ぱるころさん
レビュアー:
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村上春樹隊長率いる『東京するめクラブ』。今から20年前、「ちょっと変な」ところに目をつけた、ゆる〜い旅行記。
『東京するめクラブ』…隊長・村上春樹、隊員・吉本由美、都築響一の三名で結成。旅行記の企画にあたり、「たいしたもんじゃないけど、くちゃくちゃ噛んでるうちに味が出てくる」というコンセプトで村上隊長が命名。
本書は今から20年ほど前、「ちょっと変な」ところに目をつけた旅行記。なので、旅先は名古屋・熱海・江の島など、決して当時流行りの観光地ではない。むしろ当時の熱海などは廃れる一方という時期。賑わいを取り戻した今となっては、写真も三人の会話もまるで貴重な資料のようだ。
「100万ドルの夜景」を謳う熱海のナイトクルーズは、沿岸沿いのホテルが次々と廃業し、クルーズ船から見える灯りが歯抜け状態。江の島では、若者カップルですら何故か弁天橋を越えた途端に年寄り臭くなる…。
どうしたらこの街に再び人が集まるのかと、三人はあれこれ語り合う。
今では全国展開している名古屋発祥の喫茶チェーンも、当時、他県民には知られていなかった。コーヒーの値段でパンが付く「名古屋式モーニング」も、謎のシステムだ。また、狭い範囲にあらゆる施設が集まっている繁華街の「唐突感」は、住んでいたことのある私も納得。
その他に訪れた場所も、サハリンや清里という独特のチョイス。どちらも、色褪せた観光施設の写真が哀愁漂う。
文章・写真・座談会の全て、「ちょっと変な」ところへ行ってみたという趣旨に徹している点が、他の旅行記では味わえない面白さだ。三人の絶妙なやり取りに、結局は「どこへ行くか」ではなく「誰と行くか」「何をするか」なのだと感じながら読み終えた。
都築隊員は後書きに、「幸せの敷居を低くするのが、人生をハッピーに生きるコツなのかもと提案してみたかった」と書いている。お金をかけなくても、話題のスポットに行かなくても、思い返したときに噛めば噛むほど味が出てくる…そんな旅を作るのも、目の付け所次第なのだ。
本書は今から20年ほど前、「ちょっと変な」ところに目をつけた旅行記。なので、旅先は名古屋・熱海・江の島など、決して当時流行りの観光地ではない。むしろ当時の熱海などは廃れる一方という時期。賑わいを取り戻した今となっては、写真も三人の会話もまるで貴重な資料のようだ。
「100万ドルの夜景」を謳う熱海のナイトクルーズは、沿岸沿いのホテルが次々と廃業し、クルーズ船から見える灯りが歯抜け状態。江の島では、若者カップルですら何故か弁天橋を越えた途端に年寄り臭くなる…。
どうしたらこの街に再び人が集まるのかと、三人はあれこれ語り合う。
今では全国展開している名古屋発祥の喫茶チェーンも、当時、他県民には知られていなかった。コーヒーの値段でパンが付く「名古屋式モーニング」も、謎のシステムだ。また、狭い範囲にあらゆる施設が集まっている繁華街の「唐突感」は、住んでいたことのある私も納得。
その他に訪れた場所も、サハリンや清里という独特のチョイス。どちらも、色褪せた観光施設の写真が哀愁漂う。
文章・写真・座談会の全て、「ちょっと変な」ところへ行ってみたという趣旨に徹している点が、他の旅行記では味わえない面白さだ。三人の絶妙なやり取りに、結局は「どこへ行くか」ではなく「誰と行くか」「何をするか」なのだと感じながら読み終えた。
都築隊員は後書きに、「幸せの敷居を低くするのが、人生をハッピーに生きるコツなのかもと提案してみたかった」と書いている。お金をかけなくても、話題のスポットに行かなくても、思い返したときに噛めば噛むほど味が出てくる…そんな旅を作るのも、目の付け所次第なのだ。
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週1〜2冊、通勤時間や昼休みを利用して本を読んでいます。
ジャンルは小説・エッセイ・ビジネス書・自己啓発本など。
読後感、気付き、活かしたい点などを自分なりに書き、
また、皆さんからも学びたいと考え参加しました。
よろしくお願いします。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:524
- ISBN:9784167502089
- 発売日:2008年05月09日
- 価格:1050円
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