下級国民A

東日本大震災からの復興ビジネスは金になる。

会社の経営に失敗して家庭も破綻した著者は、再起を目指して仙台へ。

だが、待ち受けていたのは過酷で醜悪な日々だった。

仕事仲間からの陰湿な苛め、危険極まりない除染作業、守られない労働契約に金銭搾取……。

私は著者の赤松利市氏とはSNSを通して交流している仲だ。

そんな氏の初のエッセイが文庫化となったので早速読んでみた。

かつては全国の12カ所ゴルフ場の管理をする会社を立ち上げ年収2400万円もあった男がそれを破綻させてしまい土木作業員へと変わってしまうのだ。

土木作業員から除染作業員、そして最後は本書には掲載されていないがホームレスへと身を落とす。

まさに坂道を転げるようにとはこのことだ。

このような体験は如何に下級国民と言えどもなかなかできるものではない。

また、このような体験を体験者から聞く機会もない。

そこまで落ちてしまったのは私はあまりにも著者が真面目な気質であったのも要因だと思った。

赤松利市は他人におべんちゃらを使ったり、融通が利かない性質の男なのだ。

もし、あなたが著者が体験したことを疑似でも体験したいと思うならば手に取って読んでみることをお勧めする。

如何に人間とは金に振り回されやすいのかが分かると思う。