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献本書評
きよぴい
レビュアー:
いじめはどうしてなくならない?
子供の人口は減少しているのにもかかわらず、2024年の子供の自殺者は過去最高だったそうだ。さらに、2010年代半ばから「ネットいじめ問題」が広がったそうである。ちょうどスマホが普及していった時期だ。

スマホの普及とほぼ同時に「スクールカースト論」が広がったと書かれており、21世紀の現状に合う新たなモデルを開発することが、今日の学校におけるいじめ問題を考察するうえで求められる、と編者は述べている。

2013年のいじめ防止対策推進法では、いじめは「対象となった児童等が心身の苦痛を感じている」ものだと示されている。当人がいじめだと言えばいじめであるから、その時点で対処がなされるべきはずなのだろうが、スクールカーストが下位になるほどネットいじめの発生率が高くなり、スクールカースト上位(自称上位を除く)のいじめの発生率はすべてのスクールカーストでもっとも低いとあり、いじめは依然として存在していることがわかる。

スクールカーストとは、ステイタスの決定要因が人気やモテであるか否か、と定義され、下位になるほどネットいじめの発生率が高くなるとある。スクールカーストの因子項目は、「クラスではムードメーカーになることが多い」「学校行事ではクラスの中心になって活動するほうだ」「自分のグループには活発な人が多い」「自分のグループにはファッションに詳しい人が多い」であり、上位(自称上位を除く)のいじめの発生率はすべてのスクールカーストでもっとも低いとある。

自称上位というのは「自分は友達にどう思われているのか気になる」に「あてはまる」と回答した上位者で、下位よりもネットいじめに遭いやすい層だそうだ。友達がどう思っているかが気になれば、友達の行為を否定するのにもためらいが起き、心身の苦痛を感じてもそれを訴えずにいじめがさらに助長されるという事態も想像できる。

スクールカースト因子項目自体は悪いものではなく、むしろリーダーの資質として求められるものではないかと私は思ったが、リーダーは集団の中に多くはいらないし、多いとかえって弊害が生じる。「1軍」の数が「2軍」よりも多いようではその分1軍の価値が下がるから、自分の価値を上げるためには他者の価値を下げる必要すらあるのではないかと私は感じた。

第7章の「星野君の二塁打」について、「規範や規則とは何かを考える教材として活用すべきなのではないのでしょうか?」とあるのだが、サインを出すのが監督の役割なら、それに従わなくてもよいと言うのはいかがなものかと私は思う。なぜならそれは自分の行動の責任は自分で取れという「丸投げ」と等しいと思うからだ。

リーダーは自らの判断が失敗に終わればその責任を負う。それがリーダーの役割である。だがスクールカースト上位層に、集団のリーダーとしての自覚はあるのだろうか?個の利益には敏感であっても集団としての益を考える視点はあるのだろうか?

もしそれがなければ集団は集団としての体を成さず、自己利益を搾取しあう争いの場でしかない。真のリーダーがいない集団で、強者は弱者の未来を奪って私利を得る、それがスクールカーストか?

悪貨が良貨を駆逐すれば
悪貨が適者で生き残る……
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きよぴい
きよぴい さん本が好き!2級(書評数:15 件)

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