ぽんきちさん
レビュアー:
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(ノれればノンストップ・ミステリ・・・?)
このところ、若干、自分が何を読みたいのかわからなくなり、ネットで拾ったおすすめリストを試してみることにした。
おもしろいかなーと選んでみたのが、ダブリンが舞台というミステリー。紹介文からはコージーっぽい印象を受けた。
翻訳者は自身が読んでそのおもしろさに高揚し、出版社に翻訳企画を持ち込んだという。
帯には
そりゃおもしろいかと思うじゃないですか。
主人公ポールはアイルランド・ダブリンに住む、平凡な容姿の青年ポール。この平凡な容姿のせいで、他人に「いつかどこかで知っていた人」と思われがち。わけあって無職。入院中の老人の息子や甥っ子・孫の身代わりとして話し相手を務める日々。
ところがある日、そうして話し相手をしていた老人から、誰かと間違われて刺されてしまう。そのうえ、その老人が目の前で死んでしまった。どうやら老人はとある事件を起こした有名なギャングだったらしい。ポールは誰かと間違われたまま、爆弾で命を狙われる羽目に。もうこうなったら老人が関わった事件の真相を解明するしかない。事件のきっかけともなった看護師ブリジットとともに、決死の逃避行をしつつ、にわか探偵となる。
あらすじはなかなかおもしろそうなのだが。
これがなかなか難物だった。500ページ弱、そこそこ長い。
著者はエンタメに造詣の深い人のようで、種々、文芸作品や映像作品ネタを突っ込んでくるのだが、これがあまりおもしろくないのだ。
例えば、J.アーヴィングの『ガープの世界』のとあるエピソードに触れる下りがあるのだが。主人公ガープの奥さんが不倫をする。不倫相手と車中でことに及んでいたときに、ガープの車が突っ込んできて大惨事に、というエピソードである。これを受けたジョークがあるのだが、大して丁寧な説明はない。ほら、あのシーン、わかるでしょ、という匂わせのみである。映画なり小説なりで『ガープの世界』に触れた人ならわかるだろうが(何せエピソードが強烈なので)、そうでなければ意味がわからないだろう。が、それがストーリーに大きく影響するというほどではない。そのために『ガープの世界』を一から読むかと言えば、たいていの人はそこまでしないはずだ。何となく腑に落ちないまま読み進めることになる。
会話も軽妙なのかもしれないが、外国のギャグはむずかしいのだ。往々にして他国人にはちんぷんかんぷんなことも多く、いつでも笑えるとは限らない。ダジャレみたいなものは翻訳で補足説明されると逆に白けてしまうし。時事ネタを出されてわからないことも多い。
著者は現役コメディアンらしく、そういわれればそうかな、と思うが、当然ながら、それを知ったから笑えるというものでもない。
著者と感性が近い人、同じ文化背景を持つ人、笑いのツボが似ている人ならどんどん乗れて、ノンストップで楽しいのかもしれない。そうでなければ、このジョーク、このくすぐりはどういう意味なのか?といちいち引っ掛かって、居心地が悪い。
登場人物たちも特に魅力があったり、逆にひどく悪すぎたりするわけでもない。事件自体もそれほどおもしろい展開には思えない。
何だか親戚のおじさんが、おやじギャグまみれで自分の知らない人の噂話を延々としてくるみたいな感じ・・・?
続編も刊行され、本作以外に邦訳されているものもあるというし、駄作ではないのだろう。
というか、乗れる人は乗れる、ということなのだろう。
残念、私はダメだった。
おもしろいかなーと選んでみたのが、ダブリンが舞台というミステリー。紹介文からはコージーっぽい印象を受けた。
翻訳者は自身が読んでそのおもしろさに高揚し、出版社に翻訳企画を持ち込んだという。
帯には
「このミステリ、面白すぎる!!」――翻訳者・編集者・校正者
人違いがきっかけで命を狙われた青年の運命は?
読み出したら止まらないノンストップ・ミステリ
そりゃおもしろいかと思うじゃないですか。
主人公ポールはアイルランド・ダブリンに住む、平凡な容姿の青年ポール。この平凡な容姿のせいで、他人に「いつかどこかで知っていた人」と思われがち。わけあって無職。入院中の老人の息子や甥っ子・孫の身代わりとして話し相手を務める日々。
ところがある日、そうして話し相手をしていた老人から、誰かと間違われて刺されてしまう。そのうえ、その老人が目の前で死んでしまった。どうやら老人はとある事件を起こした有名なギャングだったらしい。ポールは誰かと間違われたまま、爆弾で命を狙われる羽目に。もうこうなったら老人が関わった事件の真相を解明するしかない。事件のきっかけともなった看護師ブリジットとともに、決死の逃避行をしつつ、にわか探偵となる。
あらすじはなかなかおもしろそうなのだが。
これがなかなか難物だった。500ページ弱、そこそこ長い。
著者はエンタメに造詣の深い人のようで、種々、文芸作品や映像作品ネタを突っ込んでくるのだが、これがあまりおもしろくないのだ。
例えば、J.アーヴィングの『ガープの世界』のとあるエピソードに触れる下りがあるのだが。主人公ガープの奥さんが不倫をする。不倫相手と車中でことに及んでいたときに、ガープの車が突っ込んできて大惨事に、というエピソードである。これを受けたジョークがあるのだが、大して丁寧な説明はない。ほら、あのシーン、わかるでしょ、という匂わせのみである。映画なり小説なりで『ガープの世界』に触れた人ならわかるだろうが(何せエピソードが強烈なので)、そうでなければ意味がわからないだろう。が、それがストーリーに大きく影響するというほどではない。そのために『ガープの世界』を一から読むかと言えば、たいていの人はそこまでしないはずだ。何となく腑に落ちないまま読み進めることになる。
会話も軽妙なのかもしれないが、外国のギャグはむずかしいのだ。往々にして他国人にはちんぷんかんぷんなことも多く、いつでも笑えるとは限らない。ダジャレみたいなものは翻訳で補足説明されると逆に白けてしまうし。時事ネタを出されてわからないことも多い。
著者は現役コメディアンらしく、そういわれればそうかな、と思うが、当然ながら、それを知ったから笑えるというものでもない。
著者と感性が近い人、同じ文化背景を持つ人、笑いのツボが似ている人ならどんどん乗れて、ノンストップで楽しいのかもしれない。そうでなければ、このジョーク、このくすぐりはどういう意味なのか?といちいち引っ掛かって、居心地が悪い。
登場人物たちも特に魅力があったり、逆にひどく悪すぎたりするわけでもない。事件自体もそれほどおもしろい展開には思えない。
何だか親戚のおじさんが、おやじギャグまみれで自分の知らない人の噂話を延々としてくるみたいな感じ・・・?
続編も刊行され、本作以外に邦訳されているものもあるというし、駄作ではないのだろう。
というか、乗れる人は乗れる、ということなのだろう。
残念、私はダメだった。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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