有坂汀さん
レビュアー:
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日本美術をたくみに引用しながら,透徹した眼で現代世界を描く画家・山口晃氏の第一作品集です。山口氏の存在を初めて知ったのは西原理恵子女史の「人生画力対決」でしたが、とても素晴らしい絵の数々でありました。
『神の領域』
とまで評されるほどの細かい書き込みと、遊び心が随所に溢れる作風の絵で、
「平成の絵師」
という異名を持つ画家・山口晃氏の作品集です。本書の存在を知ったのは山口氏のエッセイマンガである『すヾしろ日記』からで、中盤以降にはほぼ必ずと言っていいほど本書の告知があり、僕はそれにまんまと乗る(もしくは乗せられる)形で手にとって読んでみたのでありました。
描かれている絵はあまりにも細かい描写があり、付録として「ルーペしおり」なるものがついているので、それだけでも見ることが出来るのですが、僕はごっつい虫眼鏡でそれこそ「穴が空くほど」舐め回すようにして慈しむように1ページ1ページ見るのが、本書の鑑賞法であると信じております。
合戦。城。鎧武者。デパートなどの建築物…。実写ではバラック仕様で作った茶室など、本当に絵では線の一本一本に至るまで、実作では本当に細部までが描きこまれ、作りこまれていてその技量の高さにため息が出ると共に、その中に描きこまれているそれぞれの物語や、登場人物の一人ひとりに至るまで、表情があり、驚かされておりました。
たとえば一見、騎馬武者に見えても乗っているのは一輪車のバイクであったり、合戦の最中でも前方は戦っている中でも、陣中では何人かでポルノ画像(もしくは動画)に見入っていたり、はたまた出前を取っている様子が描かれているなど、とてもユーモアに溢れており、虫眼鏡を覗き込みながら思わずにやりと笑ってしまう箇所がいくつもありました。
この文章を書くために再度この画集をめくっていても、絶対にマネのできない程素晴らしい絵の数々と、その絵の中に巧みに織り込まれている世界観は見るものをうならせると言うことは間違いありません。
とまで評されるほどの細かい書き込みと、遊び心が随所に溢れる作風の絵で、
「平成の絵師」
という異名を持つ画家・山口晃氏の作品集です。本書の存在を知ったのは山口氏のエッセイマンガである『すヾしろ日記』からで、中盤以降にはほぼ必ずと言っていいほど本書の告知があり、僕はそれにまんまと乗る(もしくは乗せられる)形で手にとって読んでみたのでありました。
描かれている絵はあまりにも細かい描写があり、付録として「ルーペしおり」なるものがついているので、それだけでも見ることが出来るのですが、僕はごっつい虫眼鏡でそれこそ「穴が空くほど」舐め回すようにして慈しむように1ページ1ページ見るのが、本書の鑑賞法であると信じております。
合戦。城。鎧武者。デパートなどの建築物…。実写ではバラック仕様で作った茶室など、本当に絵では線の一本一本に至るまで、実作では本当に細部までが描きこまれ、作りこまれていてその技量の高さにため息が出ると共に、その中に描きこまれているそれぞれの物語や、登場人物の一人ひとりに至るまで、表情があり、驚かされておりました。
たとえば一見、騎馬武者に見えても乗っているのは一輪車のバイクであったり、合戦の最中でも前方は戦っている中でも、陣中では何人かでポルノ画像(もしくは動画)に見入っていたり、はたまた出前を取っている様子が描かれているなど、とてもユーモアに溢れており、虫眼鏡を覗き込みながら思わずにやりと笑ってしまう箇所がいくつもありました。
この文章を書くために再度この画集をめくっていても、絶対にマネのできない程素晴らしい絵の数々と、その絵の中に巧みに織り込まれている世界観は見るものをうならせると言うことは間違いありません。
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有坂汀です。偶然立ち寄ったので始めてみることにしました。ここでは私が現在メインで運営しているブログ『誇りを失った豚は、喰われるしかない。』であげた書評をさらにアレンジしてアップしております。
この書評へのコメント
- 祐太郎2013-11-30 23:05
館林でほぼ大回顧展をやっています。
http://www.gmat.pref.gunma.jp/ex/ex1.html
先週いけるはずでしたが、諸般の事情で12月下旬になりそうです。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
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- 出版社:東京大学出版会
- ページ数:91
- ISBN:9784130831000
- 発売日:2004年10月01日
- 価格:2940円
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