yukoさん
レビュアー:
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生涯の愛とは、あなたにとっては、どんな愛ですか?
イリーナ・バジーリィ、モルドバ出身の若い移民女性。
彼女は二〇一〇年、二十三歳のときからラーク・ハウスという高齢者用レジデンスで働き始めました。
働き始めた当初からアルマ・ベラスコという入居者の女性に魅かれたイリーナ。
赤い口紅、長い手足、男性用の香水を使い優雅な姿の裕福なユダヤ人のアルマ。
イリーナが、色ボケしたおじいさんから猛烈にアプローチされ全財産を遺される、という騒動があったのち、アルマはイリーナに秘書になってくれ、と声をかけます。
やがて二人の関係は友情へと変わっていき、
さらに、アルマの愛孫のセツはイリーナに魅了されるのですが、イリーナはなかなか心を開いてくれずで彼らはなかなか恋人同士にはなれません。
セツは、祖母アルマの助けを借りて、一族の歴史を本に書きたいのだとイリーナに語り、彼女の興味関心をかうことができ、
アルマの方は、イリーナに自分の持ち物の整理をして欲しいのだと頼んできました。
ただし、
黄色い封筒に入った手紙だけは、届くとアルマがすぐにどこかへやってしまって、イリーナには触らせませんでした。
イリーナは、
アルマの部屋にあるイチメイ・フクダという日本人男性の写真、
黄色い封筒の手紙、
週に一度届く、クチナシの花、三本、
そして行先も、帰る予定も告げずにお忍びの旅に出かけるアルマを見て、
彼女には愛する人がいるのではないか、と思い始めます。
セツとイリーナはイチメイ・フクダという日本人男性とアルマの関係を探るのですが・・・
ユダヤ人迫害から娘を守ろうと、母親が、自分の姉の住むカリフォルニアに娘をポーランドから送り出した・・・ポーランドからたった一人でやって来たアルマの、少女時代からの現在までのその人生と、
謎多き移民女性のイリーナの生い立ちの物語とが混ざりながら、
アルマの謎の日本人の恋びとについて、物語は進みます。
ヒトラーが台頭した時代に、
迫害されたユダヤ人であったアルマたち家族の悲しい別れから始まり、
従兄弟であり、後に夫となるナタニエルとの出会いから、そして彼との別れ、
初恋の人、日系人であるイチメイ・フクダとの出会いからまた別れまで、と、
聡明で美しいアルマ・ベラスコという一人の年老いた女性の人生が語られていくのですが、途中挟まれるイチメイ・フクダからの手紙が、とても簡潔なものなのに、そこに溢れるアルマへの愛に、本当に愛し合う二人の関係が胸にぐっときて・・・
黄色い封筒の手紙、週に一度送られてくるクチナシの花、お忍びの旅行。
その謎は最後までわからないけれど、どうしてそんな風に謎にしておきたかったのか、
アルマの恋心、生涯でただ一人、心から愛した恋びとへの気持ち、
大切にしておきたかった恋心、
胸が痛くなるほどのその気持ち、
それらをそうやって謎にしておきたかったアルマの女心が美しく、悲しく、
同時に、イリーナがセツを受け入れないその悲しい理由もまた悲しくて。
決して裕福なお金持ちの人々向けというわけでない老人ホーム、死へと向かう人々の暮らしているラーク・ハウスで、今まさに生きているイリーナと、死んでゆくアルマ、二人の女性の生きてきた物語が語られる。
第二次大戦下のアメリカで、ユダヤ人女性と日系人の結ばれなかった恋と、
現代のアメリカに至るまで、忘れることが決してできなかった恋と、
傷を乗り越えて新しく今から始まろうとする恋。
壮大な愛の物語でした。
彼女は二〇一〇年、二十三歳のときからラーク・ハウスという高齢者用レジデンスで働き始めました。
働き始めた当初からアルマ・ベラスコという入居者の女性に魅かれたイリーナ。
赤い口紅、長い手足、男性用の香水を使い優雅な姿の裕福なユダヤ人のアルマ。
イリーナが、色ボケしたおじいさんから猛烈にアプローチされ全財産を遺される、という騒動があったのち、アルマはイリーナに秘書になってくれ、と声をかけます。
やがて二人の関係は友情へと変わっていき、
さらに、アルマの愛孫のセツはイリーナに魅了されるのですが、イリーナはなかなか心を開いてくれずで彼らはなかなか恋人同士にはなれません。
セツは、祖母アルマの助けを借りて、一族の歴史を本に書きたいのだとイリーナに語り、彼女の興味関心をかうことができ、
アルマの方は、イリーナに自分の持ち物の整理をして欲しいのだと頼んできました。
ただし、
黄色い封筒に入った手紙だけは、届くとアルマがすぐにどこかへやってしまって、イリーナには触らせませんでした。
イリーナは、
アルマの部屋にあるイチメイ・フクダという日本人男性の写真、
黄色い封筒の手紙、
週に一度届く、クチナシの花、三本、
そして行先も、帰る予定も告げずにお忍びの旅に出かけるアルマを見て、
彼女には愛する人がいるのではないか、と思い始めます。
セツとイリーナはイチメイ・フクダという日本人男性とアルマの関係を探るのですが・・・
ユダヤ人迫害から娘を守ろうと、母親が、自分の姉の住むカリフォルニアに娘をポーランドから送り出した・・・ポーランドからたった一人でやって来たアルマの、少女時代からの現在までのその人生と、
謎多き移民女性のイリーナの生い立ちの物語とが混ざりながら、
アルマの謎の日本人の恋びとについて、物語は進みます。
ヒトラーが台頭した時代に、
迫害されたユダヤ人であったアルマたち家族の悲しい別れから始まり、
従兄弟であり、後に夫となるナタニエルとの出会いから、そして彼との別れ、
初恋の人、日系人であるイチメイ・フクダとの出会いからまた別れまで、と、
聡明で美しいアルマ・ベラスコという一人の年老いた女性の人生が語られていくのですが、途中挟まれるイチメイ・フクダからの手紙が、とても簡潔なものなのに、そこに溢れるアルマへの愛に、本当に愛し合う二人の関係が胸にぐっときて・・・
黄色い封筒の手紙、週に一度送られてくるクチナシの花、お忍びの旅行。
その謎は最後までわからないけれど、どうしてそんな風に謎にしておきたかったのか、
アルマの恋心、生涯でただ一人、心から愛した恋びとへの気持ち、
大切にしておきたかった恋心、
胸が痛くなるほどのその気持ち、
それらをそうやって謎にしておきたかったアルマの女心が美しく、悲しく、
同時に、イリーナがセツを受け入れないその悲しい理由もまた悲しくて。
決して裕福なお金持ちの人々向けというわけでない老人ホーム、死へと向かう人々の暮らしているラーク・ハウスで、今まさに生きているイリーナと、死んでゆくアルマ、二人の女性の生きてきた物語が語られる。
第二次大戦下のアメリカで、ユダヤ人女性と日系人の結ばれなかった恋と、
現代のアメリカに至るまで、忘れることが決してできなかった恋と、
傷を乗り越えて新しく今から始まろうとする恋。
壮大な愛の物語でした。
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:320
- ISBN:9784309207377
- 発売日:2018年02月19日
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