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青玉楼主人

青玉楼主人 さん

本が好き! 1級
書評数:317 件
得票数:6342 票

散歩と読書の毎日。心に残った本について、心覚えに書評らしきものを書いています。
外国文学が好きで、よく読みます。

書評 5ページ目(317件中 81~100件目)

ヘミングウェイで学ぶ英文法 2

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ヘミングウェイで学ぶ英文法 2

予備知識なしに読む楽しみもあっていいが、文法といった硬質なものを梃子にして読むことで、また一段と小説を読む面白さを知ることができる。こんな本で英文法について学ぶことのできる今どきの若者が羨ましい。

英文法の本なのに意表を突く売れ行きを見せる『ヘミングウェイで学ぶ英文法』の続編、と言っていいのだろう…

投票(18コメント(0)2020-01-15

十二月の十日

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十二月の十日

「登場する人物は、ほぼ全員がダメな人たちだ。貧乏だったり、頭が悪かったり、変だったり、劣悪な環境下で暮らしていたり、さまざまな理由でダメでポンコツな人物たちが、物語を通じてますますダメになっていく」

アメリカ屈指の短篇小説の名手による四冊目の短篇集。作者は「作家志望の若者にもっとも文体を真似される作…

投票(26コメント(0)2020-01-07

パリ警視庁迷宮捜査班

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パリ警視庁迷宮捜査班

はぐれ者の寄せ集めが隠された能力を発揮し周囲を驚かす大活躍をする。彼らが扱うのは未解決の殺人事件。弱味を持つ者同士が互いの中に通い合うものを見出すことで「掃き溜め」の居心地が次第によくなってゆく。

アンヌ・カぺスタンはパリ司法警察警視正。同期の中では一番の出世頭だったが、逮捕時に犯人を射殺したこと…

投票(20コメント(0)2019-12-19

11月に去りし者 (ハーパーBOOKS)

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11月に去りし者 (ハーパーBOOKS)

異なる世界に生きる男と女が、それぞれの理由で今いる世界から逃げ出す。その路上で偶然に邂逅し、まるで運命のように絡まり合う。ラブストーリーであり、クライム・ノヴェルであり、ロード・ノヴェルでもある。

フランク・ギドリーはニュー・オリンズを牛耳るマフィアのボス、カルロス・マルチェロの組織の幹部。一九六…

投票(22コメント(0)2019-12-03

オーバーストーリー

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オーバーストーリー

七人の男女と一組の夫婦の物語がまず語られる。やがて、それらは少しずつ木を通して関係を持ち始め、遂にはアメリカ大陸最後の処女林を救う戦いに集結する。不可視の世界を見た人々はその世界の絶滅を救えるのか。

まず、ジャケットが出色。巨木の根元に陽が指している写真の上にゴールドで大きく書かれた原語のタイトルが…

投票(20コメント(0)2019-11-29

昏き目の暗殺者

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昏き目の暗殺者

零落した元令嬢が書き遺した一家の年代記、家族の隠された秘密を暴く暴露小説。贖罪の書、ゴシック・ロマンスとハメット風ハードボイルド小説、異世界ファンタジーが誤って一冊に閉じられた乱丁小説とも読める。

『昏き目の暗殺者』という表題は、作中に登場する二十五歳で夭折したローラ・チェイスの死後出版による小説…

投票(22コメント(0)2019-11-17

戦下の淡き光

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戦下の淡き光

一枚の紙にも表と裏がある。ひっくり返してみなければ裏に何が隠されているか、分かりはしない。第一部のあの奇妙な連中が誰で、何のためにあの家に集まってきていたのかが第二部を読むにつれて見えてくる仕掛け。

大空襲の傷痕が残る第二次世界大戦直後のロンドンを舞台に、秘密を背負った人々の、誰にも知られず、勝利し…

投票(22コメント(0)2019-11-11

メインテーマは殺人

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メインテーマは殺人

チェーン・スモーカーで、環境問題に関心なし。個人的な話や世間並みの挨拶は一切抜き。一度口を閉じたら二度と開かない。ポリティカル・コレクトネスなど知ったことか、という元刑事の名探偵『ホーソーン登場』!

斬新な手法で読者をあっと言わせた『カササギ殺人事件』のアンソニー・ホロヴィッツが、今度は正攻法で読者…

投票(25コメント(0)2019-11-05

タタール人の砂漠 (イタリア叢書)

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タタール人の砂漠 (イタリア叢書)

人が何かを待ちわび、待ち続け、報いられることもなく一生を終える。何かできるかもしれないという期待に一生を捧げる人生を選んだとして、仮に報いられることがなかろうと、誰がそれを笑えるだろうか。

長い間、小競り合いと呼べるほどの戦闘すらなかった隣国と境を接する辺境の砦に新任の将校が赴任する。時を…

投票(21コメント(0)2019-11-01

セロトニン

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セロトニン

はじめは鼻につくが、結末に至るといとおしく思えてくる。そう思い始めたところで小説は終わる。この世には取り返しのつかないことがあり、それは失ってみて初めて気がつくのだ、という真理が痛いほど胸に迫る。

私事ながら、読書を除けば趣味というものがない。昔はいろんなことに手を出したが、今は何もする気になれな…

投票(24コメント(0)2019-10-19

わたしのいるところ

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わたしのいるところ

ベンガル系移民という、どうにもできないものから自由になるため、彼女はイタリア語で書くことを選択した。これはジュンパ・ラヒリがイタリア語で書いた最初の長篇小説である。余分なものを削り取った本質が光る。

わたしたちが通りすぎるだけでない場所などあるだろうか? まごついて、迷って、戸惑って、混乱して、孤…

投票(24コメント(0)2019-10-04

カーペンターズ・ゴシック

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カーペンターズ・ゴシック

電話相手に向けての一方的な応答、と主客の会話だけを使って書かれた小説。しかも、舞台は一軒の家。読者は、まるで主人公に乗り移った霊にでもなったかのようにゴシック様式の古めかしい家の中に閉じ込められる。

二〇一九年に日本翻訳大賞を受賞した『JR』は、ウィリアム・ギャディスの第二作。本書は『JR』に次ぐ第…

投票(22コメント(0)2019-09-18

シルトの岸辺

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シルトの岸辺

「宿命」という主題を響かせながら、比喩に比喩を重ねまるで館や要塞といった命なきものが生命を帯びているかのように荘重に立ち現れる、散文詩を思わせる流麗かつ彫琢された文体で青年貴族の無謀な試みを活写する。

皆川博子著『辺境図書館』で興味を持ち、読んでみた。忽ち後悔した。なぜもっと早く読もうとしなかったのか…

投票(19コメント(0)2019-09-14

パリンプセスト (海外文学セレクション)

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パリンプセスト (海外文学セレクション)

いやになるほど孤独で、自分を本当に必要とし、必要とされる、そんな世界がどこかにあるとしたら、仮令そこが夢の中であるとしても、この世界を捨てて「移民」となり、そこで暮らしてみたいと思わないだろうか? 

「訳者あとがき」も「解説」もないのは原作者の意図だろうか。冒頭から、いきなり隷書体めいたフォントで「…

投票(18コメント(0)2019-09-06

アルグン川の右岸 (エクス・リブリス)

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アルグン川の右岸 (エクス・リブリス)

大昔から伝えられてきた言い伝えや祈り、呪いが、太古のままに力を残している氏族の生き生きとした暮らしぶりが、大自然の景観の中で時を越えてよみがえる。滅びゆく者たちに捧げられた美しくも哀しい挽歌である。

物語の舞台となっているのは、中国内モンゴル自治区とロシア国境を流れるアルグン川の東岸。かつて日本が満…

投票(18コメント(4)2019-08-26

神秘列車 (エクス・リブリス)

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神秘列車 (エクス・リブリス)

乗り合わせた客や列車長の少年への思いがあたたかく、深夜の列車に独り乗る少年というテーマで思い出す『銀河鉄道の夜』とはまたちがった家族愛を感じさせる物語になっている、表題作を含む短篇集。

台湾の若い作家の短篇集である。少し前に読んだ呉明益の『歩道橋の魔術師』もそうだが、近頃、現代台湾文学…

投票(22コメント(0)2019-08-26

モンスーン(エクス・リブリス)

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モンスーン(エクス・リブリス)

無限ループの中に閉じ込められたような、出口の見えない状況下、人物たちは特に焦るわけでもなく、まるでそれが偶々自分に与えられた席であるかのように、黙って状況を受け入れてゆく、アイデンティティの不在。

久しぶりに「不条理」という言葉を思い出した。「観光バスに乗られますか?」など、ほとんどベケットだ。何…

投票(20コメント(0)2019-08-21

マンハッタン・ビーチ

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マンハッタン・ビーチ

優れた能力と意志力を持ちながら、出自や運、ジェンダーの壁に阻まれ、今いる状況から脱出しようと懸命にもがく三人の男女の交錯する運命をスタイリッシュに描く、ノワールであり、海洋冒険小説であり、女の物語。

第二次世界大戦下のニューヨーク。エディ・ケリガンは一時、デューセンバーグを乗り回すほど、羽振りを利か…

投票(20コメント(0)2019-08-16
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