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ぱるころ
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木造校舎の温かみと輝き、子供たちの生き生きとした表情…。ほんの少し前の時代の良さを、今一度思い出してみてはどうか。
『木造校舎の子供たち』というテーマに惹かれ、先日とある写真展を訪れた。この写真集には、写真展の展示作品を含め、木造校舎やそこで学ぶ子供たちを写した作品が収録されている。

これらの写真は1991年に千葉県、埼玉県、山形県の小学校で撮影されたもの。木造校舎の温かみ、窓から差し込む優しい光、長年に亘り磨かれた床の輝きに加え、子供たちの生き生きとした表情が何とも印象的だ。
私はノスタルジックなものが好きなのでこの写真展に興味を持ったのだが、実際に作品を目にして感じたのは懐かしさだけでなく、子供たちの瞳から溢れ出すような、「生きる楽しさ」である。


しかし、1991年に撮影した写真をなぜ今…
実はこの写真展でカメラマンの荒谷良一氏ご本人とお会いし、貴重なお話を伺うことができた。
「何もないけれど楽しめる時代が、少し前にあった。この子供たちの表情を通して、その時代を知っている方には思い出してほしい。知らない方には知ってほしい。」
このような思いがあって今、写真展を開いたのだそう。

その思いは写真集の中で次のような言葉になっている。
『私たちは多くの便利なものや快適なものを手に入れたと思います。しかし多くの不便だけれど楽しいもの、そして大切なものを失ったように感じます。
(中略)それらを体験していない人たちに伝えたい、それらを体験した人たちには、いまいちどその時のことを思い出してもらいたい。そして木造校舎の子供たちのように多くの笑顔があふれる世界になって欲しいと願っています。』

宮沢賢治や坪田譲治の童話から影響を受けたという荒谷氏。とても気さくな方で、展示作品やこの写真集を眺めながらの会話はとても楽しいひとときになった。
芸術に触れることはいいなぁと改めて思う。


写真に写っている子供たちは現在40歳前後だ。私は1983年生まれなので写真の子供たちと同世代だが、今の子供たちや若い人たちにとって、この写真の時代はやはり「昔」なのだろうか。それでも、自分たちがこの写真の時代と全く別の世界にいるのではなく、この時代の「続き」にいるのだと、少しでも感じ取ってほしい。

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ぱるころ
ぱるころ さん本が好き!1級(書評数:147 件)

週1〜2冊、通勤時間や昼休みを利用して本を読んでいます。
ジャンルは小説・エッセイ・ビジネス書・自己啓発本など。
読後感、気付き、活かしたい点などを自分なりに書き、
また、皆さんからも学びたいと考え参加しました。
よろしくお願いします。

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