言する。「僕」が過去を想起して語る、という構造は、村上春樹作…




本書はいわゆる「電子書籍本」ではない。ネットワークと電子媒体の登場によって、私たちの世界がどのように変化してきたのか、あるいはこれからしていくのかを主に「文学」の視点から考察した論考集。
本書はタイトルから想像されるような電子書籍の話ではない。最初から最後までほとんど文学の話。ただ、著者…
![二十歳の原点ノート [新装版] 十四歳から十七歳の日記](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/5176JmgyhRL._SL160_.jpg)
『二十歳の原点』三部作の一作目。著者のの14歳(中学2年)から17歳の秋(高校3年)までの日記。人に読まれることを想定していないからこそ、ひとつひとつの言葉がずっしりとした重みと、確かな質感を持っている。
正直に言って、本書について語るべき言葉を私は持っていない。 「純粋さ」や「孤独感」と言った青春時代…





私たちが持っている日本史観、日本人観を徹底的に問い直す良作。日本は古代から農業中心の社会体制である、海に隔てられた島国であるといった「常識」がいかに無根拠で曖昧な前提の上に成り立っているかを様々な角度から示してくれるだろう。
本書を読むと私たちがいかに無根拠で極めて曖昧な前提のうえに歴史をとらえているかが良く分かる。扱われる…



本屋大賞受賞作。各章が登場人物の告白という形で進行する本作。彼らは、少しずつ「ズレ」た「語り」を展開していく。単なる善悪/正否の相対化にとどまらない「告白」の連鎖が持つ意味とは。
「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたのです」 3月。終業式終了後のH…





江戸の精密な実測復元図に、現代の鉄道線路を重ね合わせ、江戸という町の、江戸の人々の生きた姿を、現代に蘇らせる。年表、教科書では知ることのできない新たな「江戸」が発見できること請け合いの一冊。
江戸古地図に現代の鉄道を重ね合わされているカバーを見てジャケ買い。 江戸の精密な実測復元図そのもの…



大人になれないまま生き続けることを宿命づけられた「キルドレ」にとって、「生」とは、あるいは「死」とはどのような意味を持ちうるのか。
静かで、淡々とした物語。余分な描写が省かれていて、それが余計に主人公たちの心情を際立たせている。 …




彼女が笑うのは、空を飛んでいるときだけ。飛んでいるときだけ「生きている」気がするから。静寂に包まれた空で、彼女は何を思うのだろう。スカイクロラシリーズ2作目。
時系列順では一番最初の話である。前作に引き続き、静かで、そして透明な物語。戦闘シーンでさえも静寂に包…



専門学校生で19歳の「オレ」とその学校の講師で39歳の「ユリ」との恋愛を描いた小説。物語は「ユリ」との恋愛を「オレ」が回想するという形で語られる。何気ない日常が、きらきらと輝き出す。
この作品で描かれる「オレ」は、徹底して従来のジェンダーコードを倒錯させている。繊細で、感覚的で、半…




第9回大佛次郎論壇賞受賞。コミュニティの崩壊が叫ばれて久しいが、「崩壊している」と叫ぶだけでは空虚なだけである。コミュニティ問題とは何か、何が問題とされているのかを考えるうえで本書は大きな助けとなるだろう。
第9回大佛次郎論壇賞受賞の本書。300ページ近くあり、新書にしてはなかなか読み応えがあった。 …





都内の2LDKのマンションでルームシェアをしている男女4人の若者。互いのプライベートには踏み込まないという暗黙のルールで続いていた共同生活が、男娼の小窪サトルが加わることによって...静かに、少しずつ、動き始めた。
都内の2LDKのマンションでルームシェアをしている男女4人の若者。共に暮らしていながら、そこには相…