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風竜胆さん
風竜胆
レビュアー:
たかが雑草、されど雑草!
 身の回りでよく見ることができる植物、一般には雑草と呼ばれるものについて解説したものである。本の構成は以下の通り。

第1章 春を彩どる雑草たち
第2章 初夏に映える緑の葉っぱ
第3章 夏を賑わす雑草たち
第4章 秋を魅せる花々と葉っぱ
第5章 秋の実りと冬の寒さの中で

 本書を読んでみると、身近な植物に関するいろいろなことが分かる。例えばタンポポ。日本古来のタンポポは少なくなり西洋タンポポばかり目立つようになった。その理由は繁殖力が違うことがひとつ。西洋タンポポは自分の花粉で受精できるが、日本のタンポポは自家不和合性があるので自分の花粉では受精できない。また西洋タンポポは種からすぐに芽を出すが、日本のタンポポは秋になるまで芽が出ないそうだ。しかし都会で日本タンポポが少なくなった本当の原因はそれまで生息していた場所をどんどん開発した結果だという。またタンポポの花の色に関して、次のような記載がある。

<四国や九州の一部では、「タンポポの花は白いもので、黄色のタンポポの花はめずらしい」という。>(p42)


 私の故郷は山口県でぎりぎり本州ではあるが、子供の頃はタンポポの花は殆ど白かった。だから黄色いタンポポの花を見つけたときはうれしかったものだ。しかし、今は黄色い西洋タンポポが多い。

 その他、ハルジオンとヒメジョオンの違い、カブと大根の違いなど、身近な植物に関する蘊蓄でいっぱいだ。花はかわいいのに、酷い名前を付けられているオオイヌノフグリ、ヘクソカズラも出てくる。

 一口に雑草と言っても、色々な種類があるものだ。一つ一つは小さな植物だが、生き残っていくために様々な工夫をしているのだ。よく見れば可憐な花を咲かせているものもけっこうある。本書を読めば、あまり目に留めることがなかった雑草でも、これからは違った目で見ることができるようになるのではないだろうか。
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風竜胆
風竜胆 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2797 件)

昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。

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この書評へのコメント

  1. 三太郎2018-08-17 11:07

    一見西洋タンポポでも在来種の日本タンポポと交雑したものが多いそうです。

    これを在来種絶滅の危機!ととらえる人もいるけれど、交雑は日本タンポポの生存戦略かも。遺伝子はちゃんと残しているので、将来人類滅亡の後には日本タンポポが復活するかも。

    絶滅したはずのネアンデルタール人の遺伝子が現代人の中に残っている例もありますし、生物の遺伝子はしたたかです。

    ところで、僕は東北、関東と移り住んでいますが、白いタンポポは見た記憶がありませんね。

  2. 風竜胆2018-08-17 11:21

    >三太郎さん
    虫たちが受粉の手助けをしているので、思ったより交雑は進んでいるのでしょうね。

    ところで、白いタンポポ、広島の方でも今でもたまに見かけたりします。もっとも圧倒的に黄色い花が多いですが。私の故郷では書評に書いたように、昔は白い花がデフォルトでした。黄色いのはほとんど見なかったような。白いタンポポは、花が黄色いのよりは少し大きいので、意外に目立ちます。

  3. No Image
    mist2018-08-17 15:43

    書評拝見しました。

    「雑草という植物はない」
    昭和天皇の言葉です。

  4. あかつき2018-08-17 19:22

    風師匠 @ 白いタンポポ、わたしは見つけたらラッキー、な世代でした (ニヤ)

  5. 風竜胆2018-08-17 20:48

    >mistさん
    雑草というのはあくまで人間から見た分類ですから。どこまでを雑草と言いどこからを野草というのかもかなりあいまいですしね。

    >あかつきさん
    同じ県内でも地方によって結構違うのかもしれませんね。うちの田舎は山中の盆地だったので、外から西洋タンポポが入りにくかったのかもしれません。

  6. No Image
    mist2018-08-17 21:06

    >風竜胆さん

    「雑草」と「野草」の分類ではなく、すべての植物には名前があるはずです。
    それはすなわち「人から見た名前」です。
    「雑草という植物はない」というのは、そういった意味だと僕は考えます。

  7. No Image

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