終末のフール




地球の滅亡…こんなテーマを扱っても伊坂ワールドは何とも温かい。こんな見方もあるよとユーモラスに語ってくれているようです。
8年後に小惑星が衝突して地球は滅亡する。そんなニュースが流れたら私だったらどうするだろう。その終末を…

本が好き! 1級
書評数:273 件
得票数:2307 票
年齢の壁の前に、すぐ忘れてしまいそうになる感想を書きとめようと思って書きはじめた書評ですが、献本を受け取ることで自分の本選びの幅もひろげられた様な気がします。皆さんの書評で気になったのものもメモって図書館に行ったり、このサイトに出会ってよかったなと思っています。今後もよろしくお願いします。




地球の滅亡…こんなテーマを扱っても伊坂ワールドは何とも温かい。こんな見方もあるよとユーモラスに語ってくれているようです。
8年後に小惑星が衝突して地球は滅亡する。そんなニュースが流れたら私だったらどうするだろう。その終末を…



ドアの向こうに子連れのエホバの信者が来られると、その子たちをとても気の毒に思ったのだがそのからくりも見えた気がします。
本書は、9歳から35歳までをエホバの証人として過ごした人が、教団での体験、そしていかにしてそのマイン…




チェス師を題材にハンディを抱えた人間たちの温かな交流を描いた作品。小川洋子の独特なストーリの展開に引き込まれます。
「最強が最善とは限らない」 主人公にチェスを教えてくれたマスターの言葉。美しい手合わせ、きれいな駒…




続きを読みたい!尽きぬ謎解きに翻弄されながら、自分の推理が正しいのかとっても気になる。やっぱりと思った瞬間、思いもかけぬ気付きが。長さが気にならない面白さである。
一緒に山へ登った彼女が忽然と消える。殺人容疑を掛けられる状況の中、ハリーは彼女の残した写真からその足…



嘘のような華々しい戦闘場面に圧倒されるがそれでも海戦の勇ましさは確かに伝わったと思える作品。
私の住む北陸の地では、一向一揆は誰もが知る郷土の歴史でその名残をとどめる地名や祭りなどもある。信長が…




本の厚さが気にならない面白さ。貴族の館に起きた殺人事件の陰に思いがけない真実が隠されていた。二転三転する「真の殺人者」。最後の最後までどんでん返しは続く。
母とともに父の墓参に出かけた娘は、そこでかつてから心にとめていた母の秘密について知ることとなる。しか…




紹介されて初めて知った作家ですが、その世界に呑み込まれる感がしました。巧妙に仕組まれた謎を解く過程で、わかってはいながらずるずると入り込んでしまう人間の弱さを共感しながら読みました。
ここには二つの時代の二人の男の物語が語られている。というよりも、孫の世代に当たる歴史家ラドフォード(…




作家が作家としてあることの意味がなんとなく伝わってくる取材日記ならぬ取材物語。
原稿を書き上げるための取材をつづる日記。そうか、こんな風に取材して書くのか…なんて思っているとあれあ…




8篇の短編集。それをつなぐ「人質の朗読会」という思いがけない構成。何気ない日常とそれを破る出来事、読後の心地よい余韻を感じさせる。
観光ツアーの8人がゲリラに拉致される。その人質の遺品として公開された盗聴テープの中の朗読。そこには一…



上下を通しての書評です。人の死、宗教と哲学、わからないことだらけでしたが結末が知りたくて読み通してしまいました。
禅宗の僧である福沢彰之は、餓死した妻の元から息子を引き取るが、この若者は人と対話することができずひた…




形見を収蔵する博物館…そんな場所があったらちょっと怖いですよね。(でも視点を変えれば博物館ってすべてがある意味での形見なのかなって思うことも)それを作るために招かれた技師さんの物語です。
沈黙博物館とは、死んだ人間の形見を展示する場所として老婆が私財を投じたものである。そこに雇われた技師…




妻を殺して自殺した夫…という事件の陰に隠れた真実。私立探偵マーロウが解き明かす思いがけない結末。でも途中からその結末が見えてきたのは気のせいか…?
私立探偵業を営むマーロウ。年齢に不相応の白髪と顔の片側に残る大きな傷跡の残るテリーとの出会いは、思い…



恋愛小説家とはなんと素敵な仕事かと・・・。人と人との出会い、付き合い、そして別れ。自分の気持ちに正直であるということは孤独を恐れないっていうことなのかな。ちょっぴり背伸びした粋な恋の行方ですね。
恋愛小説家の恋のお話。 恋=結婚=幸せな家庭という一般の常識から逸脱した、過去にこだわらない生き方…




刑事小説、経済小説、そして文学それ自体としても興味深く、引き込まれてしまう作品。会田雄一郎―加納雄介シリーズの一作目。
高村薫さんの名前を知ったのは、中日新聞の論説コラムでの連載である。その後、浄土真宗大谷派が出している…



土の中に生き埋めの状態にされた子ども。児童養護施設で育ち 青年になった彼の中には消すことのできない傷が残っている。
以前読んでなかなか書けなかった1冊。今度書いてみようと思ったのは、日テレドラマ「明日、ママがいない」…




妻の住む家のドアの前に立つ帰郷者の兵士がとった行動とは?そして彼女の元恋人が同じように戸口に立った時の主人公の選択は?追い求める真実と若者の思いが交錯する読み応えのある物語。
祖父母が営む出版業。裏は読んではいけないよと渡された再生紙のノート。言いつけを守り通した少年があると…



ちょっぴりミステリータッチで描かれた老作家の、自称「ユーモア」を交えた作品です。
学生時代に大江作品を読んでいたころ、二つの感想を聞いたことがある。 「社会人になったら大江は読…




恩赦を受けて20年ぶりに出所した元テロリスト。母代わりに彼を育て、その死を恐れて密告した姉が用意した社会復帰の糸口となるべき昔の仲間との週末の合宿。それは思いがけない3日間となった。
ここには2つのテロリストの物語がかかれている。一つは恩赦を受けて社会に戻ろうとして、この場にいる老い…




10年以上の歳月を経ても、考えさせられる企業倫理、そして組織と個人と言うテーマ。日本航空が再上場した年に山崎さんが亡くなったという不思議なめぐり合わせも感慨深い。
「この作品は多くの関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基づき、小説的に再構築し…




人間のねたみそねみが組織の中で渦巻いている。それでも組織自体はあたかも命を持っているかのように巨大化していく。そんなダイナミズムを十分に愉しませてくれた作品。
シベリア抑留の過酷さを描いた1巻。そして2巻以降は、商社マンとしての壹岐の生き様を描く。 この…