ケインとアベル 下 新潮文庫 ア 5-4
アベルの恩人リロイは、大恐慌が元で銀行からの借金を返せず自殺した。彼のホテルグループを守ろうと談判に出向くアベル。面会したのは取締役のケインだった。ケインは彼なりにアベルの経営手腕を買ったのだが・・。
銀行家のケインと自分を取り立ててくれた恩人のホテルの再建に取り組むアベルのふたりのその後の人生。ケイ…
本が好き! 1級
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神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。
アベルの恩人リロイは、大恐慌が元で銀行からの借金を返せず自殺した。彼のホテルグループを守ろうと談判に出向くアベル。面会したのは取締役のケインだった。ケインは彼なりにアベルの経営手腕を買ったのだが・・。
銀行家のケインと自分を取り立ててくれた恩人のホテルの再建に取り組むアベルのふたりのその後の人生。ケイ…
20世紀初頭、ボストンのいわゆるエスタブリッシュメントの家に生まれたケインとポーランド貴族の庶子に生まれたアベルと言うふたりの架空の人物の立志伝。著者は、これをバイオノベルと呼んでいる。
ウィリアム・ケインは、ボストンの銀行家リチャードの跡取り。父は若くして事故死したが、2100万ドルの…
第二次大戦初期、ナチスが欧州大陸で優勢な時に英国と講和を結んだら・・、と言う歴史のイフをモチーフにした小説の完結編。古くから民主主義を採用し、そして形だけの民主主義になってしまった国、その行く末は?
時代は独、日枢軸国、そして枢軸側と講和を結んだ英国がほぼ全世界支配を確立した1950年頃、とされてい…
歴史のイフをモチーフにした3部作の第2部。第1部は殺人事件を扱い、ミステリ仕立であった。今回はサスペンス小説風で、時代設定は第1部と同じく1949年、第1部の事件から2か月後と言うことになっている。
この連作では、英保守党の一派ファージング・セットが第二次大戦初期にナチスと講和を結び、欧州大陸はナチ…
歴史のイフが小説のモチーフではあるが、一見ミステリ風。しかし、最後まで読めば、この種の小説としては異例の幕切れであり、推理小説として書かれたのか疑問。デストピア世界を描いているのでは、ないだろうか。
本作の場合、ナチスドイツがソ連に侵攻する前、欧州大陸をほぼ手中に収めた頃(1941年)に、英国と講和…
壬申の乱に題材を取った5編から成る短編集。大海皇子が壬申の乱で挙兵する前の逸話を扱ったもの。
解説によれば、各短編の主人公たちは、壬申の乱を描いた同じ著者の長編『天の川の太陽』の脇役たちだそうだ…
大人の恋愛事情の物語、と書くと安直か。弘兼憲史の作品に「黄昏流星群」と言う漫画があるが、ちょっと近いかもしれない。
yukoさんのレビューを拝読して読み始めた本。100頁足らずの短編3つと、200頁余りの中編ひとつか…
幕末から昭和にかけて、一絃琴に一生をかけた女性たちの物語。
土佐藩上士の家柄に生まれた苗は、幼い頃に家に出入りした旅絵師から聞いた一弦絃の音に感激する。苗が祖母…
英国の文豪ディケンズの処女作短編集です。喜劇が大半ですが、悲劇も2編あります。後の大作家ディケンズを彷彿とさせる作品も幾つか。
上下巻まとめての書評です。裏表紙によれば、新聞社員になったディケンズの見聞を短編小説風にまとめた、と…
バルザックと言えば、彼の生きた時代か、その少し前を時代背景に架空の人物を主人公にした伝記風の小説の作品が多い。しかし、この作品は、15世紀頃を舞台にした性にまつわる滑稽噺を集めた短編集である。
三輯まとめての書評。第一輯(しゅう)に十篇、第二輯に更に十篇と十輯百話が当初の構想だったようだが、三…
紆余曲折を経てスカーレットはバトラーと結婚した。金の心配が無くなった彼女は果たして幸福になったのだろうか?彼女は長年恋焦がれたアシュレの本性を悟り、バトラーの本心にも気付いた。しかし、時既に・・。
2番目の夫フランク・ケネディが亡くなって間もなく、スカーレットはレット・バトラーから結婚の申し込みを…
戦争が終わっても生活は安定しない。不当に吊り上った税金のためタラは競売の危機に陥った。スカーレットは金策に走り意外に羽振りの良い妹の婚約者ケネディと結婚する。そして彼女自身父譲りの商才を発揮し始める。
スカーレットは、タラの農園にかけられた不当な税金を支払うため、アトランタで金策に走った。当てにしてい…
混乱のアトランタを脱出したスカーレットだったが、タラにたどり着くと頼みの母は病没し、父は廃人同様だった。食糧調達を初めとする生活全般の重荷は「強い女性」スカーレットに圧し掛かっていく。
タラ周辺の戦闘は収まったが、母は病没し、それが元で父も廃人の様になってしまった。食糧の調達が問題だっ…
アシュレにふられてやけくそで結婚した相手はアシュレの妻メラニーの兄チャールズだった。しかし、彼は戦場であえなく病没し、スカーレットは未亡人になってしまう。彼女が暮らすアトランタに北軍が迫る。
スカーレットは未亡人生活から足を洗い、バトラーの手引きで公然と社交界に出入りすることができた。平時な…
南北戦争を背景にした、スカーレット・オハラの恋愛物語。彼女はアシュレとの結婚を渇望するが、夫婦はお互い理解できる性格でないと幸せになれない、と言われる。そこに現れたのはレッド・バトラーだった。
南北戦争が背景のスカーレット・オハラの物語。スカーレットの父ジェラルドは、オレンジ党員を喧嘩で殺して…
現代の英雄・ペチョーリンのすさんだ行動を描いた小説。いかにもロシアのドストエフスキーの小説に登場しそうな人物だが、作者レールモントフの作家活動はドストエフスキーより10年先行していた。
前半は、作家であろう「私」が旅先で聞いた話、後半はその話の主役であるペチョーリンの日誌を私が転載した…
自分のせいで身を落とした女マースロワは無実の罪で有罪になった。必死に彼女の釈放を求めるねネフリュードフ公爵。実話を元にトルストイが告発したのは、人間性を失った官僚制度だった。
陪審員の過誤により4年のシベリア徒刑が決まったマースロワを助けるため、ネフリュードフ公爵(以下、公爵…
トルストイの三大小説のひとつだが、残りの作品ほど有名ではない。公爵ネフリュードフが陪審として参加した裁判の被告のうち1名は、かつて彼が堕落させた女だった。
冒頭に聖書からの引用がいくつか掲げられていましたが、一番有名なのは「なんじのうちの罪なき者、まず彼女…
ロンドンにある漱石記念館が閉館されるという報道があった。大変残念。本書は、夏目漱石のロンドン留学に題材を取った本。4分の1が文章で、残りが写真と言う構成。
Wings to flyさん主催の読書会 100年目に読む夏目漱石 参加の書評です。 …
古代ローマを舞台としたラシーヌの戯曲2編。それぞれ、タイトルロールよりは、悪名高いネロ帝と善政で知られるティトゥス帝の方が存在感がある。
太陽王ルイ14世の時代に、コルネイユと並び称されたラシーヌの戯曲。 題材は、いずれも帝政初期のロー…