書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

ぱるころ
レビュアー:
「違うこと」から逃げる自分を許す。そして、去ってゆく相手を許す。
吉本ばななさんのエッセイは、自分を見つめ直したいときや自分を見失いそうなとき、心に効く。
表題『「違うこと」をしないこと』の意味は、変化を拒むことや自分らしさに拘ることではない。そのときの自分の心が「何となく嫌だな」「これは違うな」と感じることから、うまく距離を置くことを指す。

この本ではエッセイ3本、対談2本、読者からの質問に答える「教えて ばななさん」の全体を通して、自分を知り、自分の感覚に従うことで「生きやすさ」を引き寄せる方法について書かれている。
ややスピリチュアル寄りな印象も受けるが、実際に自分や他人の「引き寄せ」「運の強さ」などを感じた経験のある方は多いのではないか。

自分を知るうえで大切なのは、他人が勝手に言う「違うこと」ではなく、自分の力で「違うこと」を感じ取ること。ところが、今の若い世代の人はノイズが多くて自分自身を見つけるところまで辿り着くことさえ難しいのだという。
そこでヒントになるのは、「誰かのために自分は何ができるか」を考えること。この考え方は、本書に何度も登場するキーワードである「自分の初期設定を知ること」とも繋がる。


代表作『キッチン』など人々の心に強く残る作品からも分かる通り、著者は小説で人に癒しを与えることこそが自分にできることであると考え、作品を生み出してきたのだそう。

本書を読んで、自分自身を振り返ってみた。私は20代の頃に就きたい職業があったので資格を取って転職し、その仕事を十年以上続けている。一番は「自分のため」と考えてきたが、掘り下げてみると「自分の勉強したことで人の役に立ちたい」という思いもあった。著者の言葉を借りるならば、そのとき私は自分の「初期設定」に気づき、その思いによって守られてきたのかもしれない。


ノイズの多い世の中であっても、本を読んだり芸術に触れたりすることは自分を見つけるチャンスになると思う。
自分の感覚に素直になり、「違うこと」から逃げる自分を、また、去って行く相手を許す力が今の社会には必要だと感じる。

お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ぱるころ
ぱるころ さん本が好き!1級(書評数:147 件)

週1〜2冊、通勤時間や昼休みを利用して本を読んでいます。
ジャンルは小説・エッセイ・ビジネス書・自己啓発本など。
読後感、気付き、活かしたい点などを自分なりに書き、
また、皆さんからも学びたいと考え参加しました。
よろしくお願いします。

読んで楽しい:1票
参考になる:22票
共感した:1票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『「違うこと」をしないこと』のカテゴリ

登録されているカテゴリはありません。

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ