休蔵さん
レビュアー:
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いま見ることができる城は、すべて廃城になった後の姿。当然のことながら、築城からそこに至るまでの経緯が城本来の姿のはず。本書は城の一生を古文書を中心に解きほぐす。
江戸時代に築かれ、そのまま現存している天守は全国で12城しか存在しない(『7つの魅力でとことん楽しむ! 日本100名城めぐりの旅』)。
そのいずれもが国宝もしくは重要文化財に指定され、保護されている。
しかしながら、かつて数多く存在した天守閣は太平洋戦争の空襲で焼け落ちた。
一般市民への攻撃が強く非難される現代からは考えられないような暴挙により、多くが落城してしまったのだ。
しかし、それ以前の城は様々な事情のもと一生を終えてきたようだ。
本書は、主に戦国時代の山城の一生について、古文書を軸に解きほぐしている。
城の一生は築城から始まる。
ただ、築城の事情は様々で、領主が居住する目的の場合もあれば、戦のために臨時で構えた陣城もある。
村人が逃げ込むための「村の城」もあるという。
それぞれの目的に応じた構造になり、立地になるのが城。
構造や立地などから築城の事情を探っていく縄張り学が山城研究の王道だったようだが、それだけではなかなか分からないこともあるようで、古文書ならではの強みが発揮される。
築かれた後の維持管理は大変だったようだ。
武器や兵糧といった備品の管理からはじまり、城内の掃除も欠かせない。
自然災害への対応も必須となる。
さらに人の出入りのコントールも行われた。
ただ城という箱モノを大切にするだけではどうにもならないことを昔の人は認識していたらしく、老朽化するがままに任せている現代の行政施設の維持を考えるうえでも参考になることが多い。
古城という言葉があるという。
文字通り古い城で、かつて城だったという意味合いになる。
現代の遺跡に近い印象があるが、実際はやや異なる。
古城は、きちんと存在を把握すべき存在だったとのこと。
いざという時、古城は再生する。
天草の乱において、古城として認識されていた原城にキリシタンは籠り、信仰のため戦った。
城は戦うための拠点だ。
防衛上、優れた立地にあることが多い。
戦の収束とともに役割を失った古城も、戦の勃興により再び本来の機能を取り戻すことがあったようだ。
この場合、築かれた時の防衛施設と出土遺物の間に乖離が生じることになり、遺跡だけの情報では城の一生の一部を混同して理解することになってしまう。
廃城の事情も様々だ。
例えば、かつてのライバルが同盟関係となった場合、両国間の境目にあった城はその役割を失うことになる。
そこで同盟の証のように廃城にすることがあったらしい。
廃城のやり方も様々で、完全に破壊しつくすこともあれば、目立つ場所~虎口の石垣など~のみを破壊する場合もある。
建造物のみを壊す場合もあれば、竹木を伐採することもあるそうだ。
部分的な破壊の場合、城の再生は容易だ。
現役の城は存在しない。
すべてが廃城後の姿を拝んでいるに過ぎない。
しかし、ここに至るまでには、それぞれに独自の事情が存在したはずで、本書はそのことを改めて教えてくれた。
そんなことをしっかり理解したうえで山城に登りたいものだ。
登城の友は『図解 戦国の城がいちばんよくわかる本』が最適だ。
そのいずれもが国宝もしくは重要文化財に指定され、保護されている。
しかしながら、かつて数多く存在した天守閣は太平洋戦争の空襲で焼け落ちた。
一般市民への攻撃が強く非難される現代からは考えられないような暴挙により、多くが落城してしまったのだ。
しかし、それ以前の城は様々な事情のもと一生を終えてきたようだ。
本書は、主に戦国時代の山城の一生について、古文書を軸に解きほぐしている。
城の一生は築城から始まる。
ただ、築城の事情は様々で、領主が居住する目的の場合もあれば、戦のために臨時で構えた陣城もある。
村人が逃げ込むための「村の城」もあるという。
それぞれの目的に応じた構造になり、立地になるのが城。
構造や立地などから築城の事情を探っていく縄張り学が山城研究の王道だったようだが、それだけではなかなか分からないこともあるようで、古文書ならではの強みが発揮される。
築かれた後の維持管理は大変だったようだ。
武器や兵糧といった備品の管理からはじまり、城内の掃除も欠かせない。
自然災害への対応も必須となる。
さらに人の出入りのコントールも行われた。
ただ城という箱モノを大切にするだけではどうにもならないことを昔の人は認識していたらしく、老朽化するがままに任せている現代の行政施設の維持を考えるうえでも参考になることが多い。
古城という言葉があるという。
文字通り古い城で、かつて城だったという意味合いになる。
現代の遺跡に近い印象があるが、実際はやや異なる。
古城は、きちんと存在を把握すべき存在だったとのこと。
いざという時、古城は再生する。
天草の乱において、古城として認識されていた原城にキリシタンは籠り、信仰のため戦った。
城は戦うための拠点だ。
防衛上、優れた立地にあることが多い。
戦の収束とともに役割を失った古城も、戦の勃興により再び本来の機能を取り戻すことがあったようだ。
この場合、築かれた時の防衛施設と出土遺物の間に乖離が生じることになり、遺跡だけの情報では城の一生の一部を混同して理解することになってしまう。
廃城の事情も様々だ。
例えば、かつてのライバルが同盟関係となった場合、両国間の境目にあった城はその役割を失うことになる。
そこで同盟の証のように廃城にすることがあったらしい。
廃城のやり方も様々で、完全に破壊しつくすこともあれば、目立つ場所~虎口の石垣など~のみを破壊する場合もある。
建造物のみを壊す場合もあれば、竹木を伐採することもあるそうだ。
部分的な破壊の場合、城の再生は容易だ。
現役の城は存在しない。
すべてが廃城後の姿を拝んでいるに過ぎない。
しかし、ここに至るまでには、それぞれに独自の事情が存在したはずで、本書はそのことを改めて教えてくれた。
そんなことをしっかり理解したうえで山城に登りたいものだ。
登城の友は『図解 戦国の城がいちばんよくわかる本』が最適だ。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント

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- 出版社:吉川弘文館
- ページ数:206
- ISBN:9784642058759
- 発売日:2018年09月18日
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