休蔵さん
レビュアー:
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新型コロナウイルスや地球温暖化、永久凍土の溶解など、現代的問題をうまく取り込みながら、新たなウイルス問題に取り組んだ意欲的小説。でも、パニック小説ではありません。

 毎年暑い!
年々暑くなっているような気がする。
アブラゼミよりクマゼミの勢力が強くなって久しい。
海水面が上昇しつつあり、水没の危機に瀕している島国もある。
そして、永久凍土も少しずつ解け始めているという。
本書はそんな時勢的問題と、新型コロナウイルスの経験が融合して生み出された小説。
パニック小説の部類に入りそうだが、物語は比較的淡々と進んでいく。
 
永久凍土が解けはじめたことで、そこに閉じ込められていた古代生物が姿を現すようになった。
マンモスや毛サイなどがそうで、マンモスの牙は以前からハンターが追い求めていた。
そして、マンモスハンターの照準は肉を持ったまま冷固したマンモスそのものにあてられる。
その結果、マンモスの体内に眠るウイルスを起こしてしまうことに・・・という設定だ。
主人公のカール・バレンタインはプリンストン大学の遺伝子研究所教授。
32歳という設定で、相当優秀なことがうかがえる・・・がここ3年は休職扱い。
そんな彼は新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時、アメリカ疾病予防センターで活躍していた。
とは言え、コロナの抑え込みは相当に困難で、実の母親が感染して亡くしてしまうことを避けることができず、精神的に参ってしまう。
そんな彼のもとに来た依頼。
それはある細胞から遺伝子を取り出すことだった。
そこから人類の滅亡にも関わるかもしれないウイルスの発見につながる展開に・・・
今になるとコロナ禍の狂騒がうそみたいな感じがする。
マスクをしている人はだいぶ減ったし、密集してのイベントは当たり前となった。
新型コロナウイルスが弱体化しているのだろうが、それでもコロナ禍とのあまりもの違いに怖ろしさも感じる。
でも、もうコロナ禍の状況にはきっと戻らないし、それが良いとは思う。
それにしても新型コロナウイルスの発信源についての議論はどうなったのだろうか。
本書はパルウイルスと名付けたウイルスの発信源の追求に力を注ぐ。
そして、それを突き止めたことで、滅亡の回避の鍵に突き当たる。
本書のテーマはパニック小説の範疇に入るが、静かに淡々と進む展開はメインテーマがウイルスの発信源の追求に重きを置いた事情による。
それでも所々で爆発は起きるし、主人公のカールが命の危機にもさらされる場面もある。
コロナ禍で、ウイルスの拡散を封じ込めることの重要性を人類的規模で学んだ、はずだった。
しかしながら、本作では経済的、軍事的思惑が蠢き、架空の想定ながらも嘆息してしまった。
現実世界ではどうなるものか。
 
地球温暖化は確実に進んでいる。
毎年毎年、暑さが増していっているように思うし、それに関連して気象変動も著しい。
今年はどこが豪雨の犠牲になるのかといった話まで出る始末。
まるで豪雨災害がない年なんて想像できないかのようだ。
永久凍土が解けているのも事実で、氷河も減少の一途をたどっている。
未来は明るいものとは限らない。
冷静に考えると不安要素ばかりだ。
それでも普通の日常生活を送らなければいけない。
できることは、危機について知ることと、それに備えること、くらいか。
コロナ禍のような制約だらけの生活はうんざりだから、享楽的な生活の追求に終始しないようにしていきたいと改めて感じた。
年々暑くなっているような気がする。
アブラゼミよりクマゼミの勢力が強くなって久しい。
海水面が上昇しつつあり、水没の危機に瀕している島国もある。
そして、永久凍土も少しずつ解け始めているという。
本書はそんな時勢的問題と、新型コロナウイルスの経験が融合して生み出された小説。
パニック小説の部類に入りそうだが、物語は比較的淡々と進んでいく。
永久凍土が解けはじめたことで、そこに閉じ込められていた古代生物が姿を現すようになった。
マンモスや毛サイなどがそうで、マンモスの牙は以前からハンターが追い求めていた。
そして、マンモスハンターの照準は肉を持ったまま冷固したマンモスそのものにあてられる。
その結果、マンモスの体内に眠るウイルスを起こしてしまうことに・・・という設定だ。
主人公のカール・バレンタインはプリンストン大学の遺伝子研究所教授。
32歳という設定で、相当優秀なことがうかがえる・・・がここ3年は休職扱い。
そんな彼は新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時、アメリカ疾病予防センターで活躍していた。
とは言え、コロナの抑え込みは相当に困難で、実の母親が感染して亡くしてしまうことを避けることができず、精神的に参ってしまう。
そんな彼のもとに来た依頼。
それはある細胞から遺伝子を取り出すことだった。
そこから人類の滅亡にも関わるかもしれないウイルスの発見につながる展開に・・・
今になるとコロナ禍の狂騒がうそみたいな感じがする。
マスクをしている人はだいぶ減ったし、密集してのイベントは当たり前となった。
新型コロナウイルスが弱体化しているのだろうが、それでもコロナ禍とのあまりもの違いに怖ろしさも感じる。
でも、もうコロナ禍の状況にはきっと戻らないし、それが良いとは思う。
それにしても新型コロナウイルスの発信源についての議論はどうなったのだろうか。
本書はパルウイルスと名付けたウイルスの発信源の追求に力を注ぐ。
そして、それを突き止めたことで、滅亡の回避の鍵に突き当たる。
本書のテーマはパニック小説の範疇に入るが、静かに淡々と進む展開はメインテーマがウイルスの発信源の追求に重きを置いた事情による。
それでも所々で爆発は起きるし、主人公のカールが命の危機にもさらされる場面もある。
コロナ禍で、ウイルスの拡散を封じ込めることの重要性を人類的規模で学んだ、はずだった。
しかしながら、本作では経済的、軍事的思惑が蠢き、架空の想定ながらも嘆息してしまった。
現実世界ではどうなるものか。
地球温暖化は確実に進んでいる。
毎年毎年、暑さが増していっているように思うし、それに関連して気象変動も著しい。
今年はどこが豪雨の犠牲になるのかといった話まで出る始末。
まるで豪雨災害がない年なんて想像できないかのようだ。
永久凍土が解けているのも事実で、氷河も減少の一途をたどっている。
未来は明るいものとは限らない。
冷静に考えると不安要素ばかりだ。
それでも普通の日常生活を送らなければいけない。
できることは、危機について知ることと、それに備えること、くらいか。
コロナ禍のような制約だらけの生活はうんざりだから、享楽的な生活の追求に終始しないようにしていきたいと改めて感じた。
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 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 
この書評へのコメント
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書評一覧を取得中。。。
- 出版社:角川春樹事務所
- ページ数:0
- ISBN:B0BWXTK83B
- 発売日:2023年03月08日
- 価格:1782円
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