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三毛ネコ
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伝染病の流行を描いた有名な小説です。
194×年、アルジェリアのオランで奇妙な事件が起こった。

オランは平穏な町であり、住民は退屈していた。

はじめは、一匹のネズミの死であった。医師のリウーは診療室から出ようとして、階段口の真ん中で死んだネズミにつまずいた。その日、アパートの玄関で部屋の鍵を探していると、廊下でネズミが倒れて死んだ。

翌日、リウーが往診に行くと、通りで12匹もの死んだネズミを見た。

長い間病気だったリウーの妻は別のところで療養することになり、町を離れた。

そして日が経つにつれ、ネズミの死体は増えていく。1日に数百匹も見つかるのである。

さらに、人間の患者も出てくる。高熱が出て、リンパ腺が腫れ、脇腹に黒っぽい斑点が出ていた。この患者はその後、死亡した。

正体不明の熱病はオランの市民の間で広がっていく。これが伝染病だということは明らかであった。

カルテルという年輩の医師がリウーを訪ねてきて、この病気はペストだと言う。ペストはもう何年も前に消滅したはずなのだが……。

ペストは過去に1億人近い死者を出したはずだとリウーは思い出す。

犠牲者はだんだん増えていく。この事態を重く見た総督府はオランをロックダウンすることに決める。外部との手紙のやり取りは禁止され、電話まで制限されてしまった。食糧の補給も制限され、ガソリンは割当て制になった。

そして死者はどんどん増えていく。市民はハッカのドロップをなめたりして、何とか感染を予防しようとする。そこに、コロナ禍で右往左往した我々の姿が重なる。

本当に、色々な意味でコロナと重なってくるのである。

そして、物語はラストを迎える。現実の世界で、コロナは無事に終息するのだろうかなどと考えてしまう小説だった。
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三毛ネコ
三毛ネコ さん本が好き!1級(書評数:872 件)

フリーランスの産業翻訳者です。翻訳歴12年。趣味と実益(翻訳に必要な日本語の表現力を磨くため)を兼ねてレビューを書いています。サッカーファンです。

書評、500冊になりました。これからも少しずつ投稿していきたいと思います。

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