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小石ゆうべ
レビュアー:
犬への愛とユーモア。それと、素敵な何か!
突然だが、『台風の日は犬をしまえ』というツイートを目にしたことがあるだろうか。悪天候の日の屋外は危険だから、飼っている犬を家の中に入れて欲しい、という意図の発言だ。この”バズりツイート”の発信者こそ、本書『心の中で犬を抱きあげたあの日、自分に優しくなれた気がした』の作者、フクダウニー氏である。

私はTwitter(現在はX)で、本書の出版以前からフクダウニー氏をフォローしていた。が、初めて存在を認識したのがいつだったか、初めて目にしたツイートが何だったか、もう覚えていない。ある時はタイムラインにいたり、或いはRTで流れてきたり、はたまたおすすめツイートとしてピックアップされていたり。宙を漂う犬の毛のように、つかず離れずの距離感で、私は永らく氏の存在や発言を認識していた。

氏の発言は、基本的にやさしい。それも血の通ったやさしさだ。完全無欠の、無菌室のようなやさしさではなく、田舎でにこにこ迎えてくれるおばあちゃんのようなやさしさである。だからフクダウニー氏のファンネームは『孫』とされている。フォロワーたちは「ばあちゃん、聞いて!」と日常の出来事や相談を気軽に送る。本書はその辺りのくだりにも触れた、氏のエッセイ集となっている。

私は本書を発売前に予約した。おかげで手元には、私の名前を書き添えたサイン本がある。そして半年にわたる闘病生活の中で、入院時に持参する”おまもり本”を、これにすると決めていた。たとえば薬の副作用で身体がしんどい時、多忙な看護師さんの言動がそっけなく感じて傷ついた時、本書を抱えて乗り切った。

どんな時でも、どこにだって連れて行ってもらえたらと思う。
この本はどんな時どんな場所でも頑張りすぎるあなたのために書いたから。
私の紡いだ文字たちが、あなたの背を優しく撫でますように。
あなたと私の毎日に一番の味方として寄り添いますように。

本書のまえがきに、そう書かれていることに気付いたのは、初めての入院後だった。まさか、勝手に決めたおまもり本が、おまもり本となるべくして書かれたものだったとは。どのページをめくっても、決して誰かを否定しない、やさしい言葉であふれている。この本が、どうか優しい言葉を必要としている、だれかに届きますように。心や体が傷つきやすいタイミングでも、自分を保つための読書をしたい、あなたに届きますように。
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小石ゆうべ
小石ゆうべ さん本が好き!2級(書評数:24 件)

主に国内ミステリ・ホラー、たまに近代文学を読みます。
読書のお供には甘いもの。


9/16…初投稿、10/1…3級昇格、10/9…2級昇格、

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