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休蔵さん
休蔵
レビュアー:
庭園委はさまあまな楽しみ方があると思います。本書は敷石と飛石に注目した1冊です。
日本列島各地に庭園があり、なんとなく「日本庭園」とひとくくりにされる。
 しかしながら、なんとなく大きくくくった共通性みたいなものがありながらも、さまざまな相違点を持つ。
 大くくりの共通性みたいなものには、植栽があり、池があり、岩石類がある。
 本書は日本庭園とくくられる庭園によくみられる敷石や飛石について、桂離宮を基軸としながら、全国の12人の作庭家が実例を紹介しつつ、こだわりと流儀を示した1冊である。
 さらに北海道から沖縄県までの全国31人の作庭家が寄せた思いの丈も掲載している。

 飛石とは庭園に配された石で、そこを踏みながら散策を楽しみつつ、庭園内を移動をする。
 飛び飛びに配されているから飛石。
 石材を敷き詰めた通路は敷石となる。
 通路について、ただ機能だけを追求した場合、しっかりと真砂土を堅めたらそれで十分という気がする。
 そんな気はするが、飛石や敷石とすることで、庭園は趣深いものとなる。
 人が通る分、庭園を訪れた人の注意が向きやすい場所であるため、その庭園の顔にもなりかねない。
 桂離宮には、さまざまに趣向を凝らした飛石や敷石があり、それだけでも人々を楽しませてくれる。
 そして、本書は桂離宮の飛石・敷石を写真で紹介してくれ、読書をも楽しませてくれる。

 コンクリートを固めただけの通路では興ざめであるように、やはり庭園の通路には創意工夫がこらされてきたに違いない。
 本書には写真がふんだんに掲載されているが、創意工夫が重ねられた結果の写真であり、眺めるだけでも十分楽しめる。
 さらに、31人の作庭家たちの熱い思いも読みごたえがある。
 31人各自の経験があり、培われてきた技法がある。
 当然のことながら、それらは独自の考え方に結びつくもので、それは庭園のなかで結実する。
 その思いは読んで興味深いものがあった。

 庭園を散策する時、何となく綺麗な風景を楽しむことで満足していたように思う。
 なんとなく池があって、鯉が泳ぎ、なんとなく築山があり、植栽がある。
 四季それぞれの花が咲いて、夏には夏の、冬には冬の香りがする。
 個人的には庭園のディテールに注目することはほとんどなく、ぼんやり過ごすということで満足していた。
 それはそれで庭園の楽しみ方だとは思う。
 でも、ディテールを楽しむ知識を得ることは、同じ庭園から得られる感動に大きな差異が生じると思う。
 もちろん、庭園には飛石や敷石以外にもいろいろな仕掛けがある。
 そのすべてをきちんと把握することは、まあ無理だろうけど、少しでも知識を得ておいて、楽しむきっかけをつかみたい。
 本書は、そんな希望に応えてくれる良書である。
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:450 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

読んで楽しい:2票
参考になる:29票
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この書評へのコメント

  1. noel2022-03-22 09:14

    休蔵さんの庭園好きには、ほとほと感服します。その愛情が伝わってきて、ご書評を読むと、いつも感動します。

  2. 休蔵2022-03-22 19:46

    noelさん、いつもありがとうございます。
    恐縮です。
    また褒めてもらえるよう、庭園ブックを漁ります。

  3. No Image

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