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休蔵さん
休蔵
レビュアー:
飛石や敷石にも美が宿るようだ。灯台下暗しだったか!?いろいろあって面白かった。
 庭のデザインと称したシリーズの第2巻、庭を伝う飛石と敷石に焦点をあてた1冊。

 日本庭園を散策する際、しっかりと敷き固められた土の道を歩くこともあれば、石の上に足を運ぶこともある。
 後者は、ただ単に通るための機能を持つだけではなく、訪れた人を楽しませるデザイン効果を持つ。
 そのため、打ち方に工夫をこらしたり、石材の選択に知恵を絞る。
 
 飛石は、上面が歩行に適した形状の石材を選択する。
 それは自然石であったり、加工が加えられた人工石だったりする。
 飛石は来訪者を目的の施設へ誘うという明確な目的を有しており、安全で容易な歩行路である使命を帯びている。
 しかし、それを達成することができれば、自由な配置や石材の選択が許される。
 直線状に配石されることなど、ごくごく稀でジグザグ状だったり、独特のリズムを持たせて来園者をもてなしてくれる。
 配列の妙が美となるようだ。
 庭園内を流れる水路や池などを渡るために置かれた飛石は、沢飛石として紹介されている。
 来園者が落ちることがないようにしっかりと配置されているものの、どことなくスリルがあって面白い。

 敷石は、石材を地面に敷き込んで、歩行のための設備としたもの。
 飛石のように踏む場所が離れておらず、どことなく安心する。
 板石を並べるもの、切石と自然石を混在させたもの、自然石を集積したもの、瓦を取り込んだものなど、さまざまな工夫が凝らされ、通る者を楽しませてくれる。
 
 本書は、さらに州浜を紹介する。
 庭園の池泉の汀線部分に小石や玉石などを敷き詰めて、海浜の景観を表現したものという。
 枯山水の意匠として用いられることもあるとか。
 護岸を目的としつつも、地表構成の機能も持つもので、見るだけでも楽しい。
 奈良・平安時代には機能が優先されていたが、江戸時代には一つの修景方法として確立されたそうだ。
 自然景観を巧みに取り入れた意匠として、庭園を訪れた際には注目したい。

 日本庭園には、明確な機能を有する施設に遊び心を加えた工夫が随所にみられる。
 ただ通るだけでは飽き足らず、そこにさり気無く加えられた工夫は、持ち主の心意気を感じるようだ。
 日本庭園では、見るべきところが、相当多いようである。
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:451 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

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