茜さん
レビュアー:
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それは、世界のどこかにある不思議な本屋
世界のどこともわからない場所にその本屋はある。
店の前には神秘的な桜が一本たたずんでいて、なかでは少女と三毛猫がコーヒーを淹れながら次の客が来るのを待ちわびている。
この店に来られるのは後悔や悲しみを抱えている人だけ。
店と客をつなぐのは一冊の本―桜の季節そのページをめくったときに店への扉は開かれる。
私は読書をする人を惹きつけるワードとして、図書館、本屋、あとは人それぞれに合ったタイトルだと思っています。
その点で言えば本書は読書好きな方は興味が惹かれるのではないかと思います。
そしてまたスゴイことに本書は2025年5月28日に発売されたばかりだというのに、すでに世界14カ国で刊行決定した本です。
ストーリーは4話からなる短編連作でどのストーリーも心温まるものです。
そしてその中で引用されている図書がまた良いです。
「星の王子様」サン=テグジュペリ、「夢十夜」夏目漱石、「ピーター・パンとウェンディ」ジェームズ・M・バリー、「春と修羅」宮沢賢治
これらが一話ごとに引用されているのも人気がある理由ではないでしょうか?
この中で私が一番好きなストーリーは夏目漱石の「夢十夜」が引用されている章です。
小学生の時に読んだ「夢十夜」の第一夜に死ぬ間際に女が
「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
と、言い残して亡くなるのだけど100年目に百合となって会えたという話しですが、何故100年経ったら会えるのかと不思議だったのですが、本書でユリは漢字で百合と書くから
百年目に"会う"つまり"合う"からユリ
という箇所を読んでなるほどなぁと長年の謎が解けました。
さて、タイトルにある桜待つ、あの本屋はいつも同じ場所にあるわけではありません。
行こうと思っても行けない本屋で
この本屋へ招かれる条件というものが存在します。それは
店主である少女と同じ本の同じ個所を、同じ季節の同じ日の、同じ時刻に読むこと。それもよく晴れた春の日の、満開の桜の樹の下で
という条件を満たすと行けるらしいです。
そこには糊の効いた白のブラウスに、ワインレッドのジャンパースカートを着た少女と少し毛足の長い三毛猫がラヴェルの「ボレロ」のレコードを掛けながら、本棚がたくさんあるコーヒーを出す本屋であなたを待っているかもしれません。
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天然系変人B型♀です。ブログに読んだ本の忘備録を書いてます。
初志貫徹、実るほど頭を垂れる稲穂かな
読む本は表紙or題名or興味が沸いた本を選んでいますのでジャンルは雑多です。
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- ISBN:9784596570475
- 発売日:2025年05月28日
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