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マッピー
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狸は如何に生くべきか。面白く生きるほかに、何もすべきことはない。天狗と人間とそれから狸、みんな違ってみんないい?
世間では続編の「二代目の帰朝」の話題に揺れているというのに、今さらながらの第一作です。

京都に住む狸の名門・下鴨家の4兄弟を中心に、人や天狗も巻き込んでの一大活劇。
年に一回狸鍋を食べる「金曜倶楽部」の面々。(人間)
下鴨家の宿敵・夷川家。(狸)
人間を嗤い狸を下に見る赤玉先生。(天狗)

設定だけでも愉快なのに、文体がまた、もってまわった慇懃無礼、傲岸不遜、以下省略。
電車の中で読んだとき、ぷっと吹きだすことは我慢できるかもしれないけれど、にやにや笑いは多分我慢できないな。

京の狸を取りまとめる偽右衛門という役職だった、器の大きな狸物であった父総一郎は、なぜ狸鍋となってこの世を去ることになったのか。
偽右衛門を継ぐのは長男の矢一郎か、それとも父の実の弟夷川早雲か。
今年「金曜倶楽部」に食べられる狸は誰か。
なぜ次男矢二郎は蛙となって井戸にひきこもってしまったのか。

謎は数々あれども、深刻な話ではみじんもない。
なぜならば、主人公は狸だから。狸の特性は阿呆だから。

偉大な父はその血を四つに分けた。
長男は責任感だけを受け継ぎ、次男は暢気な性格だけを受け継ぎ、三男は阿呆ぶりだけを受け継ぎ、四男は純真さだけを受け継いだ。
世間は彼らを、できそこないの子どもたちとみるが、4匹の兄弟が力を合わせれば、まあそこそこの力にはなるのである。
やるべきことはやり、あとは暢気に楽しく暮らしてゆけばよい。

“世に蔓延する「悩みごと」は、大きく二つに分けることができる。一つはどうでもよいこと、もう一つはどうにもならぬことである。そして、両者は苦しむだけ損であるという点で変わりはない。”

彼ら一族とその仲間たちに、ほどほどの栄光あれ。
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マッピー
マッピー さん本が好き!1級(書評数:111 件)

寝ても覚めても本が好き
ジャンルは問わず本が好き

なのに最近本を読む時間がなかなか取れないのが悩みの種。
ぽつぽつ読んでいきますので、よろしくお願いします。

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