darklyさん
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短歌を読んで、エッセイを読んで、イラストを見て、三度こみあげます。
本書は見開き2ページで一つの話となっており右が猫歌人こと仁尾智さんの短歌とエッセイ、左が小泉さよさんのキュートなイラストという構成となっています。13年に渡り雑誌「ネコまる」「ネコ日和」への仁尾さんの連載を再構成したものです。
仁尾さんは捨て猫を保護して里親を探すという活動をしておられますが猫への愛が半端ないと感じるのは保護した猫のうち病気等が判明し余命僅かな猫たちを自分の家で看取るというところです。私のような単なる猫が好きな凡人はついつい自分が悲しい思いをするのが嫌で猫の死にできるだけ向き合いたくないと考えてしまうのですが、彼はせめて短い期間であっても猫に幸せな時間を与えたいと考えているようです。
共感した短歌を数点紹介したいと思います。
【猫がくる ほめてほめてという顔で 何か不穏なものをくわえて】
猫を飼っている人なら経験したことがあるかもしれませんが、猫が外から帰ってきたとき何か咥えているときがあるのですね。鳥とかネズミとか。それを床に落として私の顔を見上げるのです。ドヤ顔で。「俺は単にこの家に世話になっているだけじゃないんだよ。俺だってやるときはやる。ほらよ生活費の足しにでもしてくれ」はっきり言って迷惑です。
【食卓の 上まではもう跳べなくて 見上げる猫と食う一夜干し】
猫は自分が食卓に跳び上がる能力を既に失っていることを静かに悟っているのです。動物は潔いですね。自分の運命について不平不満も言わず受入れ命の限り精一杯生きる。あれこれ思い悩んだり自殺するのは人間だけ。「ほら一緒に食べよう」「いつもすまねえな」言葉は通じなくても心で会話しているはず。
【乳を押す しぐさで眠る母親の 乳をふくんだことのない猫】
お母さんの夢でもみているのかとついつい考えてしまいます。もちろん分かっていますよ、本能に組み込まれた生きるための動作だということは。途方もない年月と世代交代の中で少しでも生存確率を上げようと育まれた命のプログラムに自然の凄さに畏敬の念を感じつつ、しかしつい擬人化して考えてしまいます。
【実情は さておき窓辺に猫がいる 我が家は幸せそうに見えそう】
実は仁尾さんは私の中学時代の後輩なのです。というとこの書評もその宣伝のために書いているのだろうと(その効果があるかどうかは別にして)思われる方もいるかもしれませんが、もしこの本が読むに値しないものだと思うのなら私の性格からして心にもないことを書くのではなく(せめて悪い評価をしないために)書評自体書かないという選択をします。
本書は猫を飼ったことがある人なら頷いたり涙がこみ上げることが二度や三度ではないはずです。所謂猫可愛がりではなく、真の猫への愛が行間に滲み出るような本書を真の猫好きの方にお薦めします。
仁尾さんは捨て猫を保護して里親を探すという活動をしておられますが猫への愛が半端ないと感じるのは保護した猫のうち病気等が判明し余命僅かな猫たちを自分の家で看取るというところです。私のような単なる猫が好きな凡人はついつい自分が悲しい思いをするのが嫌で猫の死にできるだけ向き合いたくないと考えてしまうのですが、彼はせめて短い期間であっても猫に幸せな時間を与えたいと考えているようです。
共感した短歌を数点紹介したいと思います。
【猫がくる ほめてほめてという顔で 何か不穏なものをくわえて】
猫を飼っている人なら経験したことがあるかもしれませんが、猫が外から帰ってきたとき何か咥えているときがあるのですね。鳥とかネズミとか。それを床に落として私の顔を見上げるのです。ドヤ顔で。「俺は単にこの家に世話になっているだけじゃないんだよ。俺だってやるときはやる。ほらよ生活費の足しにでもしてくれ」はっきり言って迷惑です。
【食卓の 上まではもう跳べなくて 見上げる猫と食う一夜干し】
猫は自分が食卓に跳び上がる能力を既に失っていることを静かに悟っているのです。動物は潔いですね。自分の運命について不平不満も言わず受入れ命の限り精一杯生きる。あれこれ思い悩んだり自殺するのは人間だけ。「ほら一緒に食べよう」「いつもすまねえな」言葉は通じなくても心で会話しているはず。
【乳を押す しぐさで眠る母親の 乳をふくんだことのない猫】
お母さんの夢でもみているのかとついつい考えてしまいます。もちろん分かっていますよ、本能に組み込まれた生きるための動作だということは。途方もない年月と世代交代の中で少しでも生存確率を上げようと育まれた命のプログラムに自然の凄さに畏敬の念を感じつつ、しかしつい擬人化して考えてしまいます。
【実情は さておき窓辺に猫がいる 我が家は幸せそうに見えそう】
窓辺の猫はいい。外から見る窓辺の猫は、なぜあんなにいいのだろう。まず毛づやが良く当て、健康的な猫が多いのがいい。かわいがられているんだろうな・・・と想像できるのも微笑ましい。あと自宅なので、猫がくつろいでいる様子なのもいい。同感です。私の職場の向かい側がマンションでトイレに行った時に外を覗くとある部屋の窓辺に猫がいることがあります。三毛猫と黒白の二匹の猫でその二匹が揃っていると幸せな気分になります。まあ一匹だけでもとりあえずは吉、たまに猫がいなくてステテコじいさんが外を覗いている時に出くわします。いわゆる凶というやつですね。
実は仁尾さんは私の中学時代の後輩なのです。というとこの書評もその宣伝のために書いているのだろうと(その効果があるかどうかは別にして)思われる方もいるかもしれませんが、もしこの本が読むに値しないものだと思うのなら私の性格からして心にもないことを書くのではなく(せめて悪い評価をしないために)書評自体書かないという選択をします。
本書は猫を飼ったことがある人なら頷いたり涙がこみ上げることが二度や三度ではないはずです。所謂猫可愛がりではなく、真の猫への愛が行間に滲み出るような本書を真の猫好きの方にお薦めします。
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昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
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- 出版社:辰巳出版
- ページ数:0
- ISBN:9784777825318
- 発売日:2020年06月24日
- 価格:1430円
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