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ときのき
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巧みなプロットと温かみのあるユーモアが魅力、秋の読書に最適の一冊
 昆虫好きの青年、魞沢の推理と活躍を描いた短編集だ。本書には、第10回ミステリーズ!新人賞受賞短編である表題作を含めた五つの短編が収められている。練りこまれたプロットと軽やかな文体、温かみのある人間ドラマが持ち味で、派手な見かけではないがおよそ退屈するということがない。
 あとがきで作者自身も認める通り、泡坂妻夫の連作(亜愛一郎もの)からの影響が濃いように感じられる。全編を覆うそこはかとなくユーモラスな雰囲気もそうだが、細部をなおざりにせず一編ごとしっかり舞台が設えられている点、謎の所在自体をしばらく読み進めるまで掴ませないような曲線的な筋運びなど、職人的に丁寧に仕上げられた小説の肌理からそのような印象を受けた。
 個人的ベストは、意外な方向へ話が展開していく『ホバリング・バタフライ』と、ミスリードの巧みさが光る『ナナフシの夜』だ。
 心静かに読書を楽しみたい秋の夜にふさわしい、とりどりの虫たちが彩る愉快なミステリーシリーズだ。
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ときのき
ときのき さん本が好き!1級(書評数:137 件)

海外文学・ミステリーなどが好きです。書評は小説が主になるはずです。

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