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さん
茜
レビュアー:
傷をいやして、未来への一歩をふみだすまでの14歳の少女の心にしみる日記。小学上級から中学生向き。1988年度オーストラリア児童文学賞受賞作品。


2月6日―、わからない、わたしは、ここでなにをしているの。

そう、ほんとうはわかってる。病院にいてもちっともよくならなかったから。

ここに入れられたのは、ことばを取りもどすため。

ひとことも口をきかないわたしといっしょにいることに、お母さんが、がまんできないから。

わたしの顔のせいかもしれない…。

傷をいやして、未来への一歩をふみだすまでの14歳の少女の心にしみる日記


著者のジョン・マーズデンは1950年9月にオーストラリアのメルボルンに生まれ、タスマニアやシドニーの学校で学んだのち、様々な職業を経験。現在はメルボルンの近くの私立高ジーロング=グラマー=スクールで英語を教えながら創作活動を意欲的に行っている。1988年度オーストラリア児童文学賞を受賞。

・主人公・・・マリーナ

本作は日記形式で書き手であるマリーナの視点で半年の間の彼女に起こった出来事や考えが綴られた物です。

この日記は国語の先生が毎晩宿題をする時に書くようにと授業中に配ったもので、マリーナは同室の七人のことや自分のことや両親のことなどを書き始めます。

最初は情報があまりにも少なくて、戸惑ってしまう。唯一わかるのは「わたし」がいるのはウォリントン女子学院の寮に入っていると言うことと、病院に入っていたということ。

そして、この日記は先生は読まないということ。

最初は色々とわからない事があるけれど日記を読み進めていくうちに、彼女に起こった出来事がぼんやりとわかってくる。

彼女は普段は無言で極端に人を遠ざけている。それは何故なんだろう?

日記に綴られていく文章によって明かされる秘密たち。

(沈黙はいつもはわたしの要塞。ときには牢獄。)

この記述で話さない理由のひとつがわかる。でも、牢獄と感じることもあるのは辛いとも思っているのが窺える。

みんなの輪に入りたいのに出来なくて寂しさを感じているという事もある。

一番だめなのは体育。なにもしなくていいのにだめ。みんなを見ていると、取り残されたようで、とてもさみしいの。


彼女は人が嫌いというわけではないらしい事がわかる一文だ。

彼女のお父さんは今は離婚して刑務所にいて、母親は新しい恋人と一緒に旅行中、そして彼女は学校の寮に預けられている。

そこからが本編のスタートかな?

キャシーという子の手紙の書き出しが素敵だった。彼女はマリーナと手紙を介してやりとりしている子なのだけれど、こんな風に始まる。

音がしない声を出すお友達へ

この書き出しはユーモアたっぷりで、しかも相手を全く傷付けずにその相手の状態を表していて素敵だと思いました。

このような出来事とともに色々な出来事がマリーナには起こっていく。

無口な人でも周りの事をよく観察していて、もしかすると話している人よりも聞き逃さずに聞いていて、そのことについても色々と考えているんだなぁと考えさせられました。

高校時代にそういう人が何人か居たけれど、クラスでも目立っていた私の事をどう思っていたのか聞いてみたいなぁと思いました。

そして、タイトルの意味がわかった時にきっと読者は胸を打たれること必至です。
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茜
 さん本が好き!1級(書評数:418 件)

天然系変人B型♀です。ブログに読んだ本の忘備録を書いてます。

初志貫徹、実るほど頭を垂れる稲穂かな

読む本は表紙or題名or興味が沸いた本を選んでいますのでジャンルは雑多です。

暇な時はネット徘徊or読書orゲームしてます。

トライポフォビア^^;

豆腐メンタルです。。。

*過度な書評の誤字脱字の執拗な指摘、書評の文章への指摘は「迷惑行為」ですのでやめてくださいね^^;

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