三太郎さん
レビュアー:
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エビ・カニ類のすべてが解る本。
エビやカニの研究者が2021年に上梓した本です。
エビとカニは姿形が異なるので区別は容易ですが、分類学上は十脚目に属します。どちらも頭胸部にある脚が5対10本ありますが、エビはさらに腹部に遊泳肢という泳ぐための短い脚があるのがカニとの違いです。
しかし実はエビは産卵方法の違いによって根鰓(こんさい)亜目と抱卵亜目とに分かれ、カニはすべて抱卵亜目に属するといいます。
根鰓亜目は受精卵を海に放出する種類でクルマエビやサクラエビがあり、抱卵亜目は受精卵を腹部に抱いて孵化させる種類でほとんどのエビとすべてのカニが属します。抱卵亜目の方が繁栄しているようです。根鰓亜目の方が先祖に近いのかな。
海水中で暮らすエビ・カニ類は海水の塩分による体の内外の浸透圧差により細胞内の水分が細胞外へ逃げ出すのを抑えるために、細胞内のアミノ酸(グリシンなど)の濃度を高めているとか。エビ・カニの肉が甘いのはこのアミノ酸のお陰だとか。
北米のフロリダロブスターは毎年フロリダ半島からバハマ諸島沖まで渡りをしますが、地磁気を感知して行き先を定めているのだとか。
テッポウエビは大きな鋏を閉じる際に衝撃波を出して獲物の小エビを捕るのだとか。テッポウエビはサンゴ礁に暮らしていますが、サンゴの幼生はこのテッポウエビの出す音を感知して元のサンゴ礁へ戻ってくるのだとか。
テッポウエビの出す衝撃波は、鋏が高速で閉じる際に生じた微小の気泡がつぶれる際に発生するらしい。ナノバブルかな。
後半はカニです。
日本の川に住むモクズガニは秋になると河口付近へ移動して産卵・抱卵します。生まれた幼生は汽水域で暮らし、春に稚ガニになってから川を遡上するとか。カニが海から川に上った途中の生態を表しているようです。このモクズガニは元は本州に住んでいたのがいつの頃か北海道に人の手で持ち込まれたらしい。アイヌの人達もモクズガニを食べていたとか。
本来は欧州にはいないチュウゴクモクズガニも貨物船のバラスト水と共に中国から欧州へ移住したようです。
日本にも生息するキンチャクガニは両方の鋏に一匹づつイソギンチャクを挟んでいて、魚などの敵が近づくとイソギンチャクの毒針で敵を攻撃します。
イソギンチャクは体を二つに割ってクローンにより増える性質がありますが、別のキンチャクガニに片方のイソギンチャクを奪われたカニは自分で残った方のイソギンチャクを二つに割って、奪われた方の鋏に付けます。
ある地域のキンチャクガニの持っているイソギンチャクの遺伝子を調べたところ、その地域のカニが持っているイソギンチャクはすべて同じ遺伝子をもつクローンであることが分かったとか。このカニのもっているイソギンチャクはすべて元は他のカニから奪ったものだったのですね。
自分の研究室に水槽を置いてモクズガニを飼いながら観察していた著者は、あるカニが著者を相手に遊んでいるような仕草をすることを発見します。著者が水槽に近づいて二本の指を上下に動かすと、カニは水槽の壁面に寄って来て逆立ちをして見せたとか。著者と遊びたかったようです。
またこのカニは、著者が1週間以上出張して餌をやらなかった時には、水槽に植えてあった水草を根本から切ってしまったとか。これは餌をくれないことへの抗議だと著者は受け取りました。
カニは節足動物のなかで進化の頂点を極めた動物で、決して下等な生き物ではありません。カニに知性や感情があっても不思議ではないと著者は言います。
そんなエビ・カニ類への愛が感じられる一冊です。
エビとカニは姿形が異なるので区別は容易ですが、分類学上は十脚目に属します。どちらも頭胸部にある脚が5対10本ありますが、エビはさらに腹部に遊泳肢という泳ぐための短い脚があるのがカニとの違いです。
しかし実はエビは産卵方法の違いによって根鰓(こんさい)亜目と抱卵亜目とに分かれ、カニはすべて抱卵亜目に属するといいます。
根鰓亜目は受精卵を海に放出する種類でクルマエビやサクラエビがあり、抱卵亜目は受精卵を腹部に抱いて孵化させる種類でほとんどのエビとすべてのカニが属します。抱卵亜目の方が繁栄しているようです。根鰓亜目の方が先祖に近いのかな。
海水中で暮らすエビ・カニ類は海水の塩分による体の内外の浸透圧差により細胞内の水分が細胞外へ逃げ出すのを抑えるために、細胞内のアミノ酸(グリシンなど)の濃度を高めているとか。エビ・カニの肉が甘いのはこのアミノ酸のお陰だとか。
北米のフロリダロブスターは毎年フロリダ半島からバハマ諸島沖まで渡りをしますが、地磁気を感知して行き先を定めているのだとか。
テッポウエビは大きな鋏を閉じる際に衝撃波を出して獲物の小エビを捕るのだとか。テッポウエビはサンゴ礁に暮らしていますが、サンゴの幼生はこのテッポウエビの出す音を感知して元のサンゴ礁へ戻ってくるのだとか。
テッポウエビの出す衝撃波は、鋏が高速で閉じる際に生じた微小の気泡がつぶれる際に発生するらしい。ナノバブルかな。
後半はカニです。
日本の川に住むモクズガニは秋になると河口付近へ移動して産卵・抱卵します。生まれた幼生は汽水域で暮らし、春に稚ガニになってから川を遡上するとか。カニが海から川に上った途中の生態を表しているようです。このモクズガニは元は本州に住んでいたのがいつの頃か北海道に人の手で持ち込まれたらしい。アイヌの人達もモクズガニを食べていたとか。
本来は欧州にはいないチュウゴクモクズガニも貨物船のバラスト水と共に中国から欧州へ移住したようです。
日本にも生息するキンチャクガニは両方の鋏に一匹づつイソギンチャクを挟んでいて、魚などの敵が近づくとイソギンチャクの毒針で敵を攻撃します。
イソギンチャクは体を二つに割ってクローンにより増える性質がありますが、別のキンチャクガニに片方のイソギンチャクを奪われたカニは自分で残った方のイソギンチャクを二つに割って、奪われた方の鋏に付けます。
ある地域のキンチャクガニの持っているイソギンチャクの遺伝子を調べたところ、その地域のカニが持っているイソギンチャクはすべて同じ遺伝子をもつクローンであることが分かったとか。このカニのもっているイソギンチャクはすべて元は他のカニから奪ったものだったのですね。
自分の研究室に水槽を置いてモクズガニを飼いながら観察していた著者は、あるカニが著者を相手に遊んでいるような仕草をすることを発見します。著者が水槽に近づいて二本の指を上下に動かすと、カニは水槽の壁面に寄って来て逆立ちをして見せたとか。著者と遊びたかったようです。
またこのカニは、著者が1週間以上出張して餌をやらなかった時には、水槽に植えてあった水草を根本から切ってしまったとか。これは餌をくれないことへの抗議だと著者は受け取りました。
カニは節足動物のなかで進化の頂点を極めた動物で、決して下等な生き物ではありません。カニに知性や感情があっても不思議ではないと著者は言います。
そんなエビ・カニ類への愛が感じられる一冊です。
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1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。
長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。
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- 出版社:中央公論新社
- ページ数:0
- ISBN:B09T9KKSTJ
- 発売日:2021年12月25日
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