書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

ぱるころ
レビュアー:
有吉佐和子さんの作品をもっと読んでみたい!!
作家の有吉佐和子さん(1931〜84)の生涯を『本棚』というテーマで紹介する豪華な一冊が、この10月に刊行された。

幼い頃に親しんだ本、作家となって愛用した仕事机、作品の数々などが、カラー写真で紹介され、読書好きにとっては眺めるだけで楽しい。

紹介されている作品の中で、私は『悪女について』を読んだことがあり、時代を超えて楽しめる小説として印象に残っている。近年は、人種差別を扱った『非色』や、仕事を持つ女性の生き方を描いた『閉店時間』の復刊により、若い読者も増えているという。
「ようやく時代が追いついてきた」と、編集者によるあとがきにも書かれている。

さて、数十年先を見据えた作品を生み出した生涯とは、どのようなものだったのか。
有吉さんは、4歳のとき父親の仕事でジャワ(現在のインドネシア)へ移住し、10歳までを過ごす。体が弱く、学校へ行ける日は半分くらい。休んだ日はひたすら家で本を読み、鴎外全集、漱石全集などは小学生時代に読破。女学校時代は「わかりもしないのに、もっともらしい顔をして」哲学書を読み、危うく「小生意気で変てこりん」な女の子になってしまうところ、それまでの世界を変えてくれたのが岡本かの子著『生々流転』だったそう。この出会いがなかったら、作家にはなっていなかったと述べている。17歳のときの読書ノートでは、読み感じたことをそのまま書くと宣言していた。

25歳で文壇デビュー、28年間の作家生活で、80冊の単行本を出版。現代にも通じる社会問題や働く女性の生き方について考える作品が多数、そして、多くが映画化・舞台化されている。
また、本書に収録されているエッセイや短編小説も大変興味深く、この一冊で有吉さんの見ていた世界、文章への向き合い方、真っ直ぐな人柄まで、多くを知ることができたと感じた。娘の玉青(たまお)さんと映る写真は、優しい表情が印象的。

作品の復刊を経ての、本書の刊行。これからも多くの人が、有吉佐和子さんの作品の魅力に引き込まれていくに違いない。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ぱるころ
ぱるころ さん本が好き!1級(書評数:147 件)

週1〜2冊、通勤時間や昼休みを利用して本を読んでいます。
ジャンルは小説・エッセイ・ビジネス書・自己啓発本など。
読後感、気付き、活かしたい点などを自分なりに書き、
また、皆さんからも学びたいと考え参加しました。
よろしくお願いします。

読んで楽しい:2票
参考になる:28票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『有吉佐和子の本棚』のカテゴリ

登録されているカテゴリはありません。

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ