風竜胆さん
レビュアー:
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高野氏、行動力はすごいが、やっぱりヘンな人だw
怪魚や野人、怪獣など、ヘンなモノばかりを求めて、世界中を探検している高野秀行氏の、これまたちょっとヘンな外国人たちとの交流の物語、「異国トーキョー漂流記」{集英社文庫)。
どうして、高野氏がヘンな外国人たちと知り合うのか。彼が何かの探検をしようと思いたった場合に、現地の言葉が分かれば便利だということで、事前に勉強をしようとするのだが、その方法は、もっぱら誰かその言葉が話せる外国人を探してきて、個人レッスンを受けるというものだ。ところが、教わる相手というのが、なかなかヘンな人が多いのである。
例えば、フランス語を習ったパリジェンヌのシルヴィ。彼女は、電車の中でたまたま隣でフランス語の本を読んでいたので、高野氏が声をかけたのだが、日本に来た目的がなんとブトーをやるため。ブトーとは、あの白塗りで踊る、暗黒舞踏のことだ。おかげで、高野氏は、白塗りのシルヴィが、パンツ一枚でくねくねと怪しげに踊るという、訳の分からない舞台に通わせられることになる。後でコメントを求められるのだから、彼も食い入るように舞台を見ているのだが、白塗りとはいえ、なかなかチャーミングなパリジェンヌの裸を見ながらも、まるでエッチな妄想は湧かない。なんとか、訳の分からない踊りに対して、適当なコメントをひねりだそうと、頭がそちらの方にフル回転しているからだ。
コンゴ探検に備えて、現地の言葉であるリンガラ語を習っていた、ザイール大使館員の息子ウィ―リーの話も面白い。なかなかのリッチぶりで、「日本のマイケル・ジャクソンになるんだ」と、これまた訳の分からないことを言っていた彼だが、肝心のザイール大使館の方は、電話代も払えず、借金取りが並んで大変な状態。どうしてウィ―リは、あんなに裕福そうなのだろうと、高野氏は不思議がる。
フランス語やスペイン語などのメジャーな言葉であれば、先生は割と見つけやすい。ところが、高野氏が探検に行くような辺境で話されている超マイナーな言葉だと、ネイティブの人を見つけるのは至難の業だ。まるで都市伝説のような情報を頼りに、言葉を教えてくれる人を探しあるく高野氏の行動力はそれだけでも驚きなのだが、それがまた意外な方向に発展していくこともある。リンガラ語の先生を探す過程で知り合った、コンゴ人のドンガラ一家の長兄、エマニュエル・ドンガラ氏。日本に住む弟に渡して欲しいと、託された彼の書いた小説「世界が生まれた朝に」。帰りの飛行機の中でこれを読んで面白いと思った高野氏は、この本を翻訳してなんと卒業論文にしてしまう。これは、後日小学館から出版もされたので、本当に縁というのは不思議なものである。
この他、どう見ても日本人の血が入っているようには見えないのに、日系3世と言い張るペルー人のウエキ氏の話など、ユーモアにあふれて、ちょっぴりペーソスも混ざった、面白いエピソードが満載だ。
どうして、高野氏がヘンな外国人たちと知り合うのか。彼が何かの探検をしようと思いたった場合に、現地の言葉が分かれば便利だということで、事前に勉強をしようとするのだが、その方法は、もっぱら誰かその言葉が話せる外国人を探してきて、個人レッスンを受けるというものだ。ところが、教わる相手というのが、なかなかヘンな人が多いのである。
例えば、フランス語を習ったパリジェンヌのシルヴィ。彼女は、電車の中でたまたま隣でフランス語の本を読んでいたので、高野氏が声をかけたのだが、日本に来た目的がなんとブトーをやるため。ブトーとは、あの白塗りで踊る、暗黒舞踏のことだ。おかげで、高野氏は、白塗りのシルヴィが、パンツ一枚でくねくねと怪しげに踊るという、訳の分からない舞台に通わせられることになる。後でコメントを求められるのだから、彼も食い入るように舞台を見ているのだが、白塗りとはいえ、なかなかチャーミングなパリジェンヌの裸を見ながらも、まるでエッチな妄想は湧かない。なんとか、訳の分からない踊りに対して、適当なコメントをひねりだそうと、頭がそちらの方にフル回転しているからだ。
コンゴ探検に備えて、現地の言葉であるリンガラ語を習っていた、ザイール大使館員の息子ウィ―リーの話も面白い。なかなかのリッチぶりで、「日本のマイケル・ジャクソンになるんだ」と、これまた訳の分からないことを言っていた彼だが、肝心のザイール大使館の方は、電話代も払えず、借金取りが並んで大変な状態。どうしてウィ―リは、あんなに裕福そうなのだろうと、高野氏は不思議がる。
フランス語やスペイン語などのメジャーな言葉であれば、先生は割と見つけやすい。ところが、高野氏が探検に行くような辺境で話されている超マイナーな言葉だと、ネイティブの人を見つけるのは至難の業だ。まるで都市伝説のような情報を頼りに、言葉を教えてくれる人を探しあるく高野氏の行動力はそれだけでも驚きなのだが、それがまた意外な方向に発展していくこともある。リンガラ語の先生を探す過程で知り合った、コンゴ人のドンガラ一家の長兄、エマニュエル・ドンガラ氏。日本に住む弟に渡して欲しいと、託された彼の書いた小説「世界が生まれた朝に」。帰りの飛行機の中でこれを読んで面白いと思った高野氏は、この本を翻訳してなんと卒業論文にしてしまう。これは、後日小学館から出版もされたので、本当に縁というのは不思議なものである。
この他、どう見ても日本人の血が入っているようには見えないのに、日系3世と言い張るペルー人のウエキ氏の話など、ユーモアにあふれて、ちょっぴりペーソスも混ざった、面白いエピソードが満載だ。
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昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。
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- 出版社:集英社
- ページ数:264
- ISBN:9784087477924
- 発売日:2005年02月18日
- 価格:540円
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