morimoriさん
レビュアー:
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芥川龍之介があちこちの編集者に菊池寛の名前を出してくれたことがきっかけで、菊池寛に作品依頼がくるようになり、それが評判を得て文壇からも注目を受けた。
 明治大学、早稲田大学を中退し東京帝都大学予備課程の第一高等学校に入学したものの卒業間近にマントを盗んだ友人の身代わりとなって退校。京都帝国大学英文科に学びその後、時事新報社に入社し社会部記者となった菊池寛は、芥川の口利きで「文章世界」「新潮」からの依頼を受け作品が評判となった。夏目漱石を師と仰ぎ、芥川龍之介、久米正雄らを友人に持ち「父帰る」「真珠婦人」が売れに売れて演劇界からも注目された。雑誌の時代と言われた大正11年雑誌をやろうと決めた菊池は「文藝春秋」を創刊した。
タイトルの通り、菊池寛が文藝春秋の社長になり雑誌を発行し作家としても活躍するのだが、登場人物も芥川を始め夏目漱石や川端康成、さらには石井桃子まで登場する。大らかで面倒見の良い菊池寛の人となりが伝わる内容で読んでいて興味をそそられる。なかでも直木賞の由来となった直木三十五(本名植村宗一)は、年齢とともに三十一からはじまりやっと三十五で名前が落ち着いたことや初めて菊池寛と会った時のやりとりがおもしろい。借金をためこんで苦境に陥っている直木に菊池は、「小説を書け」と才を見出し流行児にしたりと面倒見の良さに惹かれる。
文藝春秋社を作り、誌上で芥川龍之介賞と直木三十五を新設し順調に順風満帆に思えたものの社員による横領があったり、戦後GHQによる公職追放になったりと執筆活動のみならず大いなる活躍をし多くの社員や仲間、そして家族から愛された人物だったのだと思う。菊池寛と交流を持った作家たちの話や、幼い日の向田邦子と会った記述、後に芸人となって活躍した古川ろっぱが文藝春秋に勤めていたことなど数多くのエピソードが綴られていたのも楽しかった。
タイトルの通り、菊池寛が文藝春秋の社長になり雑誌を発行し作家としても活躍するのだが、登場人物も芥川を始め夏目漱石や川端康成、さらには石井桃子まで登場する。大らかで面倒見の良い菊池寛の人となりが伝わる内容で読んでいて興味をそそられる。なかでも直木賞の由来となった直木三十五(本名植村宗一)は、年齢とともに三十一からはじまりやっと三十五で名前が落ち着いたことや初めて菊池寛と会った時のやりとりがおもしろい。借金をためこんで苦境に陥っている直木に菊池は、「小説を書け」と才を見出し流行児にしたりと面倒見の良さに惹かれる。
文藝春秋社を作り、誌上で芥川龍之介賞と直木三十五を新設し順調に順風満帆に思えたものの社員による横領があったり、戦後GHQによる公職追放になったりと執筆活動のみならず大いなる活躍をし多くの社員や仲間、そして家族から愛された人物だったのだと思う。菊池寛と交流を持った作家たちの話や、幼い日の向田邦子と会った記述、後に芸人となって活躍した古川ろっぱが文藝春秋に勤めていたことなど数多くのエピソードが綴られていたのも楽しかった。
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多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。
この書評へのコメント
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:0
- ISBN:9784163916675
- 発売日:2023年03月10日
- 価格:1980円
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