書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

ぱるころ
レビュアー:
絶滅鳥ドードーが、江戸時代の日本に来ていた!
ドードー鳥…『不思議の国のアリス』に登場する、大きくて太った飛べない鳥。絶滅鳥の代表として思い浮かべる方も多いだろう。

ドードーが1647年に長崎の出島へ来ていたことが判明したのは、2014年と意外にも最近のことだ。
本書では、オオナマケモノについての調べ物をした際に偶然ドードーに関する記述を発見した著者が、来日したドードーの行方を国内外の文献から追うとともに、ヨーロッパ各国およびモーリシャス島へも目を転じ、いまだ未知の部分が多いドードーの生態解明に迫る。

1947年の日本は江戸時代初期、徳川家光の時代であった。オランダ商館長フルステーヘンの日記には、出島にやってきた自社の船に次期商館長コイエットと、ドードーを含む生きた動物たちが乗っていたと書かれている。
フルステーヘンは前年の江戸参府の際にジャコウ猫やラクダ、珍しい鳥たちを伴っていたが、来日したドードーもこのような長旅に同行したのだろうか…。しかし次期商館長コイエットが筆まめでなかったということもあり、残念ながら記録は残っていなかった。
それでも有力大名に寄贈されたり、あるいは出島に来てすぐに死んでしまったりしたら、何かしらの記述がありそうだ。著者はあらゆる可能性を考え、文献をあたる。ドードーはいったい日本のどこで、どのような生涯を送ったのだろうか。

国内での調査は「堂々めぐり」に終わり、著者はドードーとゆかりのあるオランダ、チェコ、イギリスなどを訪れ、その後は野生のドードーが生息していたモーリシャス島で発掘調査隊の活動にも加わった。これまでの堂々めぐりがここで一巡し、新しい認識に到達することを目指して…


「我らがドードー」と語る著者。
私は気づけば調査隊の一員になった気分で、夢中で読み進めた。
なぜドードーに惹かれるのだろう。
絶滅鳥だから、だろうか。
絵画や物語の中でときに擬人化もされた、大きな体に小さな翼の飛べない鳥ドードー。
チェコでの呼び名を日本語にすると「おろかな超おろか鳥」。


この先、生きたドードーに会うことはできない。時の彼方へ埋もれてしまったその痕跡を見つけ出すタイムリミットも、刻一刻と迫っている。


お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ぱるころ
ぱるころ さん本が好き!1級(書評数:147 件)

週1〜2冊、通勤時間や昼休みを利用して本を読んでいます。
ジャンルは小説・エッセイ・ビジネス書・自己啓発本など。
読後感、気付き、活かしたい点などを自分なりに書き、
また、皆さんからも学びたいと考え参加しました。
よろしくお願いします。

読んで楽しい:3票
参考になる:22票
共感した:2票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『ドードーをめぐる堂々めぐり――正保四年に消えた絶滅鳥を追って』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ