少女架刑-吉村昭自選初期短篇集I




吉村文学の原点、「死」に酔う
生涯、いわゆる文壇とは距離を置いて、精力的に小説を発表し続けた吉村昭。彼がまだ作家志望の大学生だった…
本が好き! 1級
書評数:330 件
得票数:3632 票
若いころは雑読系を自認してました。最近は齢のせいか、根気が続かず、哲学、思想、科学の本だとつい敬遠してしまいます。みなさまの書評を読むことは、視野狭窄にならないためのサプリだと気づきました




吉村文学の原点、「死」に酔う
生涯、いわゆる文壇とは距離を置いて、精力的に小説を発表し続けた吉村昭。彼がまだ作家志望の大学生だった…




伝説のテロリストの空疎な中身
大正から昭和初期にかけて、日本は暗いテロルの季節を迎える。本書はその嚆矢となった安田善次郎殺害事件の…




巨匠が遺作で警告する「混沌の時代の到来」
好きな作家の遺作とあって感慨もひとしお。味読させてもらった。舞台設定は、例によって現代の英国情報部M…




スターリンの底意を知る元寵臣の警鐘が無視されていなければ……
隣国ウクライナに侵攻したロシア大統領プーチンは、スターリン時代の大ロシア主義に先祖返りした。1956…




往生際の悪い取材者でなかったら導けなかった見事な結論
関連する映画を観て以来、このテーマに憑りつかれてきた。あれこれ調べても釈然としない。本書を読み終えて…




リアリティに満ちた「国境の海の無法状態」を、入念な現地取材で描き出す
著者の亀野はアメリカ映画の助監督だったという変わり種。ノンフィクション・タッチの作風だが、背景が特殊…




冒険のモチベーションは恋愛だった
上梓された1988年の「週刊文春ミステリーベスト10」で1位、「このミス!」で3位に入るほど高い評価…




唱歌に刻まれた明治人のコンプレックス
猪瀬直樹という作家にこんなにも抒情的な一面があったのか、と驚かされた。ただ抒情といっても、けして甘っ…




寝しなに読んでしまい深く後悔
怖いもの見たさの軽いノリから手に取った本。考えてみればホラー小説に自分はどれほどの慣れも耐性もない。…




国共内戦の最終盤、蒋介石率いる国府軍の窮状を見事救った日本人助っ人!!その存在はなぜ消されたか?
習近平が台湾への武力侵攻に言及して憚らない今こそ、読んでおいて損のない一冊だ。単に「こんなすごい日本…




どこかプロレタリア小説めいた感触も……
島崎藤村の小説が初めて外国で読まれたのは、1930年代前期のソ連で、作品は『破戒』だった。翻訳者はレ…




元タカラジェンヌの乱歩賞作家!!!……女流が描く女の怖さ
作家目線で考えると、女性の社会進出などまだ遠い先の話だった戦後の日本で、歯ごたえのあるミステリーを仕…




インチキな自由診療が蔓延る余地
タイトルに惹かれて購入。この人の作品はどれもタイトルが光っていて、つい手が伸びてしまう。編集者のセン…




面白さで甲乙つけがたい短編たち
モームの人生はそれ自体、小説的だ。 両親ともイギリス人なのにパリ育ちのため英語が苦手。父母を相次ぎ…




騙される愉しみ!!……今も輝きを失わない昭和黄金期の短編推理小説集
余計な情景描写はほぼない。時代背景はかろうじて単語から類推できるのみ。「推理小説の成否は、ただただ読…




非正規雇用者を量産した小泉政治……それを支えた三人の「異形の血脈」
自民党の派閥が、パーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載せず、裏金ではないかと疑念を呼んでい…




ロシア帝国臣民として、戦争、革命、内戦の時代を生きた日本人移民二世の波乱万丈
日露戦争前、シベリア鉄道の建設にはロシア、中国、朝鮮などの労働者に日本からの工事人夫も加わった。中で…




伝説のヒーローは、日本人移民の子としてマレーに生まれ、ひとりのイスラムとして死んだ
テレビ草創期を彩った伝説の子供向けアクション番組「怪傑ハリマオ」。ヒーローのハリマオは、顔の四分の一…




時空超えた二つの殺人と「インモラルな男女関係」!
万人が認める小説巧者、吉田修一の作品だから、最後のページを閉じて、どこかしっくりこないと感じるのは、…




八甲田山遭難で忘れられた最後の一兵卒!彼は悩み多き中年編集者に何を伝えたかったか!!
120年前に起きた「八甲田雪中行軍遭難事件」で今も残る謎、という重たいテーマに挑みながら、あえて通俗…