茜さん
レビュアー:
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ミステリー界の話題をさらった、第62回メフィスト賞受賞作。
法律家を目指す学生・久我清義と織本美鈴。
ある日を境に、二人の「過去」を知る何者かによる嫌がらせが相次ぐ。
これは復讐なのか。
秀才の同級生・結城馨の助言で事件は解決すると思いきや、予想外の「死」が訪れる――。
作者が現役の弁護士なので法律についても詳しくて興味深かったし、裁判の場面の描写がまるで傍聴席にいるかのように想像することができました。
ロースクールでの無辜ゲームという疑似裁判からストーリーは始まっていくのですが知らないことばかりで調べながら読みました。
まずは「ロースクール」ですが、かの某皇族のお嬢様が結婚なされたお相手が結婚後に通っていた「法曹(弁護士・検察官・裁判官)に必要な知識や能力を培うことを目的とする専門職大学院のこと」。
そして、「無辜(むこ)」は本書の一番最初に書かれていて《「辜」は罪の意》罪のないこと。また、その人。とのこと。
と、書いていると何だか小難しいストーリーのような感じがしますが全然そんなことはなくて、読みやすかったしどんどんとストーリーに引き込まれました。
興味深かったのが無罪と冤罪の違い。
例えば殺人罪の場合、殺意をもって人を殺した事実が認められれば、刑法百九十九条に定められた構成要件が肯定される。だが、殺人罪の構成要件に該当しても、無罪となる道はまだ残っている。
「違法性阻却事由や責任阻却事由が認められた場合も無罪」になり、正当防衛や緊急避難が前者、心神喪失や刑事未成年が後者の代表的な例らしい。
対して、冤罪は「罪を犯していないのに、有罪判決を受けたこと。一度有罪宣告を受けてから、逆転で無罪を勝ち取る。」そして、冤罪か否かは神のみが知る。
読後に思い返すと、このことを頭の片隅に覚えておいて読むと面白いと思いました。
あと、これは知っている方が多いと思いますが、無罪推定の原則である何人も、有罪と宣告されるまでは無罪と推定される。
久我清義と織本美鈴の過去のことも興味深かったです。色々と為になる読書でした。
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初志貫徹、実るほど頭を垂れる稲穂かな
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