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ぱるころ
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何かが変わるわけではない。それでも、「書くこと」には大きな意味がある。
自分の気持ちと向き合うことや、考えを文章にしてみること…「自分だけの時間」を作ることが難しい今だからこそ、その大切さを見直したい。

本書は、
【「思う」と「考える」はなにが違う?】
【ぼくたちが書く、ほんとうの理由】
など、中学生くらいから大人までを対象とした、「自分の考えを書くこと」がテーマの自己啓発本。


舞台は「うみのなか」の世界で、主人公は中学生のタコジロー。辛いいじめに遭い、学校を休んでしまったタコジローは、公園でヤドカリのおじさんと出会う。

「ぼくは頭の回転がにぶいから、うまく話すことができない」と悩むタコジローに、ヤドカリのおじさんは、頭の回転がにぶいわけではなく「思う」と「言う」の距離の関係だと答える。すぐに言葉が出てこないのは、話す順番を考え、慎重に言葉を選んでいる証拠でもある。

タコジローをいじめるグループのように後先考えず思いのまま発する言葉は、次々生まれては消えていく「泡」と同じ。SNSのように、短い時間で何十件も溜まってしまうメッセージも、泡。

泡ではない文章は、自分で考え、持っている語彙の中からぴったりの言葉を、時間をかけて選ぶことによって完成する。おじさん曰く、今のタコジローに必要なのは、自分の考えを文章にしてみるという行為だ。それも、先生や友人の反応を気にして書くのではなく、自分自身と向き合うためだけの文章を書くこと。
タコジローはおじさんの導きにより、まずは10日間、日記をつける事に挑戦する。「文章を書くこと」は、他の勉強や習い事に比べて成長を実感しにくく、続けることが難しいとも言える。それでも日記を通してタコジローは、「ありのままの自分を好きになりたい」という気持ちに気づき始める。



他人から見て変でもおかしくても、本当の気持ちを書いてこそ意味がある。
著者の言う通り、書いてみたところで性格が変わるわけでも状況が良くなるわけでもない。
自分自身と向き合って言葉を選んだ、その意味の深さに気づくのは、ずっとずっと先のことかもしれない。
それでも、書くことによって救われるというのは、私自身も経験がある。

今、居場所がないと感じている人、辛い気持ちを抱えている人に届いてほしい。また、家庭や職場で「人を育てる」という立場になった大人にも、ぜひ読んでほしい。

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ぱるころ
ぱるころ さん本が好き!1級(書評数:147 件)

週1〜2冊、通勤時間や昼休みを利用して本を読んでいます。
ジャンルは小説・エッセイ・ビジネス書・自己啓発本など。
読後感、気付き、活かしたい点などを自分なりに書き、
また、皆さんからも学びたいと考え参加しました。
よろしくお願いします。

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