その夏、歌川邸には大勢の客が逗留していた。
招待客と招かれざる客、使用人と家族、元夫婦に現夫婦、愛人に火遊び相手、横恋慕に憎悪、複雑な人間関係と様々な感情が交差する奇妙な共同生活のメンバーはなんと29人?!
ひと昔前の昼メロよりも、ずっと複雑乱れて繰り広げられる駆け引きを含めた愛憎劇の中で、次々に起こる殺人事件。
互いに疑心暗鬼になる中で、1人、また1人と食卓を囲むメンバーが減っていく。
当事者はもちろん捜査機関も一貫した動機を見つけ出すことが出来ず、次の犠牲者を予測することも出来ない。果たしてこれは連続殺人なのか?それとも複数の犯人による犯行なのか?
ことはみんぐさんのレビューに惹かれて手にしたこの小説、新聞に連載された当時は、犯人をあてる懸賞がついていたそうだから、毎日、鉛筆を片手に登場人物の相関図を作りながら、あれこれと推理をした読者が大勢いたに違いない。
私はと言えば、いつもながら登場人物の名前を覚えるのは大の苦手だが、大勢の登場人物が出てくる物語には(ロシア文学などで鍛えられたおかげ?か)慣れているので、読みながらあの女、この男と片っ端から適当なあだ名や記号に置き換えて読み進め、あまり混乱はしなかった。
さて肝心の犯人だが、私はこれ、どんぴしゃり!犯人を挙げることが出来た!!(と、実は今、PCの前でかなり得意顔になっている。)
もっとも安吾曰く、そもそも探偵のまねごとというのは、あれこれと想像を繰り広げる文学的素養のない者だけができうるものらしいので、あまり褒められたことではないのかもしれないが……。




本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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この書評へのコメント
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- かもめ通信2014-04-01 21:06
Kuraraさん、自分でも無意識のうちにやっていることなので、あまりうまく説明ができないのですが、はっきりと記号に置き換えているのではなく、例えば翻訳小説などで長ったらしい名前が出てきても、最初から正確に覚えようという気がないので、なんとなく形で認識しているんだと思います。
さらにいうと、きちんと人物を書き分けられている物語だと、読んでいるうちに自分もその場面に立ち会っている気分になってしまうので、あんた、おまえ、あいつ、あの人…みたいな感じですべて済ませてしまっているのかも。。。
ほら、TVドラマなんかで「そいつが犯人だよ。危ない!逃げなきゃ!」って思わず忠告してやりたくなってしまうみたいな?!(え?誰もそんな風にはならないって?ホントに??)
すみません、全然参考になりませんよね。。。。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Kurara2014-04-01 21:33
かもめ通信さん♪
>なんとなく形で認識している
うわぁーこれは真似できませんw
でも、こういう読み方もあるのだなぁーと大変興味深く読ませていただきました。(^。^)私の場合、登場人物が多いと、ひと休み的に間に他の軽めな本を読んじゃったりするから、次読むときにまた忘れちゃって・・・の繰り返しがイマイチなのだと思います。ちゃんと集中して読むべきなんでしょうね。
>「そいつが犯人だよ。危ない!逃げなきゃ!」って思わず忠告
あ、これは私もやります!「だーかーらー」とかブツブツ言ったりねwクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:角川書店
- ページ数:329
- ISBN:9784041100196
- 発売日:2006年10月01日
- 価格:540円
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