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三毛ネコ
レビュアー:
音楽をテーマにした小説です。
活字中毒さんのレビューで読む気になった。音楽がテーマの小説である。

主人公は陽菜(はるな)。音大受験を控えている浪人生で、7歳からフルートを吹いている。姉の亜季に誘われて奥瀬見という田舎にやって来た。亜季は高校からホルンを始め、今も続けている。陽菜は奥瀬見で演奏会に出ることになった。

しかし、陽菜は問題を抱えていた。1年ぐらい前から、フルートを吹くと、唇や手が震えるようになったのだ。原因は分からず、医者に診てもらっても治らなかった。そのせいで、音大の試験に落ちたのだ。それから4か月間フルートに触っておらず、元の状態に戻るためのきっかけを得ようとして奥瀬見に来た。

ここで彼女は楽器職人の芦原幹(あしはらみき)とその娘の朋子(ともこ)と出会う。そして、オルガンの音を聴いて「面白い」と感じる。久しく持たなかった感情である。

陽菜がフルートを吹けなくなったのは、高校3年生で出たコンクールの後だった。自分では納得のいく演奏ができたのだが、そこに出ていた3人の高校生がずば抜けた才能の持ち主で、1位から3位まではその3人が独占した。4位以降は順位を付けないという方針だったため、陽菜は自分の順位が分からなかった。

芦原のオルガン作りを手伝い、オルガンという楽器に魅了されていく陽菜。そして、彼女が選んだ道は……。

そして話は芦原朋子の方に移る。

朋子の母はオルガン奏者だった。オルガンの演奏中にオルガンの下敷きになって死んだのだ。

そして、父の幹も亡くなった。それでも朋子は、父と一緒に作っていたオルガンを完成させる決心をする。

しかし、芦原幹がどういうオルガンを作りたかったのかが分からない。それを知ろうとして、朋子は幹が作ったオルガンの演奏を聴いたりする。

その後、幹が目指した音を作り上げるには、陽菜の優れた耳が必要だと気づいた朋子は、強引に陽菜にオルガン作りを手伝わせる。

オルガンが完成するかどうかは読んでいただくしかないが、オルガンは思ったよりずっと複雑な楽器だということが分かった。色々なパーツがあり、職人の腕だけでなく、音楽の才能や人と交渉する能力も必要になる。

オルガン作りも含め、音楽の深みと広い世界を存分に表現した小説と言えるだろう。
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三毛ネコ
三毛ネコ さん本が好き!1級(書評数:873 件)

フリーランスの産業翻訳者です。翻訳歴12年。趣味と実益(翻訳に必要な日本語の表現力を磨くため)を兼ねてレビューを書いています。サッカーファンです。

書評、500冊になりました。これからも少しずつ投稿していきたいと思います。

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この書評へのコメント

  1. Dolphin2022-12-04 16:17

    三毛猫さんの★★★★★!
    レビューを読んでから気になっています。近々にGETしたいです。

  2. 三毛ネコ2022-12-04 19:19

    ありがとうございます。参考になったのなら嬉しいです。

  3. No Image

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