ゆう5000さん
レビュアー:
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高校1年生夏休み、私は開高健に打ちのめされた。
読書好きを公言し、10代に本をお薦めしまくっている私だが、自分が10代の頃に読書した記憶は数えるほど。読んだ本をあげてみろと言われたら、5冊もすらすらとは出てこない。そんな私の残念な10代の読書体験の中でも、記憶に残る衝撃を受けた1冊といえるのが、開高健の「裸の王様」。
高校1年生夏休みの宿題、読書感想文の課題図書だった。
友人の紹介で、僕が絵を教えることになった少年・大田太郎は、 絵具会社の社長を父に持ち、ひとりっこで、母は後妻であった。太郎は無口で内気で神経質そうな少年で、表情に乏しく、絵にも興味を示さない。なんとか太郎の感情を解きほぐそうと、童話を読み聞かせたり、フィンガーペイントを試してみたり、川遊びをしたり。やがて太郎は、少しずつ少年らしさを取り戻す。
ある出来事がきっかけとなり、アンデルセン童話をテーマにした絵画コンクールが開催されることになり、ぼくは太郎に「裸の王様」をよみきかせて、絵を描かせたのだが…。
太郎の描いた絵が、ファンタスティック!!!さらにこのあと、ぼくは、審査員一同をぎゃふんと言わせるとんでもないことを仕掛けるのだが、読み終えた後に、思わず腰に手を当てて「がはは」と笑いたくなるような、その小気味よいラストも絶品。
子どもの持つ感受性の豊かさ、鏡に映したようなまっすぐさ、打てば響くような柔軟性…「子ども」ってすごい!(アラフォーの今からみたら、当時の自分もまだ子どもの域にいるというのに)
それまで正面からしか見えていなかった物事の見方が変わった。上からも、下からも、横からも、物事は立体的に見なければ、何も見えていないのと同じだと諭された。
こんなすごい本で読書感想文を書かされるかんて、やっぱり「高校生」ってすごい!と自分も高校生なのに妙に感心したり、「高校生ってみんなこんな本を読んでるんだ」という敗北感に打たれたり。夏休みが明けてふたを開けたら、みんな読んじゃいなかったけど。
自分の立っていた場所が大きく反転して、見えていた世界が突然に大きく広がったような気がしたあの夏の匂いがする1冊。どこか皮肉っぽいこんな作品が好きです。
高校1年生夏休みの宿題、読書感想文の課題図書だった。
友人の紹介で、僕が絵を教えることになった少年・大田太郎は、 絵具会社の社長を父に持ち、ひとりっこで、母は後妻であった。太郎は無口で内気で神経質そうな少年で、表情に乏しく、絵にも興味を示さない。なんとか太郎の感情を解きほぐそうと、童話を読み聞かせたり、フィンガーペイントを試してみたり、川遊びをしたり。やがて太郎は、少しずつ少年らしさを取り戻す。
ある出来事がきっかけとなり、アンデルセン童話をテーマにした絵画コンクールが開催されることになり、ぼくは太郎に「裸の王様」をよみきかせて、絵を描かせたのだが…。
太郎の描いた絵が、ファンタスティック!!!さらにこのあと、ぼくは、審査員一同をぎゃふんと言わせるとんでもないことを仕掛けるのだが、読み終えた後に、思わず腰に手を当てて「がはは」と笑いたくなるような、その小気味よいラストも絶品。
子どもの持つ感受性の豊かさ、鏡に映したようなまっすぐさ、打てば響くような柔軟性…「子ども」ってすごい!(アラフォーの今からみたら、当時の自分もまだ子どもの域にいるというのに)
それまで正面からしか見えていなかった物事の見方が変わった。上からも、下からも、横からも、物事は立体的に見なければ、何も見えていないのと同じだと諭された。
こんなすごい本で読書感想文を書かされるかんて、やっぱり「高校生」ってすごい!と自分も高校生なのに妙に感心したり、「高校生ってみんなこんな本を読んでるんだ」という敗北感に打たれたり。夏休みが明けてふたを開けたら、みんな読んじゃいなかったけど。
自分の立っていた場所が大きく反転して、見えていた世界が突然に大きく広がったような気がしたあの夏の匂いがする1冊。どこか皮肉っぽいこんな作品が好きです。
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ブログで10代におすすめの本を紹介しながら、こちらにマイペースにレビューを投稿させていただいています。
児童書やYA文学が多めです。
この書評へのコメント

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- 出版社:新潮社
- ページ数:283
- ISBN:9784101128016
- 発売日:1979年08月03日
- 価格:540円
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