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休蔵さん
休蔵
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古代エジプトを舞台にしたミステリー小説。「第22回 このミステリーがすごい!」大賞の受賞作。ところで、果たして表紙は誰なのか?

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

 古代エジプトを舞台にした小説は、はじめてだった。
 しかも著者は日本人。
 古代エジプトの歴史を取り扱う歴史小説ならまだしも、本書は古代エジプトの時代小説のようなミステリー。
 しかも、「第22回 このミステリーがすごい!」大賞を受賞しているほど秀逸なもの、という。
 期待半分、期待し過ぎで勝手に裏切られたときの不安半分で読み始めたが、一気読みということになってしまった。

 さて、舞台は古代エジプト。
 ファラオであるアクエンアテンがエジプトの主神をアテン神に定めるという、それまでの宗教観を大きく覆した歴史的転換点にあたる。
 それは単なるファラオの気紛れということでは済まされず、国家の存続そのものを大きく揺るがす重大事で、さらには冥界の存続すら危うくし兼ねないことに。
 その事態を受けて動いた人々がいる。
 事態の改善のためにとられた方法は、とんでもなく奇想天外なもので、古代エジプトが舞台でなければ成立し得ないもの。

 主人公は上級神官書記のセティ。
 セティは本書ストーリーが展開する半年前に命を落とす。
 王墓での落盤事故が原因だ。
 そして、冥界に旅立ち、真実をつかさどるマアト神の審判を受けるのだが、その際に自身の身体に起きた変化を知る。
 その変化が原因で半年ぶりに復活することに。
 それはミイラになるべく施術を受けた現実の身体に魂を宿しての復活だった。
 ただし、復活の機関はわずか3日。
 そのわずかなな期間の復活に、セティはたんまりとやらなければいけない課題を背負っていた・・・。
 
 古代エジプトが舞台で、歴史小説でもなく、ミステリー仕立て。
 なんでそんな時代や舞台の設定にしたの?と思いながらページを捲ったが、なるほど古代エジプトが舞台でないといけないし、古代エジプトを舞台としたからこそ成り立つ仕立てだった。
 当時のエジプトの人たちが神をどう思っていたのか、死者が再びこの世に生を受けることにどんな認識を抱いていたのか、そんな設定をしっかりと落とし込んだ先にストーリーが組み立てられている。
 もちろん、生活環境やピラミッド築造のあり様、身分制などもしっかりと落とし込まれていた。
 参考文献には古代エジプトに関する書籍が数多く示されていたが、そこから吸収した知識が本書を支えているのだろう。
 信仰すべき神の転換は人々の心に大きな動揺を生じさせただろうし、その動揺により発生した諍いもあっただろう。
 知識に裏付けられながらも、豊かな想像力に支えられながら築き上げられたミステリー。
 謎解きにチャレンジする気持ちは、生まれないままに読み終わっていた。
 

 
 

 
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:451 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

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