hit4papaさん
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横山秀夫さんの気合の入ったデビュー作。(本当に)オススメ!
『ルパンの消息』は、第9回サントリーミステリー大賞(1991年)佳作賞を受賞した、横山秀夫さんのデビュー作だ。現在、単行本として出版されているものは改稿されているようだが、例年の大賞作とひけをとらない素晴らしい作品である。
警察にもたらされた出処不明のタレコミ。それは、15年前の女教師自殺が、他殺であったというものだった。時効成立まで24時間。所轄に送り込まれた本庁の捜査一課強行犯捜査第四係 溝呂木義人 以下、溝呂木班は、真相解明に向け捜査を開始する。
容疑者として浮かんだのは、当時、女教師 嶺舞子の勤務する高校の不良学生 喜多芳夫。喜多は、舞子の学校内で死体が見つかった頃、仲間の竜見譲二郎、橘宗一と”ルパン作戦”と称する試験問題の強奪を実行中だったのだ。無実を主張する喜多。しかし、過去を回想するうちに意外な真実が次々を明らかになっていく・・・
近年の横山秀夫作品のように、読んでいて頭に血がのぼるような沸騰感が少ない。心を抉ってくるような棘のあるやり取りが、あまり描かれていないからなんだろう。そういう興奮を求めていると、前半はかなりモタモタして辛いかもしれない。そもそも、やさぐれた不良高校生三人が、試験問題を盗み出すために全力を尽くすというのもピンとこなかったりする。
とはいえ、ミステリとしてはとても良く出来ている。
全ての登場人物が、一つの殺人事件の周辺で何らかの関わりを持っているのだが、これが捜査を通じて紐解かれていく様が痛快だ。事件の接点でそれぞれがそれぞれの思惑でとった行動が、複雑な状況を作り上げている。この会話、この出来事には、こういう裏があったのだという。
過剰なほどに伏線が張りまくられているのだけど、後半は、人間模様を含めて全ての仕掛けを解きほぐしてしまう。ラストは怒涛の展開で、幾度となくあっと驚かされて、まだ、これでもかとひねってくる。ホロリとくるシーンもあって満足感が大きい。ぶっこみ過ぎの感ありなのだが、横山秀夫さんの気合の入れ具合がひしひしと伝わる作品だ。
本作品は、当時の三億円事件の時効を作品に取り込んでいる。これまたひねりに一役かっているんだよね。
警察にもたらされた出処不明のタレコミ。それは、15年前の女教師自殺が、他殺であったというものだった。時効成立まで24時間。所轄に送り込まれた本庁の捜査一課強行犯捜査第四係 溝呂木義人 以下、溝呂木班は、真相解明に向け捜査を開始する。
容疑者として浮かんだのは、当時、女教師 嶺舞子の勤務する高校の不良学生 喜多芳夫。喜多は、舞子の学校内で死体が見つかった頃、仲間の竜見譲二郎、橘宗一と”ルパン作戦”と称する試験問題の強奪を実行中だったのだ。無実を主張する喜多。しかし、過去を回想するうちに意外な真実が次々を明らかになっていく・・・
近年の横山秀夫作品のように、読んでいて頭に血がのぼるような沸騰感が少ない。心を抉ってくるような棘のあるやり取りが、あまり描かれていないからなんだろう。そういう興奮を求めていると、前半はかなりモタモタして辛いかもしれない。そもそも、やさぐれた不良高校生三人が、試験問題を盗み出すために全力を尽くすというのもピンとこなかったりする。
とはいえ、ミステリとしてはとても良く出来ている。
全ての登場人物が、一つの殺人事件の周辺で何らかの関わりを持っているのだが、これが捜査を通じて紐解かれていく様が痛快だ。事件の接点でそれぞれがそれぞれの思惑でとった行動が、複雑な状況を作り上げている。この会話、この出来事には、こういう裏があったのだという。
過剰なほどに伏線が張りまくられているのだけど、後半は、人間模様を含めて全ての仕掛けを解きほぐしてしまう。ラストは怒涛の展開で、幾度となくあっと驚かされて、まだ、これでもかとひねってくる。ホロリとくるシーンもあって満足感が大きい。ぶっこみ過ぎの感ありなのだが、横山秀夫さんの気合の入れ具合がひしひしと伝わる作品だ。
本作品は、当時の三億円事件の時効を作品に取り込んでいる。これまたひねりに一役かっているんだよね。
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ススキノの読書バーで、本読みさんとお話ししていたら、またまた書きたくなっちゃった。僕はお子ちゃまなみに頭の中が単純なんだな...
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- 出版社:光文社
- ページ数:441
- ISBN:9784334745691
- 発売日:2009年04月09日
- 価格:740円
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