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DBさん
DB
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文学や絵画のカラスの本
カラスにまつわる伝説や文学、絵画と幅広く紹介した本です。
最初に登場するのはロンドン塔のワタリガラス、ロンドン塔から六羽のワタリガラスがいなくなると塔と国が崩壊するという言い伝えにのっとり、今でもレイヴンマスターと呼ばれる飼育員によってワタリガラスが飼われているそう。
冒険に乗り出して帰ってこなくなるカラスもいれば、テレビのアンテナをかじる癖があったカラスのようにロンドン塔に相応しくないとされて早期退職するカラスもいる。
監獄でもあり死刑場でもあったロンドン塔にはカラスが似合う。

チャールズ・ディケンズは多くの猫と犬と鳥を飼っていたが、中でもワタリガラスがお気に入りですべてグリップという名前だったとか。
ディケンズの作品だけでなく、アメリカ旅行に同行したグリップはエドガー・アラン・ポーと面会して『大鴉』の作品を生むきっかけとなったそうだ。

トールキンの『指輪物語』でもカラスはサウロンのクレバインとして不吉な姿で飛んでいるし、「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作である『七王国の玉座』でも白鴉や黒鴉が登場してファンタジーの世界に馴染んでいる。
北欧神話では主神オーディンにつきそうフギンとムニンというワタリガラスの名も伝えられているし、イソップ童話では水差しに石を入れることで水位を上げる賢いカラスが登場する。
その賢さと黒装束が世界各地で目を引いていたのがよくわかる。

ヒッチコックの映画でもカラスは活躍しているが、その撮影秘話も出てきます。
映画スターだったカラスもいたそうで、カラスのジミーはハリウッドで数々のスターを凌ぎ最多出演記録を保持しているそうだ。
芸をいくつかマスターしていたジミーは人間の俳優よりNGが少なく、スタントカラスが二十一羽もいて1万ドルの保険がかけられていた。
まさしく大スターですね。

絵画もゴーギャンやゴッホをはじめ、河鍋暁斎の浮世絵などカラスの登場する絵画が紹介されている。
そんな芸術のカラスの話もあれば、実際のカラスの行動や認知能力について解説されている部分もあり面白い。
カラスが人間を識別するだけでなく、餌をくれる人をおぼえていてお返しのプレゼントをくれるという話はほのぼのとしていた。
カラスの魅力を様々な面から見ることができる本だった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2026 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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