三毛ネコさん
レビュアー:
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ちゃんと著者のメッセージが込められたエンターテインメントです。
題名から探偵ものかと思っていたら、推理をするのは一部だけだった。
売文社という、社会主義者が働く会社の社長、堺利彦(さかいとしひこ)が探偵役である。堺自身も社会主義者で、この会社はあらゆる文の代筆を引き受けている。
この堺が、人の服装を見ただけで職業を当てたり、その人物に起きたことまで推理してみせたりするのだ。その様は、シャーロック・ホームズのようである。
その特技を生かして、堺は売文社で「人生相談、探偵調査」を始めるという。
堺に助けてもらった「ぼく」の視点で物語は進む。
第2話「へちまの花は皮となるか実となるか」では、7か国語ができる大杉さんという無政府主義者が出てくる。この話で堺に来た依頼が暗号を解読して「へちまの花」という売文社の雑誌に載せてほしいというものだ。堺はなんとこの暗号解読を「ぼく」に任せた。「ぼく」はこの難しそうな暗号を解くことができるのか。
第3話は「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」である。女性をだまして人身売買をしているような悪徳業者を懲らしめようという作戦を、売文社に出入りしている女性たちが考える。「ぼく」は、堺に言われて協力を申し出るのだが、とんでもないことをさせられるという筋書きである。ただ、最近別の作家で似たような展開の小説を読んでいたため、あまり楽しめなかった。
第4話は、「小さき旗上げ、来れデモクラシー」。売文社が裁判にかけられることになった。そこで登場するのが山崎という弁護士。褌一丁で依頼人に会いに行くような変人だが、仕事にかけては優秀だという。「大正デモクラシー」の時代に、山崎がどんな弁護をしたのか?それは読んでもらうしかない。
探偵小説といえるのは一編だけで、あとは売文社や堺を中心にしたエンターテインメントである。しかし、その中にちゃんと資本主義の批判や、労働者や小作人も報われるべきだという主張もあって、単なるエンタメで終わっていないことに感心した。
売文社という、社会主義者が働く会社の社長、堺利彦(さかいとしひこ)が探偵役である。堺自身も社会主義者で、この会社はあらゆる文の代筆を引き受けている。
この堺が、人の服装を見ただけで職業を当てたり、その人物に起きたことまで推理してみせたりするのだ。その様は、シャーロック・ホームズのようである。
その特技を生かして、堺は売文社で「人生相談、探偵調査」を始めるという。
堺に助けてもらった「ぼく」の視点で物語は進む。
第2話「へちまの花は皮となるか実となるか」では、7か国語ができる大杉さんという無政府主義者が出てくる。この話で堺に来た依頼が暗号を解読して「へちまの花」という売文社の雑誌に載せてほしいというものだ。堺はなんとこの暗号解読を「ぼく」に任せた。「ぼく」はこの難しそうな暗号を解くことができるのか。
第3話は「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」である。女性をだまして人身売買をしているような悪徳業者を懲らしめようという作戦を、売文社に出入りしている女性たちが考える。「ぼく」は、堺に言われて協力を申し出るのだが、とんでもないことをさせられるという筋書きである。ただ、最近別の作家で似たような展開の小説を読んでいたため、あまり楽しめなかった。
第4話は、「小さき旗上げ、来れデモクラシー」。売文社が裁判にかけられることになった。そこで登場するのが山崎という弁護士。褌一丁で依頼人に会いに行くような変人だが、仕事にかけては優秀だという。「大正デモクラシー」の時代に、山崎がどんな弁護をしたのか?それは読んでもらうしかない。
探偵小説といえるのは一編だけで、あとは売文社や堺を中心にしたエンターテインメントである。しかし、その中にちゃんと資本主義の批判や、労働者や小作人も報われるべきだという主張もあって、単なるエンタメで終わっていないことに感心した。
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フリーランスの産業翻訳者です。翻訳歴12年。趣味と実益(翻訳に必要な日本語の表現力を磨くため)を兼ねてレビューを書いています。サッカーファンです。
書評、500冊になりました。これからも少しずつ投稿していきたいと思います。
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- ページ数:0
- ISBN:9784344043794
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