椿宿の辺りに



梨木香歩さんの新刊、しかも非常に面白かった記憶のある「f植物園の巣穴」の続編、ということでどひゃーっと飛びついたんだけど。…う〜ん、期待したほど面白く感じられなかった。
梨木香歩さんの新刊、しかも非常に面白かった記憶のある「f植物園の巣穴」の続編、ということでどひゃーっ…

本が好き! 1級
書評数:49 件
得票数:645 票
異界ものとか童話とか好きです。多分趣味が偏ってます。



梨木香歩さんの新刊、しかも非常に面白かった記憶のある「f植物園の巣穴」の続編、ということでどひゃーっと飛びついたんだけど。…う〜ん、期待したほど面白く感じられなかった。
梨木香歩さんの新刊、しかも非常に面白かった記憶のある「f植物園の巣穴」の続編、ということでどひゃーっ…




森見登美彦節炸裂満開、これぞ彼の真骨頂、京都、迷宮、祭りの夜、神隠し、てんこもりのモリミン版千夜一夜の素晴らしさ。
森見登美彦節炸裂満開、これぞ彼の真骨頂、京都、迷宮、祭りの夜、神隠し、てんこもりのモリミン版千夜一夜…


おもしろいけどおもしろくない。 うまいな、と思う反面、この、何とも読後感の悪いからっぽのあじきなさはどこから来るのか。
2016年芥川賞受賞作。 読者レビューページなんかをさあっと眺めてみると、大まかな共通の感想と…


「100分de名著」カミュの「ペスト」がおもしろかった。…ので、放送四回分、番組の印象、自分のための読書の手引き用メモを指標にしつつ、膨らませる企画をもって、一読の備忘録的な記録。
「100分de名著」カミュの「ペスト」録画やっと観た。 「100分〜」はレヴィ=ストロース「野…

不思議なパラレルワールドを描く。混沌の人生の「森」に迷いながら、運命と理不尽に翻弄されるふたりのルツの姿、けれどその中で何かを意志的に選び取ってゆく、それはあらゆる女性の姿を描いたものでもある。
最近、長編を出すごとに常にさまざまな新しい冒険、実験をしているように思える、安定したスタイルに安住し…




世界が変わった、というのではない。でもちがう場所に行ってしまった。時々刻々と、いる場所は変化した。変わって、変わって、どこまで行くのかとおののいて、それからまた戻ってきた。けれどまだ、戻りきれていない
川上弘美のしっとりといろっぽく、少し怖いようなひらがなの使い方にぞくぞくしている。…「真鶴」再読、読…



難解さで有名な西田哲学。これを、全く異なる生物学の分野からのアプローチによって読み解こうとする。新たな解釈の道筋の可能性を探る異色の対談集である。
*プロローグの立ち位置 本書を理解するにあたって、冒頭に置かれたプロローグの在り方は非常に…

国際間の貧富の差、貧困、テロ、暴力、差別、自然災害、LGBT、…キャッチーなテーマで現代社会への問題意識が高く、それが非常に繊細な少女の感覚をもって描かれている。
この人の作品初めて読んだけど、なんかだめかも。 いい作品なのかもしれないけど自分にはダメだ、響いて…



びいんと響いてくる感情。やるせなさや、切なさや。そしてけれど、それを淡いさりげない日常としてとらえ流してゆく。淡々と流れる淡い日常そのものの価値を、ほのかな切なさと慎ましい幸福を見出す物語。
「僕の小鳥ちゃん」、「ホテルカクタス」。 江國さん久しぶりに読み返す。 この人の作品は…



さまざまなテイスト、さまざまな趣向を凝らした18篇からなるオムニバス。 (川上弘美のこういう面が好き、これはあんまり、とか、同じ川上弘美ファンであっても、どの作品を好むか意見が別れるところかも。)
さまざまなテイスト、さまざまな趣向を凝らした18篇からなるオムニバス。 (川上弘美のこういう面…



春樹の作品史において、何かの転回点であることは間違いないような気がする。
さくっと言ってしまうとあんまりおもしろくなかった。 が、いざこう言ってしまうとやっぱりおもしろくな…



大好きである。もう、幸せだった高校の頃の気持ちを思い出せる、というだけで、卒倒しそうに幸せなんである。しかも、「青春100連発」。 恥ずかしげもなく、青春全開。 …おすすめ。
…なんて甘く快い優しい読後感なんだろう。 あまりにもキレイゴトに快すぎて、「これは違うだろう。…




有名だけど読んだことないっていう古典は多い。だがいざ読みだすとその面白さに捕らわれる。幾度も読み返し、考えてみたい。優れた文学とはこういうものか。
昨夜読み終えた。実は今まで通して読んだことはなかった。(知識としてショッキングな出だしや有名な一節を…



テーマは「見えない暴力」だ。戦争と性的暴力とをめぐる権力と悲劇の構造のアナロジー。それは「普通」という大義名分を正義としてかざすことによって、弱者、搾取される側の自責の念を利用する、モラハラのことだ。
クラシックな道徳の教科書みたいな少年小説を下地に、意識的にか、少し生硬な思想、テーマがゴリっと硬く浮…



「クウネル」に連載されていた作品、短編集。 前作「ざらざら」に出てきた魅力のある登場人物も登場。 ほんのりしつつもさらりと読める、何だかんだで、川上弘美。きちんと余韻と深みをもった味わいの優しさがある。
クラシックに味わいのある魅惑の雑誌「クウネル」に連載されていた作品、短編集。 前作「ざらざら」に出…



これはひどい。ぞっとする。あまりにも怖い。 植民地時代の奴隷制度の中で、人を人として感じることのできない精神性の愚かしさが醜い残虐があぶり出されてくる異様にシニカルに冴えた手法。後味の悪さ天下一品。
これはひどい。ぞっとする。あまりにも怖い。 マリーアが、12歳のお誕生日に愛する家族からプレゼ…



世界が、今目に見えているような気がするものとは別の多数の可能性を秘めたものであることを教えてくれる。それは奔放なアリスのワンダーランド、いきいきとさまざまに変容していく不思議、わくわくな発見の連続だ。
図書館でさあっと眺めた程度なんだけど、くらくらするような、なんとも不思議な読後感。 自然科学と…

…これは、もう、漱石の「明暗」だ。 決してお勧めはしたくない、触れたくない部分、そのざらりとした不快さ。 だが、何て、素晴らしいのだろうか。何もかもをきちんと抉り出すまっすぐな眼差し。恐るべし、川上弘美。
ギシギシと、胸が痛む。 何だか、泣きそうになった。 涙が出そうなほどに、痛ましく、切なく、か…




問い直し、生まれなおし、生きなおしてゆく。沼の底、心の底、封印された深い闇の部分までもぐってゆき、戦い、自分自身を、その一部を打ち砕く。「さらばだ。あれもまた、私を形作っている何かには相違なかった。」
濃度の高い液体の中、ゆらり、ふわふわと、夢の中のような幻想を泳ぎ渡る感覚と、文章の、センスのよい小気…





大切なものを相次いでなくした主人公の喪失の痛みが、人々の歴史、文化、思想、パラダイムの中に刻印された同じ「喪失」を引き寄せる。幾重もの喪失の彼方に救済の方向を求める道行きの物語である。
幾重もの喪失。 さまざまの喪失の物語を重ねる旅なのだ。 時空を超えてゆく旅、さながらロードム…